213 気功士兵団の実力
キャル達気功士兵団の50名が魔法兵団の宿舎前に駆け付けた。
外の魔王軍から砦を防衛している兵士が殆どだが、その任務から外れた兵士達が魔法兵団の宿舎に駆け付け、宿舎から溢れてくる魔王軍のモンスター達と戦っていた。
数は少ない為、溢れ出るモンスターの侵入を止める事が出来ず、侵入の時間を遅らせる程度だった。
「助太刀に来たよー。」
ヒュン、ズバババン!!
ミクが大声で叫びながら、前衛で戦ってる兵士達の間に割り込み、剣でスケルトンを薙ぎ払った。
気をのせた剣の一振りには凄まじい威力があり、前にいたスケルトン達が斬り飛ばされる。
「ちょっと下がってぇー。危ないよー。」
アヤは兵士達の頭上を飛び越え、跳び蹴りをスケルトンの頭蓋骨に喰らわす。
ヒュッ、ガゴオオオン!!
兵士達は何事かと思いながら、キャル達の元に下がってきた。
「全員!撃てえええええ!」
キャルの号令で、気功士兵団の魔弾が魔王軍のスケルトンに一斉に放たれた。
ドガガガガガン!!!
魔弾の爆発でスケルトン達が弾け飛ぶ。
「負傷している人はこっちに来てねー。来れない人がいたら連れて来て下さーい。」
キャルが大声で叫ぶ。
負傷兵達はキャルの元に集まって来た。
キャルは生命力を負傷兵達の範囲に飛ばした。
「な、なんだ?」
「回復したぞ!」
「痛くなくなった!」
「魔法のエリアヒールより凄い!」
「あぁ、聖女様の様だぁ。」
魔弾の一斉攻撃で吹き飛んだスケルトン達の元へ、気功士兵団が突き進む。
その先頭はミクとアヤそしてノノだが、兵士達を回復したキャルも走って来た。
魔弾の煙が晴れて、後続のスケルトン達が迫ってきた。
「生命力吸収!」
キャルが回復で使った生命力を、スケルトン達から吸収しながら進む。
スケルトン達の動きが鈍くなり、気功士達が確実に倒していく。
「アヤさん、流石キャル様です。生命力の吸収と供給の技術はナンバーワンですね。」
ノノがアヤに言う。
「そうね。ダルアさんとショータさんを除外すれば1番ね。」
「スケルトンに生命力があるのが、今一理解出来ませんが・・・。」
「ダルアさんの話だと、生命力って言うと可笑しいけど、本当はHPなんだって。」
「HP?」
「ヒットポイントの事で、生きてる者は皆このポイントを持ってて、このポイントが無くなると死ぬんだって。」
「良く分からないなぁ。」
「こそこそ!話してないで、戦いなさい。」
キャルがアヤとノノを叱る。
「「はーい。」」
割と余裕でスケルトン達を迎撃していく気功士兵団を、唖然と見詰める帝国兵達。
「気功士って・・・つえぇ!」
「訓練した俺達より圧倒的じゃ無いか?」
しかし、帝国兵達が驚くのはこれからだ。
戦いながら敵の生命力を吸収出来る気功士は、何時までも戦い続ける。
怪我をしても各自又はお互いに回復出来る為、負傷して下がる者もいない。
「あいつら人間か?」
「すげぇ!!」
「怪我してもいつの間にか治ってるぞ。」
「疲れないのかな?」
「どんどんスケルトンを倒して行くぞ。」
「押し戻しやがった・・・。」
驚愕する帝国兵を置いて、気功士兵団は魔法兵団の宿舎の奥まで進んで行った。




