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第6話 天高く、茶を啜る秋 ~Chatting in the sky~

一か月も投稿が遅れてしまい、誠に申し訳ございません。今日まで、中間テストにレポート尽くしだったので……。今回も新キャラ登場&総帥回です。流れが途中で変わるので、前後編に区切ります。


誤字脱字、矛盾点や疑問点などがございましたら何なりとご報告ください。とくにりょーさんオナシャス!



12月15日 小説内の時間を以下の様に変更致しました。


10月28日

11月5日


多大なるご不便とご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

11月5日


10時30分



 日本最大規模の電気機器メーカー、紅葉院(こうよういん)グループ。


 その中枢、株式会社紅葉院製作所本社。高さ289m、54階建てというこの近辺では最も高い超高層ビルの最上階、屋上庭園。



 美しい木や草花に囲まれ、かすかに差し込む日の光が木漏れ日となってあたりを美しく照らすこの楽園には今、日本を代表する実業家が2人、静かに、しかし凡人には重すぎてとても耐えられない威圧感、いや、カリスマとでもいうべきか、を溢れさせ対面していた。


 一人は、身長がやや低くふくよか。普通に一見すると愛嬌のある中年男性。だがどことなく近寄り難さがある。剛毛な黒髪はふさふさとしており、年齢の割に若く見える。


 彼は「消しゴムから航空機まで」をコンセプトに事業を展開している日本の経済界の大物だ。




 その名は、蓼園 肇。



 先の『再構築』騒動でメディアからの注目を浴びている実業家にして資産家である。




 そしてもう一人なのだが、その人物はこの場において蓼園 肇以上に異彩を放っていた。



 それは——————十一、二くらいの幼い少女だった。年頃の女の子に流行りの服を着せてランドセルを背負わせれば、どこからどう見ても小学生にしか見えない。



 特筆すべきは、その美貌だ。




 月並みな表現だが、流れるような黒髪、血が通ってないと錯覚してしまうほどの白い肌、見るもの吸い込むかのような黒目、小ぶりの鼻と口は西洋の人形職人の技術の粋を凝らしたかのような純真無垢な可愛らしい顔。それを、この汚れた大人の思惑が蔓延る世界を生き抜く術を熟知している老人のような狡猾さをぐちゃぐちゃに混ぜたかのようなオーラを放つことでこの少女の得体のしれなさに拍車をかけている。黒をベースとしたゴシックドレスに身を包み、まるで中世の貴族のように上品に立ち振る舞う姿は、より一層その非人間性を際立たせていた。






 彼女の名前は紅葉院 有栖(ありす)




 外見にピッタリの幻想的で、可愛らしい名前だが、何を隠そう、彼女こそがこの日本を代表する大企業の一つ、紅葉院グループの現会長、事実上の最高経営責任者である。



 また、彼らが会談している庭園にはもう二人ほど人間がいる。



 一人は、蓼園 肇が腰かけている席の傍らに立つ、冷静沈着、才色兼備を絵にかいたような隙のなさそうな若い女性。蓼園 肇の秘書だろうか。


 そしてもう一人は、紅葉院 有栖が腰かけている席の傍らに立つ、大人びてはいるが、特有の青臭さが残る大学、いや、高校生くらいの少年である。こちらは秘書というよりも、ボディガードといった方が正しい。




 そして、彼らはたった今、非常に重大な要件について話し合っていた。



「ええ、承りましたわ。では(わたくし)達もそのようにいたしましょう」



 育ちの良さを想像させる貞淑かつ慇懃な口調でそう言葉を紡ぎ、紅葉院 有栖は手元にある紅茶が入ったティーカップに口をつけた。


「いやーすまんな! 君には何から何まで世話になりっぱなしだ!詫び、いや、礼と言っては何だが、今度一緒に食事でもどうだね?いいワインがあるん……」


「肇さま、紅葉院様は未成年です。『嫌がる女性、しかも未成年に無理矢理酒を飲ませた』などと言ったゴシップ記事のネタになられたいのであれば無理には止めませんが?」



 好々爺然とした口調で紅葉院 有栖に語りかける蓼園 肇の声に被せるように蓼園 肇の秘書が釘をさす。超大物実業家二人の会話の間にたかだか一介の秘書が口を挟む。本来ならば、無礼千万極まりないこの暴挙、


「冗談だ、冗談だよ、遥君。本当に君は言い方というものに遠慮がないなぁ…。」



 しかし当の蓼園 肇は特に咎めることもせず、やれやれといったように遥と呼ばれた秘書に向かって首を横に振り、紅葉院 有栖はクスクスと笑うだけであった。


「何か問題でも?」


「いや、無いとも!君からそれをとってしまったら、儂の顔色を窺うつまらない奴になってしまうだろう?」


「つまり、私は肇様に対して歯に衣着せぬ言い方をするしか能のない女だとおっしゃっているわけですね?」


「ははははははは、これはまた手厳しい!」



 交わされる会話の内容とは裏腹に、蓼園 肇には狼狽した様子が全く見られない。普段からこのような調子で秘書とやり取りをしているのだろうか。




「うふふ、蓼園様。あまり遥さんをからかうものではありませんわ。意地悪な男性は好かれませんわよ」



「おお、すまんな! また見苦しいものを見せてしまった。いや———遥君は反応が本当に面白くてなぁ。この前なんか———」


「蓼園会長……?」


 その秘書の声は、絶対零度を連想させるほどぞっとするもので、普通の人ならばガタガタと震え上がることだろう。最も、この庭園内にいる人物は、本来一般人であるはずの紅葉院 有栖の護衛である少年を含めた全員、一切動じることはない。この程度のことで萎縮するような軟弱者はこの場には不要だ。


 もちろん蓼園 肇もその例外ではない。彼はなんとも涼しい顔をして話をはぐらかすばかりだ。


「……ふふ、本当、蓼園様は昔と違ってだいぶお変わりになられましたわね」



「ふむ、そうだろうな。だいぶ年老いたのもだ。そろそろ身の回りの整理をしておいた方が良いかもしれん。いつ迎えが来るかもわからんからな」



「人が真面目な話をしている最中にお惚けになるようなお人が悪いところは相変わらずですわね。そういうことではありませんわ」



 しらばっくれる蓼園 肇に少し困った笑みを返す紅葉院 有栖。


 彼女は目を閉じてふぅ、と一息入れてから、


「随分と穏やかになられましたわ」


 と言葉を紡いだ。蓼園 肇はなんとも居心地の悪そうに頭を搔き始めた。


「かつての貴方様はまるで百獣を統べる王のように猛々しくあられるお方でした。自分が目指す理想のために、身の回りのすべてを、もちろん自分自身も一つの駒として扱う根っからの理想主義者(機械)。けれども今はそうではない。」


 そして、花が咲いたような暖かい笑みで


「貴方様は、立花 憂(あの娘)とであったことで、ずいぶんと穏やかに、優しくなられましたわ」


 眉を顰める蓼園 肇を照らした。


「つまりは軟弱になったと? ははは! そうかもしれぬな! あの会見では保身のための出まかせを垂れ流すばかりだと思っていたが、成程!多少の事実も述べていたというわけだな!」


 ついには開き直るように自嘲の言葉をまくしたてる蓼園 肇。どことなくオーバーリアクションなところが逆に噓臭い。


「そうですわね……」


 もはや、咎めることもしなくなった紅葉院 有栖。それでもなお動じることなく微笑を崩さないのは、幼少より彼女が受けてきた教育の賜物であろう。


「確かにそれは時に人を軟弱にさせるものです」


 わずかに低く、冷えた声色で紅葉院は言い放った。





 新キャラはロリっ娘CEOの有栖ちゃん!お人形さんみたいでとってもかわいい!でも油断は禁物だよ。綺麗なバラにはとげがあるんだからねっ!


 とかいう言ってるこっちが虚しくなるようなノリは置いといて……



 はい、少なめですが、総帥回です。彼本当に扱いづらいんですよ!うかつに彼の心情らしきものが描写できないんですよね~。彼はあくまでりょーさんの小説の登場人物なので……。


「気にしないでバンバン書いていいよ!」

 

 とりょーさんはおっしゃってくれているのですが…自分といたしましては極力矛盾点や原作レイプは避けたいところでして…。

 総帥と遥さん、康平、梢枝に凌平の5人は本当に設定から何からすべて把握しないとっすね。


 これからも頑張っていきますよー!








 この小説に目を向けてくださった親切なお方は、どうかこの後本編の方のどこかで出てくる、「文化祭おかわり」のミスコンのお話に注目していただけると、面白いことに気が付くかもしれません。

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