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アースダイバーズ  作者: アリカ&サリリィ
1/10

1.世界の中のアタシ

挿絵(By みてみん)



目の前にある景色


ずーっと、ずーーーっと……


広がる世界があって


そこに


一つ一つの在り方に


意味があるんだなぁって……


気付ける人は


どれだけ居るんだろう?


その意味に


『意識』を傾ける人は


どれだけ居るんだろう?




それに気付けたのなら……




≪これは【アナタ】が居る世界から続く、ずっとずっと先の未来の可能性のお話。≫



挿絵(By みてみん)



いつからだろう?


人が、空に夢を馳せて、空を眺めてから……沢山の星が私達を中心に幾度と無く回り回った。


時代が、時を重ねて、多くの人が世代を作り。


気付けば、人は、空に居て、そして、そこに夢を馳せる事は無くなった。




ここは地球衛星上にある大型人類居住型衛星、通称「コロニー」。


 発達した人類が増える事を辞め、地上に住む理由を失うと……彼等は空に住む様になった。

 もちろん夢や希望が無いって訳じゃないし、皆生き生きと暮らしているよ?

 ただ、そうであった方が能率的だとか、合理的だとかそういう理由だったと思う。


 一部の人々を残して空に上がった私達は、地上に残る人々と僅かに交流を残しながら今も僅かに地球に依存しつつも何不自由無い生活を送っている。

 管理された人数制限下でだけど、私達は昔と何ら変わらない人間としての営みを許されている。


 子供が育ち、学校に通い、友達と遊び、学び、そして成人して、皆の為に働く。




 私達はそんな時代で、今も人として生活してる……!!




 ―――




「私は普通のッ!! 女の子ッ!! 普通のッ!!」


 ガンッ!!

 ガンッ!!


 この壁に頭を打ち付けている、どう見ても普通じゃないこの子……『亜梨花アリカ=クゥエッド=吉本よしもと』という名前のこの子……言うの恥ずかしいんだけど昔の私。


 その日、私は……ううん、ごめんやっぱここはアリカって呼ばせて、お願いだから。


 ……アリカは一貫制の学園を卒業する一歩手前にして、就職先が見つからないという希有な存在として最後の就職面接を受けに来てたんだけど……。


「アリカ君、君何してるの?」


 相談室から出てきたその時の先生の表情は腫物を見るみたいに引きつってた。



 ―――――――――――――

 亜梨花アリカ=クゥエッド=吉本よしもと

 一応主役です。おバカちゃんなのはご愛敬だと思って許してあげて。自分で言うのもなんだけど。

 ―――――――――――――




「結局、まだ見つからないんだ?」

「うん……アーーッもうやばいよォ!! このままじゃ働く前から強制就労所送りだよォ~!!」


 働かざるもの食うべからず……とはよく言ったもので。


 このコロニーにおいて、働き先が見つからない、働こうにも身体能力に問題がある、そんな人は必ず強制就労所と呼ばれる場所へ通う事が義務付けられてる。


 簡単に言えば職業訓練所みたいな所。

 働きに見合えばすぐ出れるし、そこで生活する事も出来る……不自由は多いらしいけど。


 そんな事を友達のサッチャン……『サリリィ=ドゥナー=アルリス』が心配そうな顔で冷たい言葉を放ってたっけ。


「アリカはおバカちゃんだからそれでもいいかもね……」

「アタシバカじゃないよ!?」

「だって成績どん底じゃん?」

「アーーーー!!そうだったァーー!?」


 どんなにおバカちゃんでも就職先は大体見つかる……その筈だったんだけど。


 先生達もお手上げな程におバカなアリカは結局就労所に送られる直前の鬱な感情を表に出して……友達のサッチャンと一緒に頭上のグラスパネルが映す夕日の映像から漏れる光を浴びながら歩き帰宅したんだ。



 ―――――――――――――

 サリリィ=ドゥナー=アルリス

 親友のサッチャン。おバカな子には厳しい世界だけど彼女だけは私に構ってくれるいい人。

 ―――――――――――――




 現実は残酷で、その次の日の朝……家にあるホームスケジューラー画面にでかでかと「翌日からの強制就労所への出勤」を命じる文が出てた時は家族共々驚愕の顔を浮かべてたのが印象的だったなぁ……。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 1.世界の中のアタシ 読みました。 近未来的な世界観と元気そうな語りがほどよくマッチしていて良かったです。 ワクワクする雰囲気ですね!
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