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Garage Inc.  作者: 鳴海 酒
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ぶれについての話をしたら、話題がぶれぶれになりました

最近、せっかく書かれた感想で心を痛める作者さんが多いようなので、そういう方に対するエールのつもりで書きました。

話題が飛び飛びなので、どちらかといえばお酒の方のエールかもしれません。


こんにちは、さけだよー

 と、最近お気に入りの作者さんの挨拶を勝手にパクろうかとしたのですが、酒だか鮭だかわかりませんね。これではくまさんに捕食されてしまいます。


さておき

 いきなりですが、童話の定義として「登場人物に感情が無い」ということがあるらしいです。

(注 : 10年以上前に読んだ本に書かれてあったのを覚えているだけで、詳細まではさっぱりです。その本の作者さんの決めた狭義の定義かもしれません。ただ、このフレーズだけがなるほどと、心に強く残っています。)


 例えば桃太郎は鬼を倒しに行くけれど、別に「怒りから立ち上がった」とか書いていませんし、浦島太郎は亀を「かわいそうに思って」助けました、なんてこともありません。

 ただ単に、鬼退治に行った。亀を助けた。機械のプログラムのように、淡々とやるべきことをこなしていくのです。

 事実だけを書いている、新聞記事のような、とも言えるかもしれません。


 さて、さらにいきなりですが。

 私は一人称視点というか、独白形式というか、なろうで主流のあの書き方は好きではありません。

 「一人称の利点は、登場人物の感情がわかりやすいこと」的な話を聞いたことがありませんか? 私はあります。

 でも、私は逆に、独白は人物の感情がわからなくなる形式だと思っています。


 「私は悲しみで心が張り裂けそうだった」とか書いてあるとしましょう。うん、悲しいんだろうなとわかります。それはきっと事実でしょう。

 でもでも、悲しいだけ? 悲しいけど原因を作ったやつがむかつく。悲しいけど少しほっとした。悲しいけどマンガみたいな展開で笑いをこらえるのに必死だった。

 悲しいが7割として、他の色んな感情を3割くらいトッピングして、混ざりきってない卵かけごはんみたいに、色々な部分がでてくる。そういうのが人間の感情だと思うのです。

 そういう「残り3割」を「悲しい」の一言で塗りつぶす独白が、私は好きではありません。


 それよりも、事実を列挙して、感情が行動としてあふれ出る部分を描写して、残りは読者の手に投げつけてくるような。そんな文章のほうが、ずっと好きです。

 つまり、童話のような話です。

 もちろん童話は童話で、読み物としては素っ気な過ぎますけどね。


~補足~

 一人称視点=だめだというわけではありません。効果的に使われている小説も多く、その多くは名作です。(きっと)

 以前のエッセイでも書きましたが、「吾輩は猫である」。猫の独白という時点でずるい。読み始める前に既に一本取られています。途中は会話が多くてあんまり関係なくなりますが。

 次に、「スレイヤーズ」。一人称最大の武器である、勢いと読みやすさ。このふたつに特化し、最大限に生かしています。どかどか派手な呪文が飛び交う世界観にもマッチしています。

 ついでに、「項羽と劉邦、あと田中」。タイムスリップが題材ということで、主人公の田中と他の人物との立ち位置を明確にするのに最適です。作風がコメディタッチなので、これで三人称視点だと、おそらく面白くもなんともないでしょう。

~補足終わり~

 

 さて、以上を踏まえて本題です。 前置き長い!


 アニメやマンガのキャラは、程度の大小は別として、基本的に主人公も悪役もちょい役もほとんど全員が「プラス」のカテゴリに入りませんか? 要するに、嫌いではないってことです。

 どうでもいいキャラは多いでしょうが、「嫌いだから顔も見たくないキャラ」って、割合でいうとすごく少ないはずなんですよ。少なくとも、「顔も見たくない現実の人間」よりも。


 てことは、ほとんどのキャラが「魅力」を持っているんですよね。何かしらの。

 顔がいいとか魔法が使えるとか情に厚いとか色々あると思います。でも、それらはキャラによって違います。全てのキャラクターが好かれるなら、すべてのキャラクターに共通する部分を探さないといけません。

 それって何でしょう?

 私の考える答えは、「ぶれないこと」だと思います。 これは生身の人間には絶対にできないことで、創作キャラ最大のメリットです。


 ぶれない人間がいるでしょうか? 考えるまでもなく、いませんよ。そんな人。


 小説の感想内での批判で、

   ○○はこんなこと言わない、違和感がある、こんな行動をとるだろうか。そういうの多いですね。

 あー、気持ちはわかります。でもでも、そんな決まりきった行動しかとらない人間がいるのでしょうか。


 小説の中身の話ですが、

   ○○は××のため、普段飲まないウイスキーを飲んだ。頭痛がひどいため、よく考えずに××した。

 これも気持ちはわかります。でもでも、言い訳を用意しないと「普段」の行動の枠を破れない。

 良い人も、悪人も、小心者も、エロスな人も、全員最初に決められた設定から逃げられないのです。ああ、かわいそうに。


 そして私は、ぶれるキャラが好きです。

 私の書いた小説内のキャラも、「ぶれない人間なんていない」という発言をしています。させました。仕事の時は飲まないと自分の中で決めていたけれど、いつの間にかどうでもよくなった。そんなキャラです。


 「このキャラはこんなこと言わない」と批判するあなた。「このキャラ」の枠を勝手に狭めないでください。

 人間はぶれるんです、キャラだってぶれます。

 せめて「こんなこと言った」→「なにかあったのかな」と逆に考えて欲しいなあと思います。

 そして、その「なにかあったのかな」を探すとき、三人称視点のほうが範囲がずっと広いのです。


 一人称視点なら、淡々と解説してあったほうが好みです。そのほうが心の余白は広がります。細かに情熱的に描写すればするほど、余白は狭まり、「このキャラはこんなこと言わない」感が強くなります。

 この辺が、私が一人称視点が苦手な理由です。


 ということで、皆さんが私の小説を読んだときに「こいつなんかここだけキャラちゃうやん」と思っても、そんなもんです。

 他の皆さんの小説を読んだときに同じことを思ったとしても、そんなもんだと思いましょう。

 むしろ逆に楽しんでいただきたい。こいつこんな一面もあるのね、とか。



※あ、設定についてのぶれは、だめだと思います。物体は勝手に伸び縮みしませんし。

 突っ込み喰らったら、なるべく直しましょう。私もなるべくそうします。


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― 新着の感想 ―
[一言] ハードボイルドですね。 文章の型式的な意味で。
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