第01稿02話~爺ちゃん、素材を集める4~
__久黎爺|洞窟
取り敢えず殴ってみる事にしようかのう。気を脚に込め跳躍!ズドン、と音がして目の前が暗くなる。
ふむ、死んでしまったか。そう言えば、ここは洞窟の中じゃったのぉ。
ぐらりと揺れて身体が落ちる。ふむ、どうやら洞窟の天井に突き刺さってたようじゃ。どうやら、まだ生存しているようじゃな。ううむ、地面に落ちたが身体が動かないのぉ。これはアレじゃ。一回休みという奴かの。首は動くようじゃ。ふむ、土竜は……何やら紐で雁字搦めにされておるのぉ。うむ、どういう状況じゃろうか。紐だと思ったモノはよくよく見るとミミズの様じゃ。ミミズは地竜……地竜ぶいえす土竜じゃのぉ。
はて、何故ミミズが?ふむ、戦闘してる最中だと、さいだす君は居ないようじゃ。ミミズだが牙の並ぶ口があるようじゃ。土竜に齧りついておる。おお、土竜の体力がじわじわと削れておる!しかし、地竜にも体力表記があるぞい。次は地竜を倒せと言う事なのかのう。
そんな事を考えてたら身体が動く様になったぞい!取り敢えず、今のうちに土竜を殴りに行くとするか。土竜は縛られていて動けない地竜は土竜を縛っていて動けない。ならば今は縛られている土竜を殴る事にする。先程の土の津波も岩投げもして来ない今の内に殴る。
今度は先程、学んだので脚に気を込め低空に跳躍する。土竜と地竜の元に辿りつき、地竜に当たらないように土竜に気を凝固した拳で殴る。おぉ、見て分かる体力の減り方をしたぞい。もっと殴るのじゃ。やはり気弾は改良の余地があるのぉ。地竜が縛っている間に土竜を思う存分殴ると体力が0になった。
土竜の力が抜けぐったりしたのを確認した地竜が土竜を洞窟の天井に叩きつけ口を大きく開けた。一瞬天井に貼り付いた土竜が地竜の口に落ちていき。咀嚼音、うむ。もぐらがミミズに食べられておる。現実だともぐらが食べる方なのにのぉ。ふぁんたじーじゃ。
うむ、この場合、くえすと達成になるのかのぉ。というより、この食事中に逃げた方がいいのではないか。
出口の方へ向かおうとすると道への入り口には丸兎達が詰まっておった。通れないのぉ。
土竜の方を見ると光の珠がこちらに飛んできた。戦利品は貰えるようじゃな。地竜が口をこちらに向けておる。眼は無いようじゃ。地竜は地面から身体を出しているが糸を巻く様に地面に消えて行った。
地面から襲ってくるのじゃろうか。警戒しておくとするか、と思っとったら目の前に画面が表示される。みっしょんこんぷりーとじゃ!報酬は称号と素材の様じゃ。
称号の方は丸兎の救世主と特別報酬で大地と同化せし者という二つの称号を手に入れた様じゃ。丸兎の方は分かるが大地と同化せし者とな……?洞窟の天井に埋まったからかのう?そして素材の方は、丸兎の涙というアイテムらしいのう。ふむ?気付いたら足元には集まった丸兎。あっという間に身体に登ってきて丸兎に包まれ……顔までのぼった兎が離れたかと思うと草原に立っていた。
最初に丸兎に包まれた所じゃのう。どうやらクエスト開始条件は丸兎に包まれる事かの?恐らく一回だけなのじゃろう。ふむ、さいだす君は居るかの?
居なさそうじゃのぉ。ぴこんと音がして画面が表示される。おぉ、鍛冶屋の子から連絡じゃ。どうやら武器が出来たらしい。では、街に戻るとしようかの。と思っていたが。
「お前は!!」
「ふむぅ?おぉ、良い髪形のお兄さんじゃの」
街に入る門の所でおぜうちゃんに絡んでいた自分と同じ髪型のお兄さんと鉢合わせた。
「お、おぅ……」
「いやぁ!先程はすまんかったのぉ!始めたばかりで勝手が分からなくての」
「そ、そうか。初心者ならしょうがないな!何か困った事があれば言えよ!あっ、俺の名前は‡世紀末‡だ。よろしくな」
うむ、名前はアレだが面倒見の良さげなお兄さんと言う所か。最初におぜうちゃんに絡んでいたのはなんじゃったのか。
「うむ、よろしくお願いするぞい」
「俺はこれから狩りに行くからまた会おう。おっと、一応フレンド申請送っとく。良かったら許可しといてくれ」
ふむ、友達が増えたぞい!
爺ちゃん、フレンドが増える。おぜうに絡んでいたモヒカンの兄貴です。
地竜はどうやら何処かに消えました。
クエストの発生は様々です。本人の持ってる称号や種族で開始する事もあります。爺ちゃんは仙人なので超自然的クエストが多いかも知れません。リアル的には捕食されるミミズがモグラ食べてましたが。
さて次回はアイルに爺ちゃん会いに行きます。
それでは皆様また次回!




