241 勇者襲来
ドゴオオオオン!!
俺は爆音と激震で目を覚ます。
ベッドから飛び起きて、慌てて服を着替えた。
俺達は魔王国にある魔都グロガの高級宿に泊まっていた。
窓の外を見ると深夜で闇が深い街中で、閃光が輝く。
ガチャガチャ、バタンッ!
部屋の扉が開いて、エルフのエリとハーピーのハルカと雪女のユキが入って来た。
「ショータ様、大丈夫かのぅ!」
「大丈夫ー。」
「主様、大丈夫でありんすか?」
ケット・シーのペロも部屋に現れた。
「大丈夫かにゃ?」
「ペロ!何があった?」
「見てくるにゃ。」
ペロが影に消える。
「バズにも見てきてもらうのじゃ。」
「承知シタ。」
魔神パズズであるバズの言葉が聞こえて、風が窓を開けて吹き抜けた。
窓が開くと外気が入って来ると同時に、外の音も大きく聞こえてきた。
戦闘音。
魔法による都市の破壊と悲鳴。
幾ら力が正義のやり過ぎじゃないの?
トロルの巨人兵やワイバーンの飛行部隊の影が見える。
戦争か?
「勇者が暴れてたにゃ。」
「勇者パーティーデシタ。」
ペロとバズが戻って来た。
「勇者?」
「都市の兵士達と戦ってたにゃ。」
エキドナが追っていったはずだが、勇者はこっちに来てたのか?
「迷惑だな。真っ直ぐ魔王の城に行けば良いのに。」
「魔王城の場所を特定してないんでしょうね。」
ヴァンパイアワイズマンのヨシゾーが、俺の横に来た。
「この都市を出ますか?」
「う~ん、それも選択肢の一つかな、でも、遠目で戦闘を見れるなら、見ておきたい気もするなぁ。」
そこに有翼人の従業員が部屋の入口から声を掛けてきた。
「すいません。お客様、街中で大きな戦闘が発生して、場合によってはこの宿も危なくなる可能性がありますので、避難してください。」
「分かりました。ご丁寧に有難う。」
「いえいえ、宿の指示では無いのです。有翼人種の仲間がいるパーティーですので・・・。」
おやハルカに惚れたか?
可愛いからなぁ。
「成る程、ところで無闇に避難しても危険がありそうなので、戦闘を遠くから確認出来る場所ってありますか?」
「え~。空を飛べれば、時計塔の屋根の上が良いのですが・・・。」
「ああ、皆、空は飛べるので、そこでOKです。時計塔はどこにありますか?」
「ここから西に向かうと高い塔があります。」
「有難う、行ってみます。」
俺達は窓から出た。
ペロは俺の影に消えて、ユキは冷気になって消えた。
ハルカとヨシゾー、鵺のライヤ、空狐のクーコ、はそのまま飛行し、エリはバズに乗って、俺はドラムに乗って飛び立った。
「西ってどっちー?」
ハルカが真っ先に飛び出したのだが、空中で待っていた。
「あっちです。」
ヨシゾーが2枚の蝙蝠の翼を出して、宙に浮き指差す。
「良し、行ってみよう。」
ヨシゾーが指差した高い塔のシルエットを目掛けて、俺達は飛行速度をあげた。
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カクヨム様にて10話程度
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