139 紅の戦士
俺とエルフのエリと雪女のユキが、気功士の女の子アヤとミクに、気功の指導を兼ねて狩りの指導をしていた。
そこに冒険者パーティーが現れた。
「おい、お前らが獣人国から来た商人と冒険者か?」
「ん~。そうですが、何か?」
「俺達はCランク冒険者パーティー『紅の戦士』のリーダーのトシだ。ドラゴンの調査をしている。」
『紅の戦士』は6人パーティー、全員男だ。
「はぁ。」
「お前等が王都ポロッカに入る前に、獣人国方面にドラゴンが出現したのは、知っているな?」
「話には聞きました。その程度です。見た事も無いです。」
「本当かあああ!」
無駄な威圧を発して俺を睨む。
怖く無いんですけど、寧ろ、笑う。
そんな時に・・・。
「ショータ様、エリさん、一角兎の解体が終わりましたあ。」
気功士のミクが一角兎の素材を持って来た。
「おお、上手に解体したのじゃ。」
エリが褒めている。
「ん?魔抜けの女か。」
トシがミクを見る。
ミクの後ろから気功士アヤも来た。
「魔抜けの女2人か。」
トシがニヤリと笑う。
「おう、その魔抜けの女達を俺達に寄越せ。」
「寄越せ?物じゃ無いぞ。」
ちょっとイラッと来た。
「えっ!この人達は誰ですか?」
アヤが顔を顰める。
「ドラゴンを調査している冒険者と言ってたのじゃ。」
「何でドラゴン調査が、魔抜けを必要とする?」
俺は訝しげにトシに問う。
「ドラゴン調査とは別口だ。」
「別口?どう言う事だ?」
「ぐだぐだ煩いなぁ。黙って差し出せ。商人風情がああああ。」
「ミク、アヤ、修行の一環だ、此奴ら2人を倒せ。殺すなよ。」
「え?わ、私達が・・・。」
「まだ14才ですよ。大人の冒険者となんて・・・。」
「良いから、やってみろ、修行だ!」
「「は、はい。」」
「はああ、お前、何を言ってんだ!」
トシは俺と2人の遣り取りを聞いて、怒り捲る。
「Cランク冒険者を舐めてんのか!」
俺はトシを無視してエリとユキにも指示を出す。
「4人はエリとユキが、殺さない程度に拘束しろ。」
「分かったのじゃ。」
「承知しんした。」
雪女のユキが『紅の戦士』の直ぐ後ろに現れた。
『紅の戦士』の冒険者は、ユキの声に驚き振り返る。
「どうしんした?」
ユキが不気味に笑う。
ユキから濃厚な魔力が膨れ上がり、冒険者達を一瞬の内に覆い尽くす。
後ろにいた冒険者2人の、両手両足が凍り付いていた。
「な、何だあああああ。」
「ひ、ひぃ、何だこの魔力はああ」
「手が動かない・・・。」
「あ、足があああああああ!」
「何処を見てるのじゃ。隙だらけじゃよ。」
エリは何時の間にか矢を8本放っていた。矢は2人の冒険者の両手両足を撃ち抜く。
「ぎゃあああああああ。」
「何時の間にいいいい!」
「て、手がああああ。」
「あああああ足、足が・・・。」
矢を受けた2人は倒れて、のたうち回る。
「な、何があった・・・。」
「おい、どうした・・・。」
負傷していないトシともう1名の冒険者は、4人の仲間があっという間に倒されて、焦り戸惑う。
ミクとアヤもエリとユキの圧倒的な強さに呆然していた。
「ミク、アヤ、どうした。やれっ!」
俺はミクとアヤを急かす。
「「は、はい!」」
ミクとアヤは全身に気を纏い、剣を構える。
しかし、初めての対人戦に震えが止まらない。




