105 獣人国酒場前3
酒場前で手足に牙弾を撃たれて倒れる殲滅の旅団のCランク冒険者4人。
虎獣人の男タイキチ。
虎獣人の男タイスケ。
豹獣人の女ジャガミ。
兎獣人の女ラビコ。
俺の後ろで唖然として事態を見守る熊獣人ベアゾー。
殲滅の旅団の拠点では、数十人の魔抜けの人達を閉じ込めて何かしてる様だ。
何をしてるのか、脅して聞きだそうとしたが、タイスケが拒む。
「それを聞いてどうする?」
「おいおい、聞いてるのは俺だ。もう一度聞くぞ。魔抜けの有効利用って何だ。」
「俺達を傷付けてただで済むと思うなよ。殲滅の旅団がお前をゆるさん!」
「はぁ、答える気は無いって事か?」
「ああ、答える気は無い!だったらどうする。俺を殺したらどうなるか分かってるのか?お前は殲滅の旅団に喧嘩を売った。生きてこの都市から出られると思うなよ。」
殺されるとは思って無いのか、冷静に俺に脅しを掛けてる様だ。
「はぁ、そう言うのは嫌いなんだよね。じゃあ、お前は要らない。」
俺はタイスケの額に牙弾を放つ。
額から血を流し無言で崩れ落ちるタイスケ。
「タイスケ!」
這いながらタイスケの遺体に近付くラビコ。
「ラビコ、有効利用って何だ。」
ラビコに問い掛ける。
「タイスケを殺したのか!」
俺を憎しみがこもった眼で睨むラビコ。
「お前も答える気が無いんだな。」
ラビコの額に牙弾を放つ。
崩れ落ちるラビコ。
「ジャガミとタイキチは答える気はあるのか?先に答えた奴だけ、殺さないでやるが、どうする?」
「こ、答えます。待って下さい。」
とジャガミ。
「おい、そんな事言ったら、危険だぞ。てめえ、何者だ。殲滅の旅団と知ってて喧嘩を売ってるんだろう。何処の組織だ。」
「うるさいなぁ。喋る気が無いなら用は無い。」
俺はタイキチの額にも牙弾を放った。
タイキチも崩れ落ちる。
「え?」
ジャガミはタイキチを見て驚き震える。
「お、女は性奴隷として売り払い、男は戦闘奴隷とするのよ。」
戦闘奴隷?
「魔抜けは戦闘奴隷にしても戦え無いだろう?」
「爆薬を持たせて突っ込ませるのよ。もういいでしょ。見逃してよ。」
マジか!特攻隊かよ。
「先に武器を抜いて、攻撃しようとしたのはお前らだ。武器を抜いて構えたら殺されても文句は言えない。それは理解してるよな?」
「理解してるわ。でもね、殲滅の旅団は仲間を殺されて黙って無いわよ。」
「ふ~ん。そうかぁ。じゃあ証拠隠滅だな。見逃そうと思ってたけど、ごめんよ。」
「いやああああああ」
俺は這って逃げるジャガミの後頭部に牙弾を放った。
そして振り向きベアゾーを見る。
「お前は今あった事は忘れろ。そして酒場と女性達に詫びて弁償だぞ。」
ベアゾーは「アワアワ」と言いながら震えていたが、何度も頷く。
「忘れます。誰にも言いません。」
俺は酒場を向いた。
酒場から5人こちらを見ていた。
見ていた奴等を素早く鑑定して、名前を覚える。
そのうち3人はベアゾーの仲間だ。
「ホムラ、タケスケ、ボアタ、ボアシン、コマゾー、お前等も他言無用だぞ!」
「ひっ、ひいいいい。」
名前を呼ばれて怯える。
俺はそのまま猫が安らぐ宿に向かう。
酒場では、冒険者達がひそひそと話し始めた。
「な、何があったんだ?」
「殲滅の旅団の冒険者が4人殺された。」
「殺されたのか?」
「多分・・・。」
「でも、あの男は見てただけだぞ。」
「そうだな。特に魔法を使った形跡は無いし。武器も抜いて無い。」
「見てただけだったな。」
「見ただけで殺すのかよ!」
「神かよ。」
「何が何だか分からんぞ。」
「仮に聞かれても答えられないな。」
「うん・・・。」




