147 ヴァンパイア4
古城跡の地下のホールで、俺達はヴァンパイア達と戦い始めた。
真祖ヴァラカの強烈な圧力がホールに満ちて、皆身動きが取れなくなった。
「グオオオオオオオオオオオオオ!」
魔神パズズのバズが地の底から響く様な咆哮を上げた。
「ふぅ、バズ助かったのじゃ。」
エルフのエリは弓を構え直し、ヴァンリに矢を放つ。
「大シタ事ハナイ。」
バズは真祖ヴァラカに向かって、風になって飛んだ。
ハルカはヴァラカの圧力で、足を床に付けていたが、再び宙に浮きスッケベンと対峙した。
「スッケベン!何故、魔抜けの人達をヴァンパイア化した。」
ハルカは風刃を飛ばす。
「げへ、人間達に恨みがある奴等を集めたのだ。俺様を陥れた貴族達を、そして王国を破滅に導くのだ。げひ。」
スッケベンは飛翔して風刃を躱し、両手の指を厭らしくわきわきしてる。
「王国を破滅に導きどうする?」
ハルカは剣を構えて飛翔し、スッケベンに向かう。
「げへげへ、魔王様の領土となるのだあああああ。」
スッケベンも剣を構えて飛翔し、ハルカに向かう。
「ま、魔王?!」
空中で剣と剣がぶつかり火花が散る。
ハルカは剣を打ち合いながら、翼から羽根を飛ばした。
羽根はダーツの矢の様に尖端が尖っており、スッケベンも全身に突き刺さる。
「げふううううう。」
スッケベンは後退する。
ハルカは風刃でスッケベンを切り刻んだ。
「げひいいいいいい!」
スッケベンの細切れになった身体は宙に留まり、徐々に元に戻る。
「げふぅ、ヴァンパイアはその程度では死なん。げへげへ。」
その頃、エリとヴァンリの戦いは。
エルフのエリの弓矢が、ヴァンパイアナイトのヴァンリに放たれた。
ヴァンリは大剣で弓矢を斬り落とすが、弓矢は間断無く放たれ、切り落とせなかった矢が、ヴァンリの肩に胸に手足に突き刺さる。
しかし、ヴァンリは気にせず剣で踏み込む。
エリは飛び退き、サラマンダーを召喚した。サラマンダーは炎を吐いた。
ヴァンリは飛翔し炎を躱す。
ホールの重厚な扉が開き、ヴァンパイアナイトのヴァースが踏み込んで来た。
ヴァースは大柄な筋肉質の騎士。
「む?何事だああああああ!」
大剣を構え、エリの背後から襲う。
「賊め、死ねえええええ!」
ヴァースの前にドラゴンのドラムが立ち塞がった。
ドラムは爪で大剣で弾く。
「ウオッと。」
体勢を崩すヴァース。
ドラムの火炎のブレスがヴァースを焼き尽くす。
そしてヴァンパイアアルケミストのヨシゾーと雪女のユキが向かい合っていた。
「ほう、貴様もただの虫ケラでは、無さそうだな。」
ヨシゾーの周りに大小の魔方陣が浮かび上がる。
「・・・。」
ユキは無言で、構えるでもなく自然体で立つ。
「爆ぜろ!」
ヒュウウウウウウウン!!
ヨシゾーの背後の魔方陣が輝き、ユキの胸に光の玉が飛ぶ。
ユキが右手をあげると、光の玉が凍り付き、その周りを厚い氷が纏う。
くぐもった破裂音がして、氷の中で爆発するが、厚い氷を壊す事が出来ない。
「むむ。やるな!」
ヨシゾーの周りの魔方陣が次々と輝き、炎が土の槍がユキに放たれる。
ユキの目の前に氷の壁が現れる。
「無駄でありんす。」
炎の魔法や土の槍はユキの氷の壁を越える事は出来ない。
上空ではバズとヴァラカの高速の空中戦が行われていた。
風となって、飛び回るバズの速度よりも、ヴァラカの方が若干速い様だ。
バズの爪がヴァラカを斬り裂くが。同時にヴァラカの蹴りがバズを捉える。
ヴァラカは闇となり、バズは風となり、攻撃が擦りぬける。




