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209 フロスト砦3

「ちょっと待ってくれ!」

カシゾー将軍は慌てて両手を前に出して、気功士を止めた。


しかし魔法兵団の人達が騒ぎ出す。

「ガキどもおおおお!!舐めるなあああ!」

「チクショー!仲間を殺したなぁ!」

「クソォ、殺してやる!」


魔法兵団の人達は魔力を身体に纏い、臨戦態勢になっていた。


「おい!お前ら待てえええええ!」


カシゾー将軍は魔法兵団を向いて威圧を放つが、興奮している魔法兵団には効かない。


魔法兵団の魔法使いは詠唱していた。


はじめは気付かなかったが、囁く様な小さい声で、詠唱は集団で行われていた。


「おいおい、こんな場所で集団詠唱かよ!」

「戦略的魔法じゃねえか。」

「やべえぞ。」

「逃げろおおおお!!」


戦略的魔法は広範囲を高火力で攻撃する魔法だが、膨大な魔力を使用する為、集団で詠唱する必要がある。


詠唱時間が長い事も特徴であり、全員の詠唱を会わせないと正しく発動されないので、高難度でもある。


また、詠唱中に攻撃される危険がある事から、何らかの防御とセットで行う必要がある。


今回は結界魔法とセットで使用した事から、明らかに事前に打合せをしないと行えない為、計画的犯行である事は明らかだ。


整列していた兵士達は一斉に逃げ出し、遠くから様子を見ている。


「何をやっとるぅ!」


カシゾー将軍は素早く剣を抜くと、魔法兵団に斬りかかった。


ガツンッ!


魔法兵団の前列が結界の魔法を唱えており、カシゾー将軍の剣は結界に阻まれた。


「お前らあああああ!帝国と気功士王国の先端を開く気かあああああ!」


叫ぶカシゾー将軍。


ガシッ、ガシッ、ガシッ、ガシッ、ガシッ!


何度も結界を斬ろうとするが、物理無効の集団魔法の結界は剣撃を弾く。


「一丸となって戦わねば、魔王軍に攻められるぞ!」


カシゾー将軍はキャルに振り向く。


「キャル!逃げろ!」


「随分上から目線ですねぇ。ですが心配無用です。」


キャルは余裕の表情で魔法兵団を見ていた。


キャルは右手でサムズアップの形を作り、親指を自分の首を左から右に斬る動作で動かす。


そして親指を下に向け、サムズダウンをした。


キャルの動作を眼にして、カシゾー将軍。


「な、何をしておる?早く逃げないと死ぬぞ!」


カシゾー将軍は魔法兵団に振り返った。


「ぐふっ・・・。」

「がはっ・・・。」


戦略的魔法を詠唱していた魔法兵団の者が、次々と倒れていく。


ドタンッ!バタンッ!


魔法兵団の結界魔法の内部に、戦略的魔法を詠唱していた者の後ろに、黒いローブの気功士達がいた。


「なにぃぃぃ!」

「いつの間に後ろに移動していた!」


結界魔法を詠唱していた者が振り向く。


気功士達の拳撃が蹴撃が魔法兵団達を倒していった。

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