124 『白虎』帰還
『殲滅の旅団』マスターでBランク冒険者である虎獣人『白虎』のタイガが王都に帰って来た。
ハーピーのハルカの仇だ。
過去にハルカと同じパーティーだった。
ハルカが『風刃』の二つ名を得て、パーティーの看板として活躍するのを妬み、ハルカに言い寄るも断られ、嫉妬も相まって、騙した上に翼を切断。
魔法を使えなくなったハルカを3日3晩陵辱し、ゴブリンの巣に投げ込んだ。
最低最悪の奴等。
タイガのパーティーメンバーと数人の冒険者を伴う。
タイガの冒険者パーティーは4人。
タイガ以外は下記の3人だ。
ハルカの仇で兎獣人『玉兎』弓使いのディア。
火魔法が得意な魔法使いでエルフのフィーダ。
人間の闇魔法使いシャイラ。
その他数人の冒険者が同行する。
『白虎』タイガはイライラしていた。
「どうなってんだ。伝令に出した奴等が戻って来ないとは・・・。」
「ホントだわ。拠点に一刻も速く戻って、情報を集めないとだわ。」
『玉兎』ディアも心配の表情。
「何かヤベー事が起こってそうだ。」
火魔法使いのフィーダが呟く。
タイガ達は拠点に着いた。
物音一つしない静けさ、昼間なのに薄暗く見える不気味な建物。
「どうなっちまったんだ?懐かしい拠点のはずなのに、ダンジョンの様な不気味さが漂っている。」
フィーダが訝しげに拠点を見る。
「怖いだわ。何かとんでもない奴がいそうだわ。」
『玉兎』ディアが震える。
「ちっ、ビクつくな!何者かがいたら倒せば良い。」
『白虎』タイガが苛つきながら扉を開け、勢い良く中に入った。
同行した仲間も拠点に入ると、扉が自動で閉まる。
酒場やカウンターがあり、いつも誰かが酒を飲んでいたホールは、様変わりしていた。
カウンターもテーブルも椅子も全て無くなり、空間が広がる。
土壁。
薄暗くジメジメした空気。
石の床。
「何これ?まるでダンジョンのボス部屋だわ。」
『玉兎』ディアが驚き震えタイガに縋る。
正面に王の椅子。
ダンジョンのラスボスの様に深く腰掛けている女性が1人。
「待ってたよタイガ、僕はお前等を決して許さない!」
「ハルカ!」
「何でお前がここに!」
「仲間達を何処にやった!」
「タイガの仲間『殲滅の旅団』は皆殺しにしたさ。」
「サブマスターのハヤテも殺したのか?」
「ハヤテ・・・?ああ、あの猿獣人のエロジジイか。当然殺したよ。」
「何だって!あの瞬足のハヤテが負けたのか、信じられん。」
「『殲滅の旅団』は生きてる価値の無い、悪者ばっかりだ。」
「何?お前、今この国は大きな転換期にあるんだ。その為の貴重な戦力だったんだぞ。お前はこの国に責任持てるのかああああ!」
俺がハルカの後ろから出て、ハルカの横に立つ。
「王が馬鹿でも愚鈍でも国は変わらないよ。寧ろお前等の様な、小悪党が居なくなった方が国民は大喜びだ。
いずれにしても『牛鬼』は死に、『猿神』は諦めた。クーデターは頓挫してるよ。」
「くっ、お前等を殺して、一からやり直すしかないか。」
『白虎』タイガは自信があるようだ。
「お前等がここから、生きて出られると思ってるのか?」
「はははは、口説き落としてやっとの思いで、付いてきて貰って良かったよ。Sランク冒険者の『凶鬼』カナタさんだ。」
痩せた身体の小さい人間の少年が後ろから出て来た。
黒いキャップを被って、グレイのパーカーにジーンズ、腰には日本刀。
「タイガ、なんか面倒臭い事になってるな。話が違うぞ。」
「カナタさん、此奴らを殺さないと、ここを出られないそうです。ここは助けて下さい。」
「しょうが無えな。」
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