110 誘拐犯を蹂躙した
魔神パズズのバズが姿を現し、周囲を風の障壁で囲み、逃げ遅れた者達を後ろから風刃で切り裂く。
「ま、魔物?魔神?精霊?」
バズの膨大な魔力に圧倒されるポンタは、驚き戸惑う。
「魔神パズズダ!」
威圧がこもったバズの太く低い声が辺りに響く。
「ま、魔神!ひ、ひぃ。」
ポンタは腰を抜かし、倒れ込む。
雪女のユキも膨大な魔力を撒き散らし、周囲は凍り付いていく。
「逃げ場はありんせん。」
逃げ遅れた者達は凍り付いていく。
「こ、こんな強大な魔法は見た事も無い。助けてくれえええ!」
ハーピーのハルカが宙に浮き、逃げてきた者達に風刃を放つ。
「ハーピー!風の刃?ま、まさか『風刃』!」
逃げてきた隣の男が風刃でバラバラに切り裂かれて、恐怖に引き攣る。
エルフのエリも弓で逃げてきた男達の額を連続で撃ち抜いていく。
その後、ロウガのパーティーである4人の冒険者と闇ギルドの猿獣人に弓を向ける。
「動くと撃つのじゃ!」
「なっ、なんて速い。しかも連続!」
狼獣人ロウガのパーティー4人の内の1人である、弓使いの獣人が弓を構える事も忘れ唖然としている。
ハルカとエリはロウガのパーティー4人と闇ギルドの猿獣人を制圧した。
5人は両手を挙げて降参している。
黒猫のケット・シーのペロが闇の触手で5人を拘束した。
逃げてきたもの達の前に、巨大化した鵺のライヤが立ち塞がり、雷撃を飛ばす。
「ひぃ。」
感電死し黒焦げになる者達を見て足を止めて呆然と立ち尽くす。
雪女のユキに追われて来た左側の者達の前には、1m程度に大きくなった空狐のクーコが牙を向いて立ち塞がる。
クーコは狐火を放ち、先頭の男を焼き尽くした後、数十の狐火を展開し進路を塞ぐ。
後から凍り付いていき、前には狐火があり、こちらの者達も立ち尽くす事しか出来ない。
ドラゴンのドラムが蜥蜴サイズから巨大化した。
後から逃げてきた者達は、ドラムの火炎のブレスで焼き焦げていく。
ホクシンはドラムを見て目を白黒させる。
「ま、まさか。ど、ドラゴン!猫の王様の話は本当だったのか。」
ダルアは素早く踏み込み、ポンタを蹴り飛ばし銃口を向ける。
「よくもキャルに酷い事をしてくれたわね!」
「た、助けてくれ。見逃してくれ。」
ポンタは土下座して謝るが、ダルアの表情は一切変わらない。
「2度目は無いのよ。」
DAAAAAAAN!!!!
ダルアの撃った銃弾がポンタの額に穴をあけた。
俺はキャルの前に立ちロウガと対峙する。
ロウガは大剣を振り降ろしてきた。
俺はギリギリまで引きつけ左横に躱し、右手で顔面を押さえ右足を掛けてロウガを倒した。
そのまま「生命力吸収」を発動。
ロウガを瀕死の状態にした。
「契約魔法で縛ったはずなのに、どうやった?」
「くっ。お前等の事を話さなければ、どうとでも出来るさ。『人質を取って殺しをするから手伝え!』って言えば手伝う奴等は周りに沢山いる。
魔抜けの娘を人質にする話をしただけで、闇ギルドも察して人を集めてくれた。」
「随分余裕があるじゃ無いか。」
「良く聞け、俺達を殺すと獣人国は滅びるぞ!何も言わず見逃せ。」




