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Last Scene  作者: つのめぐみ
7/9

美しい涙

満月のおかげで夜でも空は大分明るい。僕達は今からそれを1番キレイに見えるところに向かっていた。

あまり時間をかけると抜け出したのがばれる可能性が高まるので、僕は自然と早足になってしまう。

「もうちょっとゆっくり歩こうよ。時間はまだあるんだから。しかも、夜だから足元見えにくいし。」

まぁもっともではあるのだが。

「あんまり長時間抜け出すわけにはいかないだろ。」

「大丈夫だよ。」

なんの根拠を持った大丈夫なのかよくわからない。

「あーそれにしても今日が満月で良かったね〜。」

「なんで今日が良かったんだ?」

「・・・別に。早い方が良いんじゃない。」


頂上に着いた頃にはもう12時をまわっていた。補導されてもおかしくない時間帯だ。

そんな中で空は暗くなってしまっていた。

「曇ってるし・・・」

「うーん。大人しく待とっ!きっと照らしてくれるさ。」

当然今日中に月を見なくてはならないので賛同する以外ない。

数分程経っただろうか、自然と会話も少なくってなんだか少し気まずい。これが思春期の男女というものだろうか。

この空気を変えたくて何か話かけようと思い、彼女の方を向いてはっとした。

こんな暗闇でもはっきり見える彼女の横顔があまりにも美しくて。

そこに月明かりが差して、彼女の顔を照らす。そして彼女は一筋の涙を流した。

僕はそれに見入ってしまって、彼女をじっーと見ていたら、彼女は僕に気づいた。

「ごめんね。なんでもない。何でだろうな。」

なんて言えばいいんだろう。

「あの・・・その・・・大丈夫・・・?」

何が正解かわからない。

「うん、大丈夫大丈夫。・・・あれ?でも何で止まらないんだろう。あ・・・」

無意識に僕は彼女を抱きしめてしまった。あとで怒られてもいいんだ。嫌われてもいいんだ。今は何を言うよりもこれが正解だと思ったから。

「あり、がと・・・。」

彼女は確かにそう言った。そして何故だかこう思った。彼女とずっといていたいって。

僕達2人を完全に光が照らしたとき、1枚の紙が落ちてきた。


夢を求む若き男女へここに記す。初めての出会いをもう一度。


僕達はしばらくここを動かなかった。

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