260 セイレーンの集落
研究所に囚われていた亜人達を連れて、ケット・シーのペロとハーピーのハルカ、ヴァンパイアワイズマンのヨシゾー、ドラゴンのドラムがセイレーンの集落に向かっている。
「おーい、ペロ!」
俺は鵺のライヤに乗って、ペロ達に追い付いた。
「ショータ、目的は達成したのかにゃ。」
「達成したさ。」
「お疲れにゃ。ところで、その女は誰にゃ。」
何故か、エキドナが下半身人間の姿でついて来ていた。
「エキドナだ。何故か付いて来た。」
「そうよ。妾は魔王軍四天王エキドナだ。」
「え!エキドナにゃ?」
「ホントだー。その顔はエキドナだー。」
「しかし、人間の足ですぞ。変化したのですか?」
ハルカと、ヨシゾーが飛んできた。
「分かった、説明するからちょっと待って。」
俺は周りを見て。
「バズ、ユキ、周囲の警戒を頼む。」
とバズとユキにお願いした。
「承知シマシタ。」
「承知しんした。」
魔神パズズのバズと雪女のユキの声だけが聞こえた。
俺は今までの事を、ペロとハルカとヨシゾーに説明した。
「そーするとー。エキドナちゃんも、ショータの嫁に立候補したって事で良いのかなー?」
ハルカがエキドナに聞く。
「そうだ。妾はショータの子が欲しいのだ。」
「ショータはしょうが無いにゃ。」
「ショータ様はモテモテですな。」
「いや、違うから。」
そうこうしながら、数日かけてセイレーンの集落に着いた。
「こんなところに、集落があったんだな?」
とエキドナが驚いている。
「おいおい、四天王が知らなくても良いのかい。」
「四天王と言っても、魔王国の全ての村を知ってる訳ではないぞ。」
「まあ、そうか。」
「あ、報告はハルカに任せるよ。またババアが来たら面倒だ。」
「はーい。ってババアここにいるけどー。」
「え!」
「誰がババアじゃああああああ!」
長のババアが集落から出て来ていた。
「貴方です。」
ババアを指差す。
「なにぃ!うぬぬ・・・。」
怒りを隠せぬババア。
今日はババアの横に、体格の良いセイレーンの男が立っていた。
「おい、村人を助けて貰ったのは、感謝するが、長に対して無礼だぞ。」
「誰だお前?」
「俺は長の息子で、次の長になるカンタだ。俺がいない時に、集落が世話になった様だが、俺が戻って来たからには、好き勝手はさせんぞ。」
「別に好き勝手してないけど?」
「大体だなぁ!この集落の住民であるセイレーンは集落に入れるが、他の亜人までは面倒は見れんからなぁ。」
「はぁ、同じ魔王国の国民だろう、数日は世話してやれ、疲れも取れれば自分たちで元住んでたところに帰るだろう。」
「ふん、ただでは面倒を見れんな。」
「その事は直接各人と交渉してくれ、俺は知った事ではない。」
「お前達が連れて来たんだろう!最後まで責任を持てぇ!」
「煩い奴だなぁ。」
「おい、ショータ、こいつは何を言ってるんだ。意味が分からん。」
エキドナが俺に聞いてきた。
「俺も分からんよ。そうだ、エキドナ、何とかしろ。俺は攫われた亜人達をここで解放して帰りたい。」
「分かった。」




