208 フロスト砦2
俺達気功士兵団はフロスト砦に到着し、門をくぐった。
砦の軍を指揮する帝国のカシゾー将軍が出迎えた。
カシゾー将軍は先頭のキャルを見て、一瞬不信の表情を見せるが直ぐに作り笑顔でキャルに挨拶した。
「おう、良く来てくれた。俺は砦の責任者カシゾーだ。学園都市を落とした実力を期待してるぜ。」
砦に参戦している者達が両脇に並ぶ。
俺達の先頭はキャル、そしてミク&アヤ、ノノが続きその後ろに俺を含めた100人の気功士が続く。
俺達と100人の気功士は全員黒いローブをかぶり 、顔を隠している。
エリと俺の顔を見せたくなかったので、皆ローブで顔を隠す事にしました。
「出迎えご苦労様です。私は気功士王国のキャルです。宜しくお願いします。」
見守る兵士達はざわめく。
「はぁ、なんだ小娘じゃねえか。」
「あんなので戦場に出れんのかぁ。」
「気功士なんて言ってるが、どう見てもただの魔抜けのガキだぞ。」
「あんなガキどもに学園都市を乗っ取られたのか?」
その時、魔法兵団の男が前に出てきた。
「カシゾー将軍!気功士の精鋭が参加すると聞いていたんですが、どう見ても小娘とガキばっかりだ。このまま一緒に戦場に出るのは不安があります。」
「ん?だったらどうする。」
「模擬戦をやらせて貰えませんか?」
「そうだな。来たばっかりで悪いが、俺もあんたらの実力が知りたい。どうだい?」
カシゾー将軍はキャルの眼を見た。
「ふっ、私達を舐めてるんでしょう、模擬戦なんて生温い、決闘だったら受けますよ。」
お!キャルも強気でいくなぁ。
「決闘?」
魔法兵団の男はキャルを睨む。
「あら、小娘が怖いのかしら?」
キャルも押すねぇ。
「なにぃ!魔抜けごときが、調子に乗るなよおおおお!!」
「じゃあ決闘する事で良いのね。ミク、任せるわ。」
「了解!相手はあんたで良いの?」
ミクが前に出て魔法兵団の男を指差す。
「ふざけるな!やってやろうじゃないか!」
魔法兵団の男は詠唱を開始した。
「ちょっと待・・・。」
カシゾー将軍は慌てて止めようとしたが。
「大いなる火の神よ、我の求めに応じ、その力を・・・わ、・・・んぐっ。」
ドシュッ!
ドタンッ!!
魔法兵団の男の額に穴が空き倒れた。
ミクが指差した右手に注目をさせておいて、左手の指弾でモンスターの牙を放っていた。
「遅いわね。戦場でもそんな悠長に詠唱してるのかしら?」
凍り付く将軍達。
「!」
その時、ミクが急に飛び退く。
ノノがスルッと前に出てきて、剣を抜くとミクが居た位置の横に剣を突いた。
グサッ!
そこには隠蔽魔法で隠れてミクに近付いた魔法兵団の男が、ナイフを握ってノノに首を刺されていた。
ドタンッ!!
ノノが無言で男を蹴飛ばし剣を抜いた。
「えええええ!」
「なんだあの小娘達は・・・。」
「魔法兵団は隠蔽を使って、魔抜けを殺そうとしたのか?」
「しかし、強いぞ。」
周りの兵士達は驚く。
「あら、帝国の戦争は、隠蔽魔法で隠れて味方を殺すのを許してるのかしら?それともこれは気功士王国への宣戦布告なの?」
キャルがカシゾー将軍を睨む。
無言のカシゾー将軍。
「魔力の無い私達の仲間を、今まで何人も殺して来たんだもんね。そして、いきなり暗殺しようとするなんて、許さないわよ!」
アヤも臨戦態勢で身構えた。
俺も密かに準備をしているよ。
いきなり一触即発、どうなる!




