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Garage Inc.  作者: 鳴海 酒
29/46

責任をぶん投げろ(前編)


「いじめを黙認した教師を罰する法案(ざっくり過ぎ)」というやつが否決されたそうですね。


 Twitterのコメントを見ると、「なんで否決されるんだ、だれのための法案だ」という声が多くて驚きました。私はこの法案に反対ですから、否決されて良かったという立場ですね。

 この話を昨日今日知った人間が偉そうに法案の中身について語るのも恥ずかしいので、法案自体には軽くしか触れませんよ。


 私がこの法案に反対の理由は、教師の負担が大きすぎじゃね?ということです。


 この”負担”は、今回の法案についてではありません。教師の残業時間とか部活動の協力とか、そういう面で教師の負担って大きすぎだよねーという話はよく言われています。

 そんな中、いじめ対応の負担をさらに増やすというのはダブルスタンダードってやつでおかしくないの?という方向です。

 そもそも法案だけ作ったところで、原因の一つと考えられる”教師の忙しさ”を解決しないのなら、法案作成のための費用(コスト)効果(パフォーマンス)が釣り合うとはとても思えません。


 とはいえ、忙しいからいじめられている生徒をほっといていいかというと、それもダメですよね。

 だいたい本気でいじめをなくしたいのなら、教師が怠慢だとか誰が悪いとかの議論より「いじめ対策のための部署」をきちんと作るほうがどうやったって早いんですよ。



 あ、それができれば話は楽なんだよ! って思ったでしょ? 私もそう思います。

 私は外から言うだけですからね。実際やる人って、たぶんいろんな苦労が出てくると思いますけど。けど、黙ってても始まらないので。



 じゃ実際にこうするべきじゃないかって話に行きましょうか。

 とりあえず2点。


◇いじめ対策の部署を作るべきだ。そしてそれは、学校とか教師ではなく、外部に作らせるべきだ。

◇なぜそれができないかというと、教師自身が他部署に渡すべき仕事を渡さないからだ。



 順番にいきましょう。

 まずいじめ発生から。いじめられてる子は、被害を受けてるんだから警察に言えばいいだけの話です。暴行だの恐喝だの盗難だの、なにかしら犯罪行為があるでしょう。

 被害届を出すのは当然、被害者である子供本人です。

 もっとも、子供は筋道立てて説明とか無理でしょうから、実際には親の助けが欠かせませんね。調査の過程で教師の証言もいるでしょう。


 子供同士のいじめだからどうだこうだと言う人は当然出てくるでしょう。大げさにしたがらない人も。


 そこで教師が「じゃあ……」とがんばるからいけないのです。

 「犯罪行為でしょ? じゃああとは警察です。私は権限がない」で逃げればいいんです。

 子供同士だからまあまあとかおさめる役目も、警察に押し付けるんです。

 解決しなかったら? そりゃ、警察のせいですよ。


 ほら、人間って自分が困らないと本気で解決しようと思わないもんですよ。

 相談して親身になってくれるかもしれませんが、その時点では結局は他人事です。本気で相手にしてほしいなら、押し付けるか相手を巻き込むかしないといけません。

 とりあえず、個人としての対応はここまでですね。


 さて、こういう話が何件も増えて、いじめられっ子が集団で警察に押しかけまくれば、警察も困ります。今度は警察が取り組む番です。

 「しかたねえなあ」とかいって、いじめ対策部を作るかもしれません。そうなれば儲けもの。

 もしくは、警察が児童相談所的な奴にたらい回すかもしれません。児童相談所は、「やっぱり犯罪行為ですから」とかいって警察に戻すかな? それとも、また別のところに?


 たらい回し上等です。最後に押し付けられた奴がババを引くシステムが良いと思ってるわけではありませんが。

 でも、自分じゃ無理なんでしょ? 忙しいんでしょ?

 無理そうだとわかって引き受けるのは、子供にとっても教師にとっても不幸です。


 先ほど書いた、”外部のいじめ対策機関”は、一から作るのではなく、既存の組織へ作らせる形に持っていくのがベストだと思います。やる気的にも、スピード的にも。そのためのたらい回しです。



 経験上、本気で物事を解決させたいなら話を大きくするのが一番早いです。


 働いててミスがありました。もちろん自分の責任です。解決しなけりゃいけません。

 でも自分で解決できないなら、上司にいう。上司で無理なら、その上へ。

 ”自分の責任”というのと”自分だけで解決する”というのは違うはずなのですが、そこを混同して「他人に任せられないわ」とか思っちゃうと、悲劇の始まりですよね。


 大きな組織、偉い人に押し付ければ、やれることも個人とは段違いに広がります。

 そのほうがいいって!


今回は二本立てです。

責任を押し付けろ(後編)へ続きます。

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