197 皇帝ゼクス13世
ダドン王国の国王ダドン15世は、宰相ダッチャと将軍デンガナを連れて、ゼクス帝国の帝都に来ていた。
そして皇帝ゼクス13世に謁見の機会を得る事が出来た。
ゼクス帝国謁見の間。
帝国の貴族や騎士が両脇に立つ中で、国王ダドン達は赤い絨毯を進み、皇帝の前にいくと跪いた。
「ダドン国王よ、良く来られた、面を上げて良いぞ。」
国王であるダドンだが、広大な領地と沢山の属国を持つ皇帝ゼクス13世とは、格が違いすぎる事から、臣下では無いが、最高級の礼儀で謁見しなければいけないのだ。
「ははあ、皇帝陛下に御目見得する事が出来て、恐悦至極で御座いますだどん。」
「ふふ、それで本日はどの様な用事かな?」
「学園都市バクツの事で御座いますだどん。」
「ほほう、先を話せ。」
「学園都市バクツが、魔抜けの賊軍に占拠されておりますだどん。」
「ふむ、それは承知しておるが、儂の理解と相違があるようだな。」
「相違ですか・・・。魔抜けの賊軍は、魔王軍の手先!勇者様のお力添えで討伐し、最高魔導師ネシマ様の仇を討ちとう御座いますだどん。」
「ほう!魔王軍の手先とな。何か確証があるのか?」
「何を仰いますかだどん?魔抜けに魔法兵団を倒す力などありませんだどん。魔王軍の力を借りたに違いないではないですかだどん!」
「何だ、その程度か。魔力の無い者が、魔王軍の手下であれば勇者を差し向けるのは吝かでは無い、寧ろ大軍をもって学園都市バクツを奪還しよう。しかし、魔力の無い者は魔法兵団を倒す力を持っているのだよ。」
「はぁ?そ、そんな馬鹿な!魔力がゼロの魔抜けどもに、そんな力があるなんて信じられませんだどん・・・。」
「それはな、『気功』という力だ。魔法に匹敵する威力を持つ。」
「ま、まさか、気功士の噂は真実なのですかだどん?」
「真実だ。獣人国やサーキ王国、学園都市には、冒険者ギルドに匹敵する気功士ギルドが存在し、気功士達が活躍しているのだよ。」
「うぅ・・・。」
(学園都市の魔法兵団は、気功士達に倒されたと言う事かだどん。)
「儂らは現在魔王軍という最大の敵と戦っている。出来れば気功士達とも手を組んで、共に戦いたいと考えておる。」
「そ、そんなぁ。では、何れ国交も樹立するつもりですかだどん?」
「うむ。直ぐにとは言わないが、帝国に在住している魔導師達の説得が済めば、国交樹立並びに同盟を結ぶ用意がある。何より、帝国に『気功』と言う新たな力が欲しいのだ。」
「・・・。」
(結局戦力増強したいだけじゃ無いかだどん。)
「ダドン、悪いことは言わん。王子が殺された遺恨は忘れて、学園都市と手を組む事を考えてくれ、魔王軍を倒す為に一丸となる必要があるのだ。」
「・・・。」
(王子が殺されて何もしないで許せる訳無いだどん。そんな事したら世界の笑いものだどん・・・。)
「帝国では、学園都市の件については、賊軍の占領では無く、クーデターによる政権交代の認識である。近い将来に新政権の建国を認める方針だ。」
「は、はぃいい?」
(こりゃ帝国の力は借りられんぞだどん。勇者も無理だなだどん。)




