224 ロヤスゲ辺境伯
俺はケット・シーのペロにフロスト砦の出来事を報告し、ペロから辺境伯の情報を聞く。
「辺境伯は、ショータなら問題無いが、魔王軍の領域と隣接してるから、それなりの護衛がついてるにゃ。」
「ほうほう。どんな奴等だ。」
「Sランク冒険者3人と騎士団長が強いにゃ。」
「そいつらに気付かれない様に、暗殺する事は出来ないのか?」
「アタシとユキとバズなら可能にゃ。だけど、エリに復讐させるのは難しいにゃ。」
俺とハーピーのハルカは敢えて除外してるのかな?
まあ、深く突っ込むのはよそう。
「そうだな。エリが復讐を果たさないと意味は無いだろう。」
「そうにゃ。」
「すると、俺達が陽動する感じで進めるか。」
「それが良いかにゃ。」
「ショータのダンジョン化で分断して、フロスト砦の時と同じで良いんじゃないのー。」
ハルカがお菓子を食べながら、割り込んできた。
「悪くはないにゃ。でもダンジョン化した時点で、100%バレるにゃ。」
「Sランク冒険者か?」
「そうにゃ。1人探知系スキルが優れた奴がいるにゃ。」
「成る程、始めにそいつを暗殺した後で、分断した方が良さそうだな。」
「それが良いかにゃ。」
「他に情報はあるか?」
「魔王軍の暗殺者もこの都市に潜入してるにゃ。」
「ほう、それは面白い事になりそうだな。」
「そやつの暗殺に便乗してそやつらを陽動にするのじゃな?」
エルフのエリも会話に混ざって来る。
「それも良いかもにゃ。」
「最終的にフロスト砦と同様に、魔王軍の仕業と思わせられれば、完璧だな。」
「面白くなりそうねー。」
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その頃、居城の執務室にて、フロスト砦の報告を受けるロヤスゲ辺境伯。
「ふがっ、カシゾー将軍は何をやっとるんだぁ!折角皇帝陛下が慈悲を持って屈辱を我慢し、魔抜けの肉壁の兵隊を招いてやったのにぃ!ふごっ。」
ドカッ!!
興奮したロヤスゲは手に持っていたコップを、報告に来た兵士に投げつける。
「ひぃ。」
ガシャン!!
コップは跪く兵士の顔に直撃した後、床に弾け飛び割れる。
「ぐひぃ、これでは儂が陛下に叱られるだろうぅ!ふぎぎ。」
バキッ!!!
怒り心頭に発するロヤスゲは、顔を真っ赤にして兵士を睨み、持っていた杖で兵士を打ち据える。
「まあまあ、ロヤスゲ閣下、少し落ち着きましょう。」
ロヤスゲの隣で鎧に身を包む、偉丈夫の騎士団長カイト。
まあまあとロヤスゲを宥めながら、兵士に部屋を出て行くようにゼスチャーで伝える。
ロヤスゲ辺境伯を諫める事が出来るのは、何度もロヤスゲの命を救った騎士団長カイトだけなのだ。
「ふぐぐぐ、魔抜け共めぇ、生意気な事をしやがってぇええええ。」
わなわな震えるロヤスゲ。
「ええええい!奴隷女をいつもの部屋に連れて来いぃ!」
お供の従者に言い放つと、部屋を出るロヤスゲ。
「・・・畏まりました。」
「またか。」と小声で愚痴り、嫌な顔をして、部屋を出る従者。
苦虫を噛み潰すカイト。
奴隷女の折檻部屋からは、今宵も悲しい悲鳴が聞こえる・・・。
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カクヨム様にて10話程度
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