差別と区別(後半)
前半では私の考える差別の定義と、簡単な例を紹介しました。
しかし当然ながら判断に迷うケースも多々あります。単純にどっちか迷うだけでなく、立場や考え方によって逆の答えになったり。
自信が無くても判断しなければいけないときっていうのは、ありますよね。
そんな時に、今回のお話があなたの助けになれば幸いです。
まずは差別の定義の復習から。
■差別とは、『自分の力ではどうすることもできない差』で、『不利益を被るようなこと』。
■そして、差別はできる限り排除されるべきもの。
あとは、前半部分のレディースデーの例を覚えておいてください。
不利益に関しては、定価が基準(±0)だということ。そして、利益を得ていない(±0)は、不利益(-1)ではないということ。
①外国人学校への補助金打ち切りや、外国人への生活保護支給。 (国籍を理由に人権を制限することは、差別か区別か)
・教育を受ける権利や健康な生活以外に、参政権なんかもありますね。 それらを外国人に与えるかどうか。
これは、人権というものをどう捉えるかによって違います。
あなたは、基本的人権を保障するということが当然だと考えますか? それが外国人だったとしても?
もし考えるのなら、それを剥奪される(補助金打ち切り)のは、差別です。 当然のこと(±0)を剥奪(-1)という図式ですね。
でも、ここは日本です。昔の日本人が頑張ったから、今の日本があるわけです。
日本人にとっては当たり前(±0)ですが、外国人にとっては、そうではない。
自分たちが頑張ったわけではないけれど、日本という国が特別に与えてくれた(+1)。今風に言えば忖度ですかねえ。
もらえないのが当たり前の権利を剥奪されたとしても、『+1-1=0』です。つまり、不利益ではないわけです。
そう考えると、差別ではなく、区別になりますね。
もう一つ別の考えとしては、権利は勝ち取ったものというものがあります。
昔の日本人が頑張ったから、基本的人権を勝ち取れた(+1)。だから、日本人にとってそれを剥奪されるのは不利益になる。『+1-1=0』です。
しかし外国人はもともと(日本での)人権を勝ち取ったわけではない。補助金のない状態が、『±0』なんですね。
これも、分類すると、差別ではなく区別になります。
レディースデーとの違いに注意してください。レディースデーは無条件で与えられたプラスです。おまけされたんです。
でも、この項での人権は、自分が頑張って手に入れたプラスです。それを剥奪されるのは、貯金を減らされるのと同じように、不利益と考えます。
②女性専用車両。
・えーと、話がややこしくなるので、「法律上は乗れるよー」とか言い出さないようにw
□=一般車両 ■=女性専用 としましょう。
□□□□□ ←設置前の電車。5両ですね。
□□□□■ ←差別している。
□□□□□■■ ←差別ではない
簡単ですね。要するに、設置すること自体はいいけど、男性が乗車可能なスペースを減らしてしまうのは違うだろう、ということです。
③夫婦別姓問題。
これは差別にはなりません。
女性の姓を狙って制限しているわけではないので、そもそも差別定義前半の『自分の力ではどうすることもできない差』に当てはまらないんだもん。
だって、法律上は男女どちらの姓を優遇しろだなんて、書かれてないんだもん。
それでも社会的にーとか感じるとするなら、いじめに区別しましょう。
④昔の日本の参政権。
・ちょっと特殊でおもしろいかなーと思って紹介しときます。
例えば『男性で年収1000万以上の人のみ、選挙権を与える』という法律があった場合、どう考えます?
男性という条件が付いている時点で、差別確定ですね。 では、男性を取っ払って、『年収1000万以上の人のみ~』だったら、差別でしょうか?
年収は、自分のちからでどうこうできます。努力、勉強、アイデア。ただ、親の年収など、有利不利の要素が非常に大きいのも事実です。
私はこのケース、差別だと考えます。
年収は努力で覆せるので、確かにどうすることもできないわけではない。
しかしこの法律の意図として、『家柄、生まれである程度ふるいにかける』という意図があると思うからです。 家柄、血筋、そんなものは自分ではどうにもできませんね。差別です。
つまり、「文面を見れば区別に分類されるけれど、思想的には差別に分類される」という。
なんだか自分で書いてて、意味が伝わるかさっぱりな感じです。
どうでしょう、参考になりましたか?
最後になりましたけど、ひとつ。
人間だれしも差はあるよね。男と女でも体のつくりが全然違うし、人種ごとにも体は違うし。それらの差はどうやったって完璧な排除は絶対にできません。
だから、不利益うんぬんとは書いたけど、
ある程度の有利不利は飲み込もうぜ。
もちろんその「ある程度」すら、一人ひとり全然違うので困ってるんですが。