258 魔法契約
悪鬼王アスラと戦闘中だったエキドナが、俺の元に飛んできた。
「ショータも手伝え!」
「ユキ、バズ、俺がエキドナと話をしている間、アスラを押さえてくれ。」
「承知シマシタ。」
「承知しんした。」
魔神パズズのバズは風になって、ユキは吹雪になって、アスラに向かった。
そして俺はエキドナに話し掛けた。
「アスラを魔王軍には誘うのを諦めたのか?」
「言葉が通じんし、妾に傷を付けた奴は許さん。」
エキドナは拳を強く握り締めて、アスラを睨む。
「本当は四天王が呼び出したのだから、魔王軍で処理して欲しいのだがねぇ。」
「む、奴を野放しにしたらショータも困るのでは無いか?」
「いや、別に困らないよ。目的のガルダムは殺したし、逃げようと思ってたんだ。」
「奴はショータの国にも、いずれは行くぞ。」
「そうだろうね。ガルダムは世界を滅亡させる様に洗脳したと言ってた気がするし。」
「ほら、そうだろう。」
「アスラは俺の国を襲撃に来た時に倒せば良い。それより将来敵になるかも知れない、魔王軍の戦力を減らしてくれてから、倒した方が都合が良いでしょ。」
「ぐぬぬ、勇者を倒す前に、戦力を減らしたく無いのだ。」
「それは、エキドナの都合だろう。俺にメリットは無いなぁ。」
「ルーデルもガルダムも死んだ今、妾の魔王軍の地位も上がるだろう。どうだ、魔王軍はショータの国を襲わない条件で、アスラを倒してくれないか。」
「あれぇ、随分弱きだねぇ。さては勇者に魔獣軍団をかなり倒されたか。」
「む、バレたか。残った者が少ないので、ガルダムに配下の召喚を頼みに来たんだ。」
「成る程、それで今は1人なんだね。」
「そ、そうだ。頼む。」
「俺の国と同盟国に、魔王軍は攻めて来ない条件プラス追加で、貸し一つだよ。」
「むむむ、しょうが無いその条件をのもう。頼んだぞ。」
よしよし、どさくさに紛れて、同盟国に攻めない条件も追加しちゃったぞ。
「エリ、口約束だけど大丈夫かね。」
「契約の魔法を交わせば大丈夫じゃ。」
「む、契約の魔法も使えるのか!」
エキドナはドキッとした様だ。
あっ、こいつ後で有耶無耶にする気だったな!
俺はエキドナをジト目で見る。
「うー、分かった分かった、契約の魔法を取り交わそう。」
エキドナは観念したみたいだ。
「主様、妾とエキドナで契約の魔法を取り交わすのじゃ。」
「任せたよ。」
「契約の内容は・・・。」
エリは先程俺が言った内容を宣言して、呪文の詠唱を始めたこと
「エルフのエリとエキドナの命をかけて、古の神と悪魔に誓い、契約を取り交わす。『|魔法契約《Magic Contract》』!」
神聖な魔力と邪悪な魔力が混じり合って、エリからエキドナに伸びた。
「『|了承《acknowledgment》』した!」
エキドナは呪文で了承の意を示す。
え?エリの命?
「おい、エリ、エリの命をかけるって、どう言う事だ。」
「ん?主様はアスラを倒す手を見つけたのじゃろう。」
「まあ、そうだが。エリの命を簡単にかけるなよ。」
「妾の事を心配してくれるのじゃな。」
エリが嬉しそうに抱きついてきた。
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