141 誤解された
Cランク冒険者パーティーである、『紅の戦士』を倒し拘束した。
今は気功士と名乗っている、魔抜けのミクとアヤを連れて行こうとした理由を聞いた。
涙を流し許し請う冒険者達は、素直に答える。
スラム街にいる薬師ヨシゾーの依頼で、小遣い稼ぎとして前から何人か攫ったとのこと。
『紅の戦士』以外の冒険者達も依頼を受けていたらしい。
最近は事件として、周りが煩くなったので、やってなかった。
俺達は『紅の戦士』の冒険者達を、動ける程度に回復し王都に連れて行く。
先に気功士のミクとアヤをニャルマル商会に返して、『紅の戦士』の冒険者達を侯爵に預けた。
いつも元気いっぱいのミクとアヤだが、初めての対人戦で、精神的な疲れがあり、ぐったりしていたので、早めに休ませようと思ったからね。
流石に魔物狩りの後に、対人戦の経験は体力的にも辛かったのかも知れない。
侯爵には更に詳しく背後関係や攫った冒険者達を調べて貰う事にした。
俺達はニャルマル商会に戻った。
ニャルマル商会の入口では、副支店長のマリさんが、仁王立ちで立っていた。
「ん?どうしました?」
「どうもこうも、ありません!」
マリさんは目に涙を浮かべ、しかし顔を真っ赤にして怒っていた。
マリさんの後には、気功士の高齢の女性達が腕を組んで睨んでいる。
高齢と言っても、20代から30代だけどね。
「兎に角、応接室まで来て下さい!」
普段、何となく俺に惚れてる様な行動を取っていた、いつもは優しいマリさんの剣幕に素直に従った。
「何だろう?」
エリに聞いた。
「何じゃろうね。」
エリも思い当たる節が無い様だ。
応接室に入ると女性達に囲まれた。
「ショータ様!見損ないました。」
「全てミクとアヤに聞きましたよ!」
「まさかショータ様が・・・。」
「私達の味方だと思って居たのに。」
「もう、許せません!」
女性達は口々に怒りの言葉を放つ。
「ミクとアヤ?」
(何の事だ?)
「無礼でありんす。殺しんすか?」
冷気のユキが、怒ってる。
「いや、早まらないで、ちょっと待とう。」
俺が小声でユキと話してると・・・。
「もう!正座です!」
マリさんが睨みながら俺に言い放つ。
「正座する覚えは無いぞ?」
「ミクとアヤを無理矢理、冒険者達に犯させたんでしょ!」
「彼女達はまだ14才の未成年なんですよ!」
「いつも元気な2人があんなに、ぐったりしてるなんて!」
「確かに無理矢理戦わせたが、そこまで怒られる事かい?」
「ショータ様がそんな事を言うなんて!見損ないました!」
「不潔よ!」
「酷いわ!」
「不潔?酷い?」
「何か誤解があるようじゃな。」
「しらばっくれないで下さい!」
「Cランク冒険者達にミクとアヤを犯させたんでしょ!」
「犯す?・・・。おいおい、濡れ衣も良いところだ。ミクとアヤを連れて来い。」
「ミクとアヤは疲れて寝ています!」
マリさん達と俺達が言い合ってると、ドアを開けてシャルさんと支店長のニャリさんが入って来た。
「どうしたのにゃ?」
「何の騒ぎかしら?」




