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台所が汚いと、男が怒るのは何故かを考察する

作者: 天野 進志

 台所が汚いと、男が怒るのは何故かを考察する



 寝る前の台所に、怒る友人がいる。


 夕食後、洗い物を終えた家の者が、最後の拭き上げをしないのが理由と言う。


 友人は料理店でアルバイトをしていたこともあり、その影響らしい。


 それぐらいと思う私も、台所に洗い物がいつまでも残っていると、気に障る。


 同じように感じる男性は、少なくないのではないだろうか。


 そんな男どものために、「男子厨房に入らず」と言う言葉があるのだと、勘ぐってしまう。


 見なければ、気にしようがないからだ。


 しかし、台所が汚いと、どうして男は怒ったりするのだろう。



 野生の肉食獣、例えばライオンを想像して欲しい。


 獲物を獲ると、ハイエナや他の肉食動物が、血肉のにおいを嗅ぎ分け寄ってくる。


 それらはすべて敵であり、獲った獲物ばかりでなく、時に命に関わる敵にもなる。


 まして食べ残しがあれば、そのにおいは広がり、より多くの動物、敵を呼び寄せる。


 雄は雌も守らねばならないため、敵が寄ってくる状態は避けたい。


 獲物を食べた後は、何もなくなっているのが安全であり理想だ。


 これは、他の動物であっても同じだ。


 蟻であっても、ネズミであっても、鳥、魚であっても、獲物、食料に群がり、独占しようとすることは命をかけることと同じことである。


 そうでなければ、食べ残しを放棄するか、食べ尽くして何も残さないかの、二つに一つだ。


 台所に話を戻せば、そこが放棄できない以上、食後きれいになっていなければ、雄、即ち男が気になるのは、動物としてのさが、本能なのだ。


 (雌について言えば、雄が守ってくれるのが当然で、守ってくれない雄からは離れていくだけなので、食べかけの獲物が残っている、即ち、台所が汚れていてもさほど気にならない)


 そういう訳で、男は台所が汚いと気に障るのは、本能のためという考察なのだが、そう考える私自身が、この考えを全く信じていない。


 そんな訳、あるか、だ。


 そもそも、そんなに気になるのなら、自分でやればいいのだ。



 ーそれにしても、このように少し気に障るだけで、都合のいい理由を考え出してしまう人間とは、本当にやっかいだ。


 いや、やっかいなのは、私だ。

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