114 殲滅の旅団の拠点に行く
次の日、ニャルマル商会に行って、今まで採取した素材の一部を売却した後、大きな屋敷を購入した。
丁度良い感じの屋敷で広い庭とお風呂もある。
必要最低限の家具が備え付けてあり、掃除も行き届いていて、直ぐに住む事が出来るらしい。
要望にぴったりの屋敷。
ニャルマル商会に近い所もグッドだ。
ニャルマル商会に生活に必要な食材や雑貨等を大量に注文し配達して貰う事とした。
さて、『殲滅の旅団』に殴り込みだ。
夕方、日帰りの依頼を終え、冒険者達が都市に戻っている時間に殴り込みをするのだ。
出来るだけ大勢の団員をやっつけて、救出した魔抜けの人達が安心して生活出来る様にしたいからね。
泊まり掛けの依頼を受けて、拠点にいない冒険者達は、しょうが無いので後日対応だ。
戦闘が苦手な魔抜けで猫獣人のキャルを除く、全員で行く。
キャルは『猫が安らぐ宿』で留守番だ。
魔抜けで人間の俺を先頭にして、黒猫のケット・シーである『闇猫』ペロは俺の影に潜む。
魔抜けでダークエルフのダルアが後に続く、ドラゴンのドラムが蜥蜴サイズで左肩に乗る。
その後ろにハーピーの『風刃』ハルカ、鵺のライヤが子猫サイズで足元を歩く。
並んでエルフの『疾風』エリ、風となった魔神パズズのバズを纏う。
最後に雪女のユキ、足元に空狐のクーコが子犬サイズで歩く。
『殲滅の旅団』の拠点は、大きめの屋敷二つ分の敷地を使った、特大の建屋だった。
石造りのしっかりした建屋。
ちょっとの魔法では崩せない。
流石、獣人国1番の冒険者クランの拠点だな。
門番等はいないので、玄関まですんなりと進む。
「バズ、予定通りここで逃走する冒険者達と外から入って来る冒険者の対応をお願いする。風魔法でここの音が周りに漏れ無い様にもしてね。」
「承知シマシタ。」
事前に仲間達に計画を話し、役割を分担している。
バズは外が担当だ。
俺は襲撃の最後の準備として、左手の手甲となっている迷宮核を使う。
「迷宮創造!」
『殲滅の旅団』の拠点は俺の迷宮となった。
続けて、新しく購入した屋敷までダンジョンの地下通路を延ばす。
大勢の魔抜けの人達を連れて屋敷まで歩くと、都市の人々に目撃されるので、何かと問題があるからね。
地下通路を通って魔抜けの人達を屋敷に連れて行くのだ。
初めから迷宮化して地下通路経由で、『殲滅の旅団』を襲撃する事も考えたけど、逃走防止も考慮して正面から行く事にした。
迷宮化する際、何か抵抗されるか、気付かれる可能性も想定していたが、何事もなく成功。
これで問題なく『殲滅の旅団』を殲滅出来る。
殲滅する事でDPを取得出来る。
また、迷宮化したので、隠れてる敵を見逃す事も無くなり、隠し部屋や宝物も全て手に入れる事が出来るぞ。
「くくく。」
おっと、ついついニヤけてしまうが、悪党みたいなので、平常心だ。
玄関の扉を無言で開ける。
事前情報通り鍵は掛かって無い。
大勢の団員が出入りするので、鍵が掛かってると不便だからだろうね。
襲撃する人もいないと考えているから、門番も居ないのだろう。
せめて、潜入されない様な警戒は必要だと思うが、それもない。
慢心して油断しているな。
「こんにちは!」
俺は明るく挨拶して『殲滅の旅団』の拠点に足を踏み入れた。




