169 マスターキングライオン
学園都市の巨大ダンジョン。
最奥の階層にあるマスターの部屋。
大きくて豪華な椅子に座る影。
雄ライオンの頭。勇壮な鬣。
左右3本づつの6本の太い腕。
華美な王の服に身を包む、巨大ダンジョンのマスターであるキングライオン。
王座の肘掛けに1本の右肘を乗せて、手の平に顎を乗せうたた寝している。
<ダンジョン同士の接続を確認しました。ダンジョンバトルを開始します。>
「ぐほ!何だ?ダンジョンバトル?」
起きて辺りを見渡すキングライオン。
キングライオンの前には、豪華な台に乗った綺麗な玉が飾られている。
その玉はこの巨大ダンジョンのダンジョンコア。
「おいコア!ダンジョンバトルって何だ?」
キングライオンはダンジョンコアに話し掛ける。
『ダンジョンバトルはダンジョンマスター同士の戦い、勝利条件はマスターの死亡またはダンジョンコアの奪取となります・・・。』
コアからのメッセージが、キングライオンの頭の中に流れる。
「ぐはは、つまり俺のダンジョンに、挑戦して来た愚か者のダンジョンマスターがいるって事だな。」
『そうです。』
キングライオンはダンジョン機能で情報を取得する。
「ぐはは、接続されたのは地下10階か、オークどもがいるフロアだが、まだ侵入はされて無い様だな。」
『そうです。』
キングライオンはダンジョンコアを通して、オークキングを3匹召喚した。
「ぐはは、お前等10階に転移させるので、ダンジョンに侵入して来た馬鹿共を蹴散らしてこい!」
「「「承知シマシタ!」」」
オークキング達を地下10階に転移させる。
「ぐはは、これで様子を見るぞ。」
『はい。』
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地下10階に転移した3匹のオークキング達。
「ブモッ、オレハオークヲ集メテ敵ヲ探ス。」
「ブフッ、オレハコノ11階ノ降リ口デ待ツ。」
「オレハ1人デ行クブー。」
そう言いながら、既に走り出している1匹。
走り出したオークキングは、10階の接続箇所に向かう。
オークが数匹前方に歩いていた。
「オ前等、俺ト一緒ニ来イブー。」
進む先に居たオーク達を仲間にして、数を増やしていくオークキング。
オークキングは冒険者達とオークが戦っているのを見つけた。
冒険者達に遣られて瀕死のオーク。
「ダンジョンニ侵入シタ馬鹿共ヲ見ツケタブー。遣ッチマエブー。」
オークの群れが冒険者達を襲う。
「何だ!オークの群れが来たぞ!」
「退却だああああ!」
冒険者の魔道士が魔法を使う。
「ファイアウォール!」
オークの群れの前に炎の壁が立ち塞がる。
「今の内だ逃げろおおおお」
前衛の剣士、遊撃の盗賊が後衛の魔道士、回復士の元に走る。
しかし、ファイアウォールは、オークキングの斧の一振りで消された。
ファイアウォールが消えて、姿を現すオークキング。
「オ、オークキングだああ!」
「何故、10階にいる?」
「逃ガサナイブー。者共カカレエ!」




