表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Last Scene  作者: つのめぐみ
5/9

手がかりは開けた地に

「ただいま・・・」

辺りを見回しても誰もいない。まだ誰も帰ってきていないのだろうか。だとしたら鍵の開けっ放しといのが問題である。

一応親が存在感ゼロでいるとも限らないのでサササーと静かに階段を駆け上がり、僕の部屋に到達する。

「ふぅー。この部屋なら親も勝手には入らないと思うけど、一応僕がこの部屋から出るときは鍵をかけてね。」

「うん。分かった。」

僕は一度1階に降りて食べ物を探す。僕が部屋から出た直後にガチャっと鍵を閉めた音がする。

台所に行くと母親がいて驚いた。

「うわっ!お母さんいたんだ。」

「なに、急に大きい声だして、ビックリするじゃない。」

「ああ・・・ごめん。えっと、お腹空いたんだけど・・」

「もう少しで夕飯だからもうちょっと待ってて」

「とってもお腹空いてるんだよね・・・あ、あそこにあるパン食べてもいい?」

「しょうがないわね。あんまり食べ過ぎないでよ。」

大きめのやつを選び2階に持っていく。

ドアをノックして鍵を開けてもらう。

「一応パンを手に入れられた。すまないが夕飯代わりに今日はこれで。」

「あ、ありがとう。食べ物食べなくても大丈夫だけどね。」

「いやいや、明日も活動するんだからちゃんと食えよな。」


みんなで仲良く夕食をとろうなんて出来ないので僕は彼女を仕方なく2階に残し居間に行く。

「あら、パン食べ終わるのはやいわね。」

「とってもお腹空いてたからね。」

これだけで追及を逃れようとする僕。

僕はすかさず話題を変えた。

「あーあのさ、神様とかが宿ってるような空き地みたいなとこって知らない?」

話が飛びすぎである。

「どうしたの?急にそんなこと訊いて。

まぁでも、ない事もないわね。」

「え?あるの?」

棚からぼた餅。

「神守山の中腹の方に急に開けてる場所があって、その真ん中には何かが祀られてるような大きな岩があるわ。私も小さい頃よく遊んだわ。でも、大人になってから行ったことないから今になってはどうなってるかわからないけど。」


母親から聞いた情報を僕は早速彼女に話してみた。

「いいじゃん。行ってみよ。」

「でも、今どうなってるかわかんないんだってよ。」

「よーし、明日に備えて今日は寝よ!」

行く気満々である。

「ところで私はどこで寝ればいい?」

「あ・・・えっとー僕が押入れで寝るので君が布団をどうぞ。」

「なーんだ。結構優しいね。でも逆にしよう。私は泊まらせてもらってる身だからね。」

そういうと彼女は押入れサッと入り、「おやすみー。」といって戸を閉めたのだった。

「はぁー何時間眠るつもりだよ。まだ8時前だぞ。」


いつの間にか僕も眠ってしまっていた。

ふと隣を見ると彼女の顔が横にあったのでビックリして飛び起きる。

「うわぁ!」

「おー!いい目覚めだね。」

「起きて急に人の顔が目の前にあったら驚くわ!」

「ごめんごめん。」

そしてふと気づくのだった。

「あ・・・お風呂入ってない。」

「大丈夫私も入ってないから。」

「そういう問題?」

これは非常に大きい問題である。

お風呂を使わせたら流石にバレるだろう。

「ん。今何時だ?」

「9時前かな?」

さっと1階に降りてみる。誰もいない。

「よっしゃ!両親共に仕事だ!」


本当は9時頃家を出るつもりだったがお風呂の都合で家を出る頃には10時を過ぎていた。これから汗をかくだろうに意味あるのだろうかと思う人もいるだろうが、気持ちの問題である。


なにはともあれ、ようやく神守山の中を捜索し始めた僕達だったが、そう簡単には見つからないものである。

「全然開けた場所ないじゃん!木ばっかり!」

「まぁ、いずれ見つかるって。まぁ、颯斗君の体力次第で捜索時間は大きく変わるけどねー。」

彼女は笑いながら僕をからかったが、敢えて無視してやった。

山を1周したんじゃないかと思うくらい歩いた気がするがまだ1時間しか経ってないらしい。そこで僕らは不自然にも綺麗に円状に開けてる場所にでた。そして真ん中には大きな岩がある。

「あった、あったよ!」

「ホントにあったのか・・・」

岩に近づくとそれは意外と大きくてとても壮大に見えた。

「あ、なんか落ちてくる。」

彼女は空を指差した。ひらひらと。まるで雪のようにゆっくりと1枚の紙が落ちてきた。

「紙だ!」

2人の声が揃って響き渡る。


夢を求む若き男女へここに記す。流れ行く風にのり、辿り着け。続きはそこにある。


僕らが同時に読み終えたその瞬間。ものすごい風が紙を舞い上がらせた。

「颯斗君。風にのってこ。」

彼女はそう言って僕の手を握り突然走り出した。

一体どれだけ体力あるんだよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ