257 エキドナVSアスラ
魔王軍四天王エキドナが、悪鬼王アスラの前に飛んでいき声を掛けた。
魔神パズズのバズと雪女の雪女は、俺の左右に戻って来ていた。
「悪鬼王アスラとやら、妾は魔王軍四天王エキドナだ。主は魔王軍四天王ガルダンに召喚されたのであろう。今から勇者を倒しに行くのだ、妾の配下に入れ。」
アスラの3つの顔の1つが、上空のエキドナを眉を顰めて見上げた。
「うがっ!」
アスラは口を大きく開き、鋭い牙が見える。
消えるアスラ。
アスラはエキドナの背後に現れて、鋭い爪をエキドナの背中に突き立て、首筋を噛みつく。
予備動作や跳躍する素振りさえ無かった事から、動きが速いだけでは無さそうだ。
エキドナとアスラの戦いを見せて貰おう。
「うぬっ!」
エキドナは回転しながら飛び出し、距離を取って再び向かい合う。
「お主話せんのか?」
「うががああああ!」
アスラの顔の一つが呪文を詠唱し始めた。手を合わせた二つの手に魔力が集束されていく様だ。
「ちぃ、妾の配下になるつもりは無い様だな。」
エキドナの身体からも魔力が溢れていく様だ。
アスラの口から、黒い炎が吐き出され、エキドナの手からは黒い闇の渦が噴き出した。
黒い炎と闇の渦が衝突する。
物凄く濃厚な魔力が辺りに飛び散り、ピラミッドの土台が溶けて、煙を上げていた。
エキドナが下半身の黒い蛇の尻尾をアスラに叩きつけるが、アスラはエキドナの背後に現れ蛇の尻尾を躱し蹴りを放つ。
エキドナは黒い蝙蝠の翼を動かし、その場に闇を残して素早く前に出て向き直る。
アスラの蹴りが闇を貫くが、闇を素通りするだけだ。
「妾に刃向かう者は死ぬが良い。」
アスラの周りに闇が広がりアスラを包む。
闇の中でアスラの持つ玉が妖しく光った。
「エリ、閃光の直後にアスラに矢を放ってみてくれ。」
「了解じゃ。」
一瞬の閃光。
カメラのフラッシュの様な、強力な光が視野を白く染める。
エキドナの前面が火傷を負った様に、焦げているが、見る間に回復していく。
「ぐぬぬ、よくも妾の顔を焼いてくれたのう!」
闇が消えて、アスラが宙に浮いていた。アスラの腹にエリの矢が突き刺さっていた。アスラは矢を抜いて捨てる。矢の後は一瞬で消えた。
「攻略法みぃつけた。」
俺はニヤリと笑う。
目の前ではエキドナとアスラの戦いが続いている。
アスラは瞬間移動をしながら、エキドナを攻撃するが、エキドナはアスラの出現場所が瞬時に分かるのか、アスラの攻撃を余裕で躱しながら、両手と尻尾でアスラを叩く。
エキドナの攻撃もアスラの結界を破る事が出来なそうだ。
エキドナが俺の近くに飛んできた。
「ショータも手伝え!」
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