117 殲滅される旅団
クーコの眷族である狐火と管狐が、『殲滅の旅団』の拠点1階のホールにいた冒険者を殲滅した。
殲滅と言うか、燃やし尽くした。
叫び声や物音を聞いて2階から降りてくる『殲滅の旅団』の冒険者達。
また、ホールの奥からも続々と現れる。
「じゃあ、予定通りに地下はダルアとクーコ、ライヤに任せる。」
「分かった。ダルに任せて。」
とダークエルフで魔抜けのダルア。
「承知してん。」とクーコ。
「承知。」
と鵺のライヤ。
一人と二匹は地下室の扉を蹴り壊し、地下に駆け降りて行く。
地下に囚われている魔抜けの人達を救出するのだ。
「地下室の入口はドラムに任せた。」
「承知した。」
ドラゴンのドラムは象サイズになって、地下室の入口前に座った。
ドラムには敵が後から地下に降りて、挟み撃ちされるのを防いで貰う。
「俺達は残りの敵を殲滅だ!」
「分かったにゃ。」
黒猫のケット・シーである『闇猫』ペロは、ホールの奥から駆けて来た先頭の冒険者の影に転移した。
そして冒険者の影から出ると直ぐに影槍を伸ばす。
影槍に刺し貫かれる冒険者達。
「何だ?」
「うあああ。」
「ぐふっ。」
2階から降りてくる冒険者達には、エルフで『疾風』のエリが矢を放つ。
先頭で階段を降りてきた冒険者2名の喉に突き刺さる矢。
後から降りてきた冒険者は、盾を構えて矢を弾く。
「貴様らああ、何者だああ。」
「ここが『殲滅の旅団』の拠点と知って襲撃して来たのか!」
「そうだよ。『殲滅の旅団』を殲滅しに来た。」
「なぁあにぃいい。」
「おい、サブマスターを呼んでこい!」
おや、面倒臭くなるかな?
「ユキ、ハルカ、サッサと片付けよう。」
「承知しんした。」と雪女のユキ。
「僕も了解だよ。」
とハーピーで『風刃』のハルカ。
ユキから魔力が溢れかえる。
ユキが右手を横に振ると、盾を構えた冒険者達が凍り付いた。
「何!無詠唱で氷魔法だとぉ!」
「な、なんと濃厚な魔力だ!」
後の冒険者達は慌てふためく。
ハルカが上に跳び上がり、風刃を放つ。
後ろでわたわたしていた冒険者達が、風刃で切り裂かれた。
俺達は凍り付いた冒険者達を蹴り壊し、階段を登る。
サブマスターを呼びに向かった冒険者も、ハルカの風刃でバラバラになった。
俺は気配を消して、部屋の中で気付いていなそうな冒険者に向かう。
迷宮化した『殲滅の旅団』の拠点では、何処に誰がいるかマップで確認出来るのだ。
ついでに宝物もアイテムバッグに入れて貰っちゃおう。
エリとユキは歩いて、部屋から出て攻撃してくる冒険者達を倒していく。
エリは冒険者が部屋から顔を出した瞬間、矢で頭部を貫く。
ハルカは飛んで、逃げようとした冒険者達を、風刃で切り裂いていった。
「風魔法!ふ、『風刃』?」
「そうだよ。僕は『風刃』だよ。」
「敵うわけが無い。逃げよう。」
ハルカの飛行速度は速く、種族固有の風魔法は無詠唱で発動速度も速いことから、逃走しようとした冒険者達は、背中から切り裂かれた。




