(3)このパーティーはどこかずれている(後編)
ボロボロになった俺たちは酒場で反省会をしていた。
「お前なんであそこで注目されるような行動したんだよ!少しは耐えろ!」
「だってしょうがないじゃない!あのままスライムに絡まれろなんて無理だし…ロノレスの範囲攻撃でなんとかならなかったの!?」
「無理言わないで…範囲攻撃には時間がかかるの。逃げながら唱えるなんて私には一体一体処理するのが精一杯です…それに、気を逸らす魔法も使いました。それで途中からの追ってを減らしたんじゃないですか。あなたもポーションで退治できたでしょ。ハヤトもなぜ煙幕を使わなかったのです?」
「煙幕を使うには地味だがそれなりの魔力が必要なんだ!退治してる間に使えるだけの魔力は残ってなかった!」
全員がはぁ、とため息をつく。
なんなら前衛職がもう一人欲しいところだ。だが俺も今回のクエストでスキルアップして新たな技を手に入れたから、まだしばらくはカバーできるだろうが…それでもきつい。
「まぁ、集団行動になったから狩った数が多くて報酬は50000ラグと高かったから結果的オッケー?なのかな?」
「アウトだろ。俺に精神的ダメージと肉体的ダメージが大きい」
「後で治療してあげるから…ね?」
そう言ってリメルわざとらしくウインクする。
…憎めないなぁ。
「私が21体ハヤトが18体リメルが15体…つまり私が一番活躍してるのですよ?」
「ああゆう空飛ぶモンスター系は魔法使いの土俵だろ…」
どうしてこうまとまりがないのだろうか…
「じゃあ俺は宿屋で風呂入って寝るから。明日は朝9時集合な。」
異世界もうまくいくもんじゃねぇな…
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こうして、俺たちのクエストを受ける日々が始まった。
ある日はスライム、とある日は凶暴な牛、ある時は三首のケルベロス。
最近ではこのトラムの街で知らぬものはいないぐらいになっていた。
「ガハハハハ、おめぇまたクエスト失敗したのかよ!」
「してねぇよ!成功してるけど最後だけ変なことがついてくるんだよ!黙ってろ詐欺師で有名なバサロさんよぉ!」
「うるせぇ!詐欺師でもなければ、ペテン師でもねぇ!おめぇの方が奇術師だから似合ってるぜ!」
俺の失敗は有名になり、こんな会話もできるようになった。
「それより聞いたかよ!王国から来た美少女剣士の話!いろんな剣士に喧嘩を売ってるようだが未だ無敗!すげぇよなぁ!」
「へぇ、そんなにすごいのか。ゼヒトモアイタイナー」
興味なさそうに話していると、ロノレスとリメルが急いだ様子で走ってきた
「大変です!王国の騎士が!」
「ハヤトと手を合わせるって!早くきて!」
えっ?俺?
事情が飲み込めないまま、俺は引っ張られるのだった。