145 ヴァンパイア2
俺とケット・シーのペロは、魔抜けの人達を救う為、仲間達に先行して『暗黒の怪奇』の根城である古城跡に潜入していた。
そこに魔抜けの人達は1人もおらず、大勢のヴァンパイアがいた。
俺は気配を消してヴァンパイアの1体を襲い、生命力吸収で倒すと、展開したダンジョンに吸収させた。
通常はダンジョン吸収に3時間ぐらい掛かるが、DPを使用し一気に吸収させる。
その後、ダンジョンの機能で、吸収したヴァンパイアをヴァンパイアとして召喚した。
ダンジョン機能で召喚する事により、ダンジョンの眷族扱いとなるのだ。
「おい、お前はヴァンパイアになる前は、何処で何をしていた?もしかしたら、城壁都市ナギサカに住んでた魔抜けだったのか?」
「はい。私は城壁都市ナギサカの、スラム街に住む魔抜けでした。」
「やっぱり、そうだったか!」
「ショータの予想が当たったのにゃ。」
通信の魔道具でエルフのエリを呼び出す。
「エリ、不味い事が分かった。」
「何じゃ。今から襲撃を開始するところだったのじゃ。」
「恐らく連れ去られた魔抜けの人達は、全員ヴァンパイアにされた。」
「むむ。遅かったのじゃな。」
「ヴァンパイアから人間に戻す方法は無いのかなぁ?」
「無いのじゃ。」
「無いのかぁ・・・。」
「主様、全ての人を救う事は出来んのじゃ。諦める事も必要じゃよ。」
「うん、それは分かってる。」
「ところでハルカの仇である、スッケベンは居たのかのぅ。」
「スッケベンは地下に居たよ。それとヴァンパイア真祖とヴァンパイアナイト、薬師であるヴァンパイアアルケミストのヨシゾーも居た。」
「し、真祖じゃと!それは厄介なのじゃ。」
「やっぱりかぁ。ヴァンパイア達を殺すのは忍びないから、直接真祖と戦おうと思ってるんだけど・・・。」
「そうして下さい。」
ヴァンパイアが急に割り込んで来た。
「む、誰じゃ。」
「ああ、眷族にしたヴァンパイアだ。お前の名前は何だっけ?」
鑑定で見たけど、興味ないから忘れたよ。
「あ、元魔抜けのアルです。」
「アル、妾はショータ様の奴隷のエリじゃ。宜しくのう。」
「ところで、真祖は何が脅威だ?」
「吸血鬼は不死属性がある存在じゃ。殺す事は難しいが、とりわけ真祖は不死の要素が強いのじゃ。」
「俺の生命力吸収で倒そう。」
HPがゼロになれば死ぬよな?
「錬金術師も、何をしてくるか分からんので要注意じゃ。」
「先にそっちか。」
「いや、錬金術師は我々で時間を稼ぐので、倒すなら真祖が先の方が良いのじゃ。」
「了解、皆が戦ってる隙を狙って真祖を倒してみるよ。その後に錬金術師だな。」
「スッケベンは、僕が倒すよー。」
「勿論、スッケベンはハルカに任せるよ。」
「オーケー。」
「と言うわけで、真祖がいる地下のホールに行くから、ダンジョンの転移機能で先に転移させるよ。」
「分かったのじゃ。」
「準備OKだよー。」
「いつでも良いでありんす。」
エリの後ろからハルカとユキも返事をしている。
「アル、君は巻き込まれない様に離れてた方が良いよ。」
「分かりました。」




