第01稿01話~東の拠点・アズマハラ8~
__久黎爺|森
よく見ると蜂はほのかに赤味がかっているように見える。これが火属性のもんすたぁなのかのう。
「むんっ」
気を練り手刀に凝固させる。儂の腕は今から刀である。
「はっ!」
近くに飛んできた蜂の群れの一つを手刀で撫でる。成程、これはハエたたきじゃのう。パチンと音を立てて何匹かの蜂さんが地面に叩きつけられた。起き上がる気配はない様じゃ。こうして群れを削って行く感じかのう。
「では、私も参りましょう」
羊殿の武器はなんじゃろうな。ふむ、両手に片手斧が二本……牛頭だったらもんすたぁじゃの。
みのたうろすみたいに筋骨隆々ではないが片手斧を持っていると強そうに見えるのう。
彼は持ってる斧を投げた。投げ斧とは良いちょいすじゃな。投げられた斧はくるくると周り蜂の群れに吸い込まれて行く。あちらの群れは羊殿が担当してくれるらしいのう。
では儂は目の前の敵に集中するとしよう。目の前の蜂の群れはこちらしか見えていないようじゃ。残りの群れの数は8匹程。少なくなる程当たりにくくなりそうじゃのう。
蜂の針を避けつつ気を練り手刀に流し固めるイメージ。ダメージを与えたら練った気が消えてしまうようじゃ。また練り直さないといけないとは難儀な物じゃ。腕を振るいハエ叩きならぬ蜂叩きをして数を減らしていく。残り3匹になった辺りで捉える事が難しくなった。普通の蜂よりかは大きいとは言え一匹、拳大程の大きさの飛翔物に格闘で応対するのは些か不利の様じのう。
「儂も飛び道具が使いたいのぅ」
「でしたら、こちらをどうぞ。お手軽な飛び道具、礫です」
ねだったら小石を10個程貰ったぞい。ふむ、小石に気を籠められるじゃろうか。試してみるか。
気を練り流し込んでみるが霧散してしまう。うむ、無理な様じゃ。
仕方ないのでそのまま投げる。命中、残り2体じゃ。数が少なくなり攻撃が当たりにくくなった代わりにあちらの攻撃量も減りしっかり避ければ当たる事は無い。普通のげぇむ等だと命中も回避も一律だがぶぃあーるのげぇむだと違う演算処理がなされてるらしい。それはそうだろう。どちらかと言うとしゅーてぃんぐげぇむに近いか。いんべぇだぁか。当たり判定が存在するげぇむと無いげぇむの差じゃろう。
蜂さんの様子は警戒しているようじゃ。一定の距離を保ちこちらの様子を伺っておる。
「こちらは終わりました。お爺様、手助けは必要ですか?」
「……お願いしても良いかのぅ」
お嬢ちゃんから声がかかる。どうやらボスはもう倒してしまったようじゃ。時間を取られるかもしれないのでお手伝いをお願いしよう。
「分かりましたわ。ゲイル」
地面から小さな竜巻が登り蜂さん達を飲み込んだ。なんと、火の魔法しか使えないと思っていたがどうやらそれは違うようじゃな。確かにフレアストーム。ストームと言うからには風も入ってると言う事なのじゃろう。
「終わりましたわ。お爺様」
「ありがとうのぉ。しかし飛び道具は必要の様じゃ」
飛んでるモノには飛び道具。しかし、消耗するのは如何か……そうじゃ、名前を聞き忘れておった黒人さんが鎖鎌とか分銅とか言っておったな。それにふれいる……あれは確か持ち手と鈍器を鎖で繋いだ物。伸縮可能な機構を入れてみてはどうじゃろう。
「お爺様取り敢えず鉱石を集めましょう。ボスを倒したらポップが暫くの間止まる筈なので今がチャンスですわ!」
「おぉ、そうであった」
周りを見渡すとどろっぷした品が鞄に回収されていた。忘れてたのう。自動収集は助かるの。
さて岩を探そう。膝辺りの高さの大きい石が光っている。アレが岩かのう?取り敢えず近寄って採取をしてみると輝きが鞄に回収されていった。
「おぉ、鉄鉱石が手に入ったぞい」
「その調子ですわ。お爺様!」
岩の回収が見える範囲で終わった。数は20個程。
「20個程だったぞい」
「それだけあれば最初の分は大丈夫ですわね。では鍛冶屋を紹介いたしますわ。一旦街に戻りますわよ」
__久黎爺|公共工房
案内されたのは集会所の近くにある鉄工場。うむ、鍛冶屋の様な場所ではあるがとても広い。
「ココは組合員に解放されてる工房ですわ!個室が取れているみたいですからそちらで待ってるみたいですわね」
個室とやらに行くと白い猫耳を付けた青いおーばーおーるを着た女性が待っていた。
「初めましてにゃー。アイルと言うにゃ。よろしくにゃ」
「久黎爺と言う、よろしくのぅ」
「お爺様に装備を作って欲しいの」
「ん、鍛冶の依頼かにゃ。まぁそれ以外で呼び出さにゃいよね」
「三節棍と結構な長さまで伸ばせるふれいるとやらが欲しいのじゃが」
「ふむふむ成程にゃ」
「あとは丸兎の防具もお願いしますわ」
「料金は……心配しなくて良い感じかニャ?」
「勿論ですわ」
にゃんこ鍛冶師はチラ見せ。次回活躍イタします。
それでは皆様また次回。




