187 学園都市襲撃3
俺達が、学園都市領主の居城に向かって歩いて行くと、門の前には魔法兵団が待ち構えていた。
黒い三角帽子に黒いマント、手には長い杖を持っている人達が、横に並ぶ。
その中心で1歩前にいる老年の男。
黒い三角帽子と黒いマントは周りの兵と変わらぬが、黒を基調とした貴族服で、凝った意匠の長い杖の先端に大きな魔石が付いている。
威風堂々とした雰囲気で、他の兵士とは一線を画する。
白髪と白く長い顎髭、興味津々の眼が見開き、俺達を見詰める。
「儂は学園都市の領主をしている、最高魔導師ネシマじゃ!」
俺はネシマと3m程度の距離で歩みを止めると、隣のキャルと後ろの気功士達も止まる。
「俺はショータだ!この都市を貰いに来た。」
「あっはっは、寝言は寝てる時に言え、魔抜け如きがこの都市をどうにか出来る訳無かろう。だが、面白いぞ。衛兵達を倒してここまで来たか。」
「魔法が絶対と思うなよ!」
「うむ。お前等に魔力が無い事は確認した。魔抜けが戦えるとは興味深い、捕まえて調べて遣ろう。」
俺は挨拶替わりに魔弾を放った。
ヒュッ、ドッカンッ!!
ネシマは無詠唱で、魔法防壁を展開して魔弾を防ぐ。
「ほっほっほ、魔石を飛ばして来たか、魔力を纏って無いが、何かで身体強化をしてる様だのう。生身の身体にしては、スピードが速すぎる。」
ネシマは余裕の表情を崩さない。
「ほっほっほ、衛兵の魔法も防いだ様だのう。どれどれ、それも見せて貰おう。やれ!」
ネシマの号令で魔法兵団が杖を掲げる。
無詠唱で一斉にファイアボールが放たれた。
ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン・・・。
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン・・・。
通常のファイアボールと異なり、当たると爆発する、ファイアボムなのか?
効果は魔弾によく似ている。
辺りに煙りが立ち込める。
気功士達は身体に気を纏って耐えた。
また、躱して煙に紛れて回り込んでいる様だ。気配で確認したが、軽傷者はいても重傷者はいない様だ。
煙りが晴れると気功士達が立っていた。数は若干少なくなり、俺と数名の姿は魔法兵団からは見えない。
「ふむ、初級魔法程度では、ダメージは無さそうだのう。大規模魔法ではどうじゃ?」
ネシマの合図で、数人の魔法兵団の男が、ネシマの前に出ると、ネシマは詠唱を始めた。
気功士達は一斉に魔弾を放つ。
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、・・・。
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン・・・。
魔法兵団の兵士達は、魔法障壁を展開し、魔弾を防いでいる。
ネシマから大量の魔力が溢れ、巨大な魔法陣が気功士達の上空に出現した。
あれは、不味いなぁ。




