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146 ヴァンパイア3

古城跡地下のホール。

薄暗い室内に4人の影。


1人は王座に座り足を組む。

美男の男。上等な貴族服を着こなす。


歳は若く見えるがその目は、悠久の時を過ごした知性と落ち着きが浮かぶ。


永年の時を過ごし、何人も敵わぬ覇者の1人、ヴァンパイア真祖ヴァラカ。


無言で目を閉じている。


そして真祖の側で寄り添う、美しい女性騎士ヴァンパイアナイトのヴァンリ。


無言で真祖ヴァラカを見守る。


王座の下で下卑た笑いの貴族服の男、ヴァンパイアのスッケベン。


「げへ、ヴァース様が戻って来ませんな。」


向かい合う難しい顔で、何かを考えている黒いマントの男、ヴァンパイアアルケミストのヨシゾー。


「うむ。急激な魔力反応でこの城が覆い尽くされた。そしてこの雰囲気、ダンジョン化されたのは、間違いあるまい。」


「げへ、生意気な虫ケラで御座いますな。」


「魔力反応も一瞬で消えた。ただの虫ケラではあるまい。」


そこに突如現れる4体の影。


『疾風』エルフのエリ。

『風刃』ハーピーのハルカ。

雪女のユキ。

象サイズで登場、ドラゴンのドラム。


「げひぃ。」

「お前等がダンジョンマスターが一味か?」


驚き戸惑うスッケベンを尻目にヨシゾーが落ち着いて尋ねる。

絶対の自信が窺えるその所作。


「そうじゃ。」

エリが答える。


真祖ヴァラカは興味なさそうに目を閉じており、女性騎士ヴァンリは身動き一つせず、しかし視線をエリに向け、苛立ちを滲ませる。


「虫ケラどもが、何用だ?」

ヨシゾーはエリを見て、街で声を掛けられた時の様に、自然な感じで問う。


よっぽどの自信があるのだろう、気負いも恐れも無く平然としている。


「用件は二つじゃ。隣のスッケベンの命を貰うのじゃ。もう一つはここは妾達の土地となった、出て行くが良いのじゃ。」


「げふぅ、なにい?」

スッケベンが目を見開く。


「スッケベンは僕が殺す!」

ハルカが宙に浮かび、スッケベンを睨む。


「げへ、ハーピーか・・・。ん!あの時の奴隷だな。げへへ、また犯して欲しいのかな。」


「キモい事をいうなああ!お前は許さない!」


「げへげへ、たっぷり血を吸ってから、犯してやろう。ヴァンパイアは良いぞ。げひひ。」


「ふむ。此奴は我々の眷族だ。おいそれとは渡せんな。それにこの土地は我らが貰う、ダンジョン化を解除するが良い。虫ケラどもの言う事を聞くつもりは無いぞ。」


俺は気配を消して、ドラムの影に隠れているが、ダンジョン化もバレてるのか、侮れないね。


「話し合いでは解決出来なさそうじゃな。」


その時、呼び動作も無く、ヴァンリが突然エリの前に飛び掛かり、大剣でエリを袈裟斬りに振っていた。


「閣下の御前で無礼な!」


エリの前面で強風が発生し魔神パズズのバズが現れ、大剣を爪で受け止めた。


「跪け!」

ヴァンリは大剣に力を入れるが、バズはびくともしない。


バズから数百の風刃が放たれ、ヴァンリは細切れに切り刻まれた。


しかし切り刻まれたヴァンリの身体は、闇となって、後退すると、元の姿に戻った。


「む、何やつだ!」

ヴァンリがバズを睨む。


服まで復元するのか?すげえ。

どうなってんだろう。


「ほぅ、異界の魔神か?」

真祖ヴァラカが目を開ける。

金色の右眼と赤い左目のオッドアイ。

言葉とは違い、驚きの表情は無い。


真祖ヴァラカから邪悪な気配が拡散し始めた。


圧倒的な強者の威圧にも似た、濃厚な魔力を伴う圧力がホールに満ちる。

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