156 学園生
エルフのエリとハーピーのハルカは、学園都市バクツの冒険者ギルドに向かって歩いている。
「エリはバクツに来たことあるんでしょー。」
「そうじゃな。随分前に来た事があるのじゃ。変わって無ければこの先直ぐにギルドがあるのじゃ。」
「ふ~ん。制服の子がいるけど学園生かなぁー。」
「そうじゃ。あの制服は学園生じゃな。」
「随分老けた学園生もいるのねー。」
「ここの学園は年齢制限無しの実力主義じゃからのぅ。」
「ふむふむ。成るほどぉー。」
ハルカは分かって無いのに、分かった振りをした棒読みの台詞。
その時、前から制服を来た15~16歳ぐらいの若い数人の男達が、ニヤニヤ笑いながら近付いてきた。
「お姉さん達、お茶飲みに行きませんか?美味しいパンケーキの店を知ってるんですよ。」
「パンケーキぃ!」
ハルカはよだれが出そうな顔になって、今にも付いて行きそうな勢いだ。
「ちょっと待つのじゃ。」
エリはハルカを止める。
「えー、パンケーキだよー。」
「そそ、いーじゃん。行こうよ。」
男達がハルカとエリの肩を抱いて連れて行こうとする。
「触るなよー。」
ハルカはスルッと躱して離れ、エリも無言で離れて男達を睨む。
「おいおい、勿体ぶってんじゃねーよ!亜人の癖に!」
男達がハルカとエリの手首を掴もうとする。
「無礼者!何をするのじゃ。」
エリは手首を素速く引いて躱し、返しの裏拳を男の鼻に叩きつけた。
「ふぐっ。」
男は鼻血を出しながら、手で顔を押さえる。
「だから、触るなってー。」
ハルカは男の腹に蹴りを入れる。
「ぐほっ、ぐええええええ。」
男は腹を押さえて吐いていた。
「ちっ、ババアがあああ。」
「待て、高位の冒険者かも知れん。」
「うっ、そ、そうか。」
「不味いな。」
「に、逃げろおおお。」
「覚えてろよおおお。」
倒れた二人の男達を抱えて、男達は逃げ出した。
「ババア?!」
「失礼な!」
エリとハルカは怒りまくる。
「何じゃ、あの者どもは・・・。」
エリとハルカはプンスカ怒りながら、ギルドに向かって歩き始めた。
扉を開けて冒険者ギルドに入った。
冒険者ギルドは閑散としていた。
日中は依頼を実行している冒険者が多いので、この時間帯はギルドにいる冒険者は殆どいないが、学園都市では学園生の冒険者も多く、通常は授業中なので、学園生の冒険者もほぼいない。
いたとしても先程ナンパしてきた、授業をサボってる不良学園生ぐらいしかいない。
エリとハルカはギルドのカウンターに行き、冒険者証を提示して受付嬢に話し掛ける。
「今日この都市に来たのじゃが、ダンジョンの情報を教えて欲しいのじゃ。」
受付嬢は若い女性、誰も来ない時間帯である事を良いことに、うつらうつらしていた。
「は、はい。・・・び、Bランク!」
エリの冒険者証を見てビックリして、目を見開く。
「他人のランクを大声で話さないで欲しいのぅ。」
エリが受付嬢を睨み低い声で言った。
「し、失礼致しました。此方にどうぞ。」
受付嬢はエリとハルカを個室に案内した。




