207 フロスト砦
対魔王軍に最前線フロスト砦。
そのフロスト砦に気功士部隊が参戦する事が告げられた。
休憩中の砦内の荒れ地で、会話する2人の冒険者。
「おい、魔抜け部隊が今日来るらしいぜ。」
革の鎧に身を包む冒険者の戦士の男。
「はぁ?魔抜け如きが戦力になるのかぁ?」
魔法使いの冒険者の男。
「気功士だってよ。」
「あ”!気功士だとぉ!」
魔法使いの男が粗い声を上げる。
「そう、あの気功士だ。」
革鎧の男は苦々しい表情を浮かべる。
「はぁ!学園都市の冒険者ギルドを乗っ取った奴等かぁ?」
「そうらしいぞ。学園都市からの参戦だ。」
「くくく、魔抜けに戦場の厳しさを教えてやらんとなぁ・・・。」
「ああ、冒険者は舐められたら終わりだ。ギルドの仇を討たないとな。」
革鎧の男は拳を握り締めた。
「そうそう、きっちり身体に刻み込んでやれ、魔抜けに戦場は厳しいって事をな!」
革鎧の男の肩を掴むごつい手に、男は驚き振り向く。
「ガルバ様!」
そこには、Sランク冒険者のガルバがいた。
「いつの間に・・・。」
魔法使いの男も驚愕の表情。
「俺は学園都市のギルド出身だ。ギルドを潰して乗っ取った魔抜けどもは許さん!」
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一方魔法兵団の宿舎。
学園都市から派遣されていた魔法兵団の兵士はまだ一定数この砦に残っていた。
その数50人。
本国消滅した事から今は帝国国民に変わったが、故郷を奪われた恨みを忘れる事は出来ない。
「魔抜けどもが来るってよ。」
「ただじゃおかねえぞ。」
「戦場に出たら後ろから魔法をぶちこんでやる!」
「くくく、奴らの方から来てくれるとは、傑作だ。」
「いいかぁ!魔抜けどもなど必要ない事を帝国に認識させるんだ。そして最高魔導師ネシマ様の仇を討つぞ。」
魔法兵団団長のヤゴナは団員に檄を飛ばす。
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俺達はフロスト砦に向かっている。
「大丈夫なんですか?」
キャルは不安げに俺を見る。
「何が?」
「だって敵対している魔法兵団の残党や、冒険者達が砦にはいっぱいいるんですよ。」
「だから、帝国と渡りを付けて、戦地では俺達に敵意を持っている者達を、殺しても不問とする条件を認めさせたんだ。」
「戦う前提じゃないですか!」
「あはは、その為にレベ上げしたでしょう。暴れましょう。」
アヤはやる気十分の様だ。
「そうそう、今回の気功士兵団の団長はキャルだ。しっかり頼むぞ。魔力馬鹿達をぶっ飛ばしてやれ。」
俺はキャルに活を入れる。
「気功士の実力を見せてやるわ!」
ミクも気合い十分だ。
「そうそう、最悪帝国と戦争になっても良いよ。そのぐらいの戦力は整えた。魔力の無い者の地位向上の為に、ここで気功士の実力を知らしめるのは重要だよ。」
「頑張ります!」
「ところで、ペロとバズとユキは諜報活動を頼んだよ。」
「分かったにゃ。」
とケット・シーのペロ。
「承知シマシタ。」
と魔神パズズのバズ。
「承知しんした。」
と雪女のユキ。




