160 学園生の魔抜け狩り
学園生であるゴウタ達の魔抜け狩りの仲間達は、魔抜けの男を追って林に入った。
「林の中央で止まったぞ。」
と犬獣人の男。
「良し回りを囲むぞ。散開だ。」
学園生の魔抜け狩りは5人。
林の中央を囲む様に散開した。
林の中央で男は立っていた。
ゴウタは男に向かって歩きながら話し掛けた。
「おい、魔抜けのお前を良いところに連れて行ってやる。飯が食えるぞ。」
「ゴウタ、それがいつもの誘い文句か?」
「ん、何で俺の名を知ってる?」
「俺だよショータだ。」
「ショ、ショータ?」
「孤児院では世話になったな、崖から落とすなんて酷い話だ。」
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<ショータ視点>
ゴウタは俺の言葉に驚いた様子だ。
「生きていたのか?」
「この通りだ。」
俺は手を広げて見せた。
「ふはははは、良いところで会ったよ。どうせ魔抜けは仕事も出来ずに浮浪者になるしかないんだ。俺が飯を喰わせてやる。俺に着いてこい。」
「そして、卒業試験で殺すんだろう。」
「ほう、良く知ってるな。殺すとも、だが魔抜けはそれまで生きていくのも辛いはずだ。俺と一緒に来ればそれまでは安全に幸せに暮らせるぞ。」
「日の当たらない地下に入れられて、自由が無く、殺されるのを怯えながら待つのが幸せか?」
「ふん。つべこべ言うな、俺に着いてくれば良いんだ。そら、行くぞ。」
ゴウタは俺の手を取り連れていこうとする。
俺はその手を振り払う。
「断る!」
ゴウタは苛つき魔力を身体に纏った。魔法による身体強化だ。
「おいおい、魔抜け野郎が逆らうなよ。どうやらお仕置きが必要な様だな。」
「どうした、魔抜け野郎に手子摺っているのか?」
他の4人も俺を囲む様に現れた。
「いやいや、魔抜け如きに手子摺る訳無いだろう。直ぐに連れて行くさ。」
ゴウタは1歩踏み込み俺に殴り掛かって来た。
俺は気を身体に纏って準備していたので、余裕で躱しながらカウンターで、右拳をゴウタの顔に叩き付けた。
バコッ!
右拳はゴウタの鼻に当たり、鼻が潰れ鼻血が流れる。
「ふぐっ、な、何があった?そんな馬鹿な。魔抜けが俺を殴るなんて。」
「ははは、ゴウタ、魔抜け野郎になんてざまだ。どれ俺達が叩きのめして遣ろう。」
取り囲んだ4人も魔力を身体に纏い、身体強化を行い、一斉に掛かってきた。
しかし武術の心得が無く、身体強化によるスピードとパワーだけの単調な動きであるため、余裕で躱す。
「え?」
「はぁ、はぁ、何故当たらない?」
「此奴本当に魔抜けだろうな?」
「魔抜けに間違いないぞ。」
一発も当たらず不安になった魔抜け狩り達は、1歩下がって様子見の様相。
「取り敢えず逃走防止にいつもの様に足を斬るぞ!」
魔抜け狩り達は剣を抜いて構えた。




