246 撤退
魔王国の魔都グロガにある時計台の上で、三つ巴になっていく、勇者パーティーと魔都グロガの軍、魔王軍四天王エキドナの部隊の戦いを見ていた俺達。
黒いドーム状の結界に覆われて戦闘は見えなくなった。
「勇者パーティーって酷い奴らじゃな。」
とエルフのエリが言うと。
「全くだよー。何もしていない街の人を傷付けたり、建物を壊すほど暴れ無くても良いよねー。」
ハーピーのハルカも同意している。
「同意するでありんすぇ。」
雪女のユキも勇者達を目を細めて見ているが、ちょっと怒ってる様だ。
「結果は気になるけど、撤退した方がいいな。」
「そうじゃな。巻き込まれると厄介じゃ。」
とエリも賛同する。
「そうだにゃ。今のうちに先へ急ごうにゃ。」とケット・シーのペロ。
俺達は宿に戻った。
宿の入口では、セイレーンの従業員が宿で待っていた。
「お客様、お帰りなさいませ、しかしまだ安心は出来ません。避難されていた方が安全ですよ。」
と言われたが。
「いや、チェックアウトをしに来た。俺達は都市を出るよ。」
「そうですかぁ、態々有り難う御座います。料金は前払いでいただいておりましたので、無断でも良かったのですよ。追加料金も発生しません。」
「帰って来なかったら、心配するんじゃ無いかと思ったんだよー。」
ハルカが前に出てきた。
「おお、仰る通りです。本当に有り難う御座いました。道中お気をつけてください。」
「またねー。」
「ドラム、行くぞ。」
「了解だ。」
ドラゴンのドラムは地竜形態に変化した。
俺はアイテムボックスから馬車を出すと、エルフのエリとヴァンパイアワイズマンのヨシゾーがドラムを馬車にセットした。
「馬車を保管出来るアイテムバッグなんて初めて見た・・・。しかもドラゴンを地竜の替わりにするなんて・・・。」
セイレーンの宿の従業員は驚愕の表情で、唖然として呟いていた。
ハルカが「内緒だよー。」と言いながらウィンクをして、馬車に乗った。
都市の西部の一画で勇者達の戦闘があって、今ドーム状の黒い結界に覆われている。
俺達は東に向かうので、問題無いだろう。
避難した人々の動きも一段落したようで、無人の街路を進み都市を出た。
「ふぁー、寝れなかったねー。」
ハルカがあくびをしている。
「そうだねぇ。」
俺は頭の後ろで両手を組んで座席に寄り掛かる。
御者席からエリが声を掛けて来た。
「馬車の中で寝てても良いのじゃ。」
エリと共に御者席に乗っているヨシゾーが、
「私は寝なくても問題が無いので、夜通し走らせますよ。」と言う。
「えっ!寝ないで走るのかい。」
ドラムが嫌な顔をしていそうだ。
俺達は都市を抜けると荒野の道に出た。魔王軍四天王ガルダムの研究所がある、ルーマカ山を目指して進むのであった。
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