171 ミクとアヤ達
学園都市郊外の巨大ダンジョンを歩く、サーキ王国の気功士のミクとアヤ。
同行するのは獣人国の気功士である猫獣人のキャルと、学園都市でゴウタに追われていた人間で気功士のノノ。
そしてサーキ王国のヴァンパイアのアル。
この5人でパーティーを組んでいた。
ノノはダークエルフで転生者であるダルアが、学園都市に来た時に気功士になる様に指導した。
その指導を手伝ったキャルがお目付役でついてきている。
キャルはこのパーティーの気功士の中では、経験が長くお姉さん的な存在だ。
一方ミクとアヤはショータが直接指導し、圧倒的な攻撃力を身につけ、目を離すと危険な事をしそうなので、ショータの眷属であるヴァンパイアのアルがお目付役で同行した。
「むむ。敵が全く居ないんだけど。」
先頭のミクは不満そう。
「地下10階はスケルトンとヴァンパイア達が、敵を粗方倒してるから居ないかもね。」
と最後尾を歩くキャル。
「えー。それじゃ、活躍出来ないじゃん。」
ミクと並ぶアヤも不満そうだ。
「私は敵が出ない方が安心ですけど・・・。」
実戦経験が乏しいので、自信なさげなノノ。
「まあまあ、敵が漏れ来ない様に警戒するのも、重要な任務だよ。」
大人のアル。
「そうだ!9階に行ってみよう。」
ミクの提案に乗るアヤ。
「それは良いね。」
「うんうん敵が弱い9階がいいな。」
「ミクとアヤの割に、なんか怪しいな。」
ノノの台詞に疑問のアル。
「冒険者狙いでしょ。」
キャルが答える。
「あちゃー。バレちゃったか。」
「冒険者には恨みがあるんだよね。」
ミクとアヤはダンジョンの地図を見ながら、地下9階に行く階段を目指す。
「待って、沢山のモンスターの気配がある。」
キャルが警戒の声を上げる。
「本当だ、9階から沢山のコボルトが降りてくるね。」
「やったあああ!レベ上げ出来る!」
歓喜のミクとアヤ。
「えええええええ!怖い・・・。」
震えるノノ。
キャルとアルは眉を顰める。
「おかしいね?地下9階コボルトが地下10階に降りて来るなんて。」
「そうだな。ダンジョンバトルだからかも、油断大敵だな。」
「ひゃっはあああ。」
ミクとアヤは駆け足でコボルト達の群れに急ぐ。
「待ってえええええええ。」
慌てて追うノノ。
「足にしっかり気を纏うのよ。」
キャルはノノに合わせて走る。
アルは背中から蝙蝠の翼を展開し宙を飛ぶ。
「気功士達は体力あるなぁ。」
ミクとアヤはコボルトの群れを発見すると同時に、魔弾を放つ。
シュッ!ドカッ!ブアッン!バンッ!
先頭のコボルトの頭が破裂すると、後続も立ち止まる。
ズシュッ!ブシャッ!・・・。
ミクとアヤはそこに飛び込み剣を振るい、周りのコボルトを斬り刻む。
ズシャッ!
ミクとアヤを擦り抜けて来たコボルトを、上空からアルが剣で斬る。
ドスッ!
「皆凄いです・・・。」
ノノはアルに斬られて倒れたコボルトの、息の根を止める。
そして、コボルトの牙や爪、ナイフで傷付く仲間を、キャルが遠距離から回復していく。
ミクとアヤはコボルトを倒しながら、普通に会話している。
ブシュッ!ガタッ!
「なんか数が多いね。」
ドゴッ!バタッ!
「そだね。次から次に来る。」
バシュッ!ゴロン。
「ラッキーね。レベ上げが出来る。」
ズシュッ!ズドン!
「そそ、数が多くても問題ないしね。」
シュッ!ズドン!
「魔力と違って気の力は補充出来るからね。」
足を斬って倒れたコボルトの後頭部に手の平を当て、『生命力吸収』を放つミク。
「長期戦になってもヘッチャラだね。」
ズシャッ!
ミクに攻撃して来たコボルトの首を刎ねるアヤ。
「本当に気功士は反則だよ。」
ガキッ!ドカッ!ブシャッ!
ノノを庇いコボルトの爪を剣で受け、蹴りを入れて斬り払うアル。
「油断しないで!何者かが来た!」
叫ぶキャル。
9階の階段から降りて来た、普通のコボルトより二回り大きいモンスター。
「グゲゲ、随分仲間を殺してくれたなああああ!」
コボルトキングが現れた。




