228 折檻部屋前の戦い
部屋の中で一人、魔力探知を巡らせて、居城の様子を窺っていた『賢者』ツバサ。
愛杖カドゥケイスを片手に思考を巡らせる。
(くっ、イブキが殺された・・・。侵入者は6人のはずだが、私が探知出来ない者もいるのか?いずれにしても、辺境伯の元に向かっている侵入者は排除せねばならんな。)
その時、居城全体が微かに揺れた。
(ん、なんだ?)
ツバサは異変に顔を顰める。
(魔力的に何も問題は無いが、何かがおかしい?)
部屋の中を見回し、窓の外を見るが何の変化も無い。
しかし違和感がある。
(辺境伯のところに急いで行こう。)
護衛として雇われているツバサにとって、1番の優先するのは辺境伯の命だ。違和感を感じたからには、辺境伯の所在を確認し、護衛する必要がある。
ツバサは魔力探知を行いながら、辺境伯の折檻部屋向かう。
同時刻、玄関前から辺境伯の折檻部屋に向かって歩く『剣神』ヤマトも異変を感じた。
(なんだこの感じは?魔力とも気とも異なる異様な感じだ。)
ヤマトは剣神に上り詰めた事により、気功士ほどでは無いが、気を感じる事が出来る様になっていた。
(急がねば!)
ヤマトは走り出した。
辺境伯の折檻部屋前では、騎士隊長である聖騎士カイトと騎士隊の騎士5人が、2体のスペクターアサシンと対峙していた。
扉の前で、丸形で複雑な装飾のある愛用のアキレウスの盾と、短槍を構える。
「ここは通さん!」
「くくく、この程度の数で我らを止められると思うな。」
5人の騎士が、スペクターアサシンに襲いかかる。
半透明のスペクターアサシン達は、騎士の剣を避けようともせず、身体で受け止める。
スカッ。
素通りする騎士の剣撃。
「ははは、この程度か!」
騎士が剣を振り降ろした直後に、スペクターアサシンの長く鋭い爪が、騎士の鎧を貫通し胸を貫く。
ブシュッ!!!
もう1体のスペクターアサシンが、騎士の目を爪で突き刺す。
ドシュッ!!!
あっと言う間に騎士5人が、スペクターアサシンに殺された。
「ははは、弱い弱い。この程度では護衛とは言えんぞ。」
「くっ、だが俺は負けん!!!」
カイトは盾を前に出した。
スペクターアサシンから急に伸びた爪が、盾に当たり受け流される。
「む?俺の爪が貫けないとは!」
その時、光線がスペクターアサシンの後頭部に直撃し、スペクターアサシンの頭が消滅した。
シュボッ!!
「賢者ツバサ参上!」
同時に走り込んできたヤマトが、もう1体のスペクターアサシンの首を刎ねた。
ズシャッ!!!
「剣神ヤマトだ!」
「ツバサ、ヤマト、有難う。」
カイトがツバサとヤマトに御礼を言うと。
「まだ終わって無いぞ!」
「気を抜くな!」
ツバサとヤマトは身構えて叫ぶ。
「後1匹、近くに隠れている。」
ヤマトは右足を半歩前に出して身体を半身にし、納刀したクトネシリカの柄を右手で掴み、居合いの構えで辺りの気配を探る。




