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第1話 世界を変える男と世界を変えた少女 前編 ~Raccorn dog meets girl,fake~

どうもこんにちは、いしいしだです。


まだ一話しか投稿していないのに総合評価22ptもいただきました!!感謝の言葉もありません!!本当にありがとうございます!!(矛盾)



今回は半脳少女今までのおさらい(前編)です。優が憂になった表向きの経緯ですね。ないとは思いますが、万一この小説から半脳少女に入る人のためのものです。


まあ、自分でも理解が間違っているところがあるかもしれないので、矛盾等がありましたらご連絡ください。特にりょーさん、お願いしまっせ。


客観的に語る部分と主観が混じるところが多々あってむちゃくちゃかもしれないですが、最後まで見ていただけたら幸いです!!






 たとえどんな日であろうと、そこには人々が積み上げた歴史が、人々がに託した思いがある。



 10月21日 土曜日



 博識な人、あるいは博識アピールをしたくてちょっとネットで聞きかじった人、上司との会話のちょっとしたネタにしたい人ならば、その日は1879年、『発明王』と名高いトーマス・アルバ・エジソンが日本の竹の繊維をフィラメントに用いた白熱電流を完成させ、アメリカで初めて一般に公開した日だということを知っているだろう。また1882年、大隈重信が早稲田大学を創立させた日としても有名である。

 




 だが、今年、この日の歴史はエジソンの発明や早稲田の創立とは比べ物にならないくらいに衝撃的な事実が世界中に広められた、まさしく世界が変わった日となった。





 その引き金を引いたのは、芸真ジャーナルという下世話なゴシップ記事を売りにしたしがない雑誌編集者であった。




 本来、彼らはとある男の噂を追っていた。



 男の名前は(たで)(その) (はじめ)。「消しゴムから航空機まで」をコンセプトとして掲げ、我々の生活に最も深く関わっている、日本で最も巨大な勢力を築き上げた特大グループの一つ、『蓼園グループ』の最高経営責任者にして蓼園商会の会長である。彼は、若輩であった頃、祖父と父を退陣させ、蓼園商会の実権を握る。30年前にとある町に拠点を移し、名前を蓼園市と改め、あらゆる方面へとその事業を発展させてきた凄腕の事業家だ。


 それ故、人々は畏れと敬意をこめて彼をこう呼んだ、




 『総帥』 



 蓼園の首領ドンだ、と。




 この男の名前を知らない者は、よほど人との繋がりを断絶している変わり者か、ものごころつく前の子どもでもない限りそうそういないだろう。




 そんな日本という国の重鎮である彼には、とある有名な疑惑が浮上していた。




 それはいかなるものなのか、その経緯を一から説明するとしよう。





 事の発端は去年の5月6日、彼がとある事故を起こした事から始まった。


 彼を乗せた車が歩道橋の下を通りがかった時に、上から転落してきた少年を追い討ちのような形で撥ね飛ばしたのだ。とはいっても、彼に直接非があったわけではない。現場の状況的に、上から落下してきた少年を避ける余裕もなかったし、彼は後部座席に乗っていただけだった。


 しかし、事実として彼を乗せた車が少年を撥ねてしまったことには変わりがなかった。


 少年はすぐに病院に転送されたが、歩道橋からの落下に加え、車との接触。生存は絶望的だった。


 医師たちの必死の治療の甲斐なく長い入院の末、少年———————立花 優は、静かに息を引き取った。



 死亡事故ということに加え、それに関わったのが日本でも有数の実業家であるということで、事件は連日大きく取り上げられた。日本国内はもちろんのこと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国など各国のテレビでも毎日話題に挙げられるくらいだった。



 蓼園肇は立花少年が他界した直後、蓼園商会会長を辞任した。



 多くの人がその辞任表明に唖然とした。直接的な原因になったとはいえ、『彼が立花少年を殺した』というのはかなりの無理がある。立花少年は事件直前、数人の少年たちに追いかけまわされており、そのはずみで歩道橋から転落した、ということが警察の事情聴取から明らかになっている。非難されるとしたら蓼園肇ではなくその少年達の方が正しいだろう。

運転していたわけでもないのに、その事件の責任を背負いこみ、日本有数の大企業の経営者である男は今までの人生で積み上げてきたキャリアをすべて捨てたのだ。

 彼を一目見たものは、大きく出た腹と食えない雰囲気から『腹黒』、『狸おやじ』という言葉を連想するが、

「これはケジメなんです。人を人と思わぬ人で無かった私に優くんは身を持って、人と云うものを教えてくれた。人に戻った私は俗物に成り下がった。今はもう単なる人間なんです」

と記者たちの前で語る男は腹黒どころか清廉潔白で、その様は大きな反響を生んだ。職場で交わされる会話の起点として『蓼園が~』、主婦の井戸端会議で必ず取り上げられる議題として『蓼園が~』、公立高校の受験生たちに塾の講師が授業の息抜きで話す話題として『蓼園が~』。一時期、埼玉県に住むとある家族を描いた子供向けアニメに『でたこの商会』という企業がネタとして使われたり、動画サイトで記者会見の映像を使った音MADが流行ったこともあったくらいだ。



 彼が関わった事故は、まさしく日本全土を震撼させたといえた。



 ここまでならば、皆が知るところだろう。だが、この話にはまだまだ続きがあるのだ。



 立花少年の事故以来、彼は人が変わったように児童施設や老人介護施設を頻繁に訪れ、多大な寄付をし続けた。現役時代、彼は巷で『拝金主義』『現実主義者』と称されていたが、その時の彼は博愛主義に目覚めた、としか言いようがなく、極めて異常だった。


 そして彼は、そこで運命的な出会いをする。


 とある児童養護施設に引き取られていた一人の少女に出会ったのだ。


 少女の名前は篠本 憂。



 漢字も性別も違うが、奇しくも事故で死んだ立花少年と同じ名前だった。



 蓼園 肇は、彼女を一目見て心を惹かれた。彼女を一目見たらそうならない人物はいないだろう。

 


 控えめにいって、彼女はこの世の者だということが疑わしいくらい儚く、可憐で、美しかった。



 当時、彼女の姿を見たことがあるというとある著名な小説家はその容姿についてこう語っていた。



「濡れても尚、柔らかさを感じさせる、細く淡い栗色の髪。その毛先は更に細くなり、肩の辺りで途切れている。まるで鋏を入れた事の無い幼子の毛髪のようだ。

 ふっくらとした薄い桃色の唇、小ぶりの整った鼻、ぱっちりした黒目がちな瞳と、その上に柔らかく弧を描く眉。その1つ1つが洗練されており、名立たる画家も舌を巻くであろうレベルで、バランス良く小さな顔に納まっている。驚嘆に値する美少女ぶりだ。将来が楽しみで仕方がない。」



 篠本 憂と蓼園 肇。



 二人の間に何があったのかは厳密には分からない。


 ただこの時、少女と総帥の間には赤の他人ではない何かしらのつながりのようなものが出来ていたのだろう。







 だが、この後予想だにしない事態が起こる。







 ――――――――篠本 憂が自殺を図ったのだ。






 幸いそれは未遂で終わったものの、彼女は意識不明の重態だった。


 

 直後に蓼園 肇の援助で病院に搬送され、最高級の治療を受けることになった。




 そして、たまたまNsが「憂さん」と呼ぶ声を聴いた立花夫妻が蓼園 肇を問い詰めたことにより立花夫妻は篠本 憂の存在を知ったのである。



 息子の死を受け入れられなかった彼らは大きな衝撃を受けた。驚くべきことに、彼女は立花少年と同い年で、生まれた日も同じなのだそうだ。自分の息子と同じ名前、これは運命としか言いようがない。



 立花夫妻は、懇願し、彼女を養子として迎え入れようとした。


 

 だが、残酷な現実が彼らを絶望にたたきつける。

 



 彼女が意識を取り戻した時、すでに彼女は元の状態ではなくなってしまっていた。彼女の脳は、半分がその機能を停止していたのである。




 言語能力、演算能力、人としてかけてはならない大部分のものが失われていた。



 彼女を明るく迎えようと思っていた立花夫妻、彼女の身を誰よりも案じていた蓼園 肇は深い悲しみに見舞われた。だがそんな彼らに、篠本改め立花 憂が放った一言は、大人たちを突き動かした。



「ボク――ふつうに――くらし――たい――」



 彼女は、障害に負けてなどいなかった。ずっと戦っているのだ。それに引き換えなんだ、勝手に負けた気になっているのは我々ではないか。


 大人たちはみな奮い立った。そして彼女が普通に、平穏に日常を過ごせるようにする、そのために各々が動き始めた。特に蓼園 肇は、立花 憂とその家族の為、なんの見返りもなしに可能な限りの援助し続けた。





 立花 憂は、まともに歩くことも出来ず、リハビリは難航し、長く苦しい入院生活が続いたが、彼女は決して根を上げたりはしなかった。その姿はどことなく、立花 優がバスケットボールに打ち込む姿に似ていた。



 そして約一年が過ぎ、ついに立花 憂の退院が決まった。


 彼女はかつて、立花 優が通っていた、私立蓼園学園に通うこととなった。


 そこで彼女は、戸惑うこともあったが、日本のトップの1人とも呼べる男の後ろ盾と、かつて立花 優と恋仲だった少女、漆原 千穂や仲が良かった友人たちをはじめとする多くの仲間に囲まれ、平穏な学園生活を送れるようになったのだ。












 と、ここで話が終わっていたならばゴールデンタイムのバラエティ番組で取り上げられるホームドラマとして扱われそうな話で終わっただろう。





 ところが、この話は終わっていない。




 むしろ、ここからが本題だったのだ————―————————


というわけではい、まさかの原作者登場ですwwwww。


これって肖像権いるのでしょうか……怖いところです。


本当は2話目ですべて説明しようと思っていたのですが、あまりにも量が多すぎて読むのが大変になるだろうということと、これから二日間全く書けないので、間をあけてしまうのはよくないと思い、前後編で分けることにしました。ご了承ください。


ああ、早くオリキャラいっぱい登場させたい………。



最後までお読みいただきありがとうございました。ブクマ追加、レビューや感想などを送ってきてくださると私のモチベが上がるのでもしよかったらお願いいたします!!




8月 21日 7時 55分


篠原→篠本に修正

日本で最も巨大な勢力を築き上げた特大グループ→日本で最も巨大な勢力を築き上げた特大グループの一つに訂正

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