(2)このパーティーはどこかおかしい?(前編)
冒険者になった俺はあることに気づいた。
そう、今の俺には仲間『パーティーメンバー』がいないのだ。こういうのは、仲間に入るのではなくパーティーを開くのが主人公の鉄則である。
…美少女が戦うなんて素晴らしいことよ…
俺はパーティーメンバーの募集のところに紙を貼り付け募集する。
募集内容は遠まわしに『美少女歓迎、男来んな!』と書いた。
なんかこうしてみると、求人募集するみたいだな。
俺は酒屋で仲間を待つことにした。
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しばらくすると、いかにも魔法使いなローブを着た少女が現れた。
「ここに、少女魔法使いを希望している人がいると聞いたのですがあなたに間違いないですか?」
「ああ、募集内容は読んだ?」
「戦う美少女は素晴らしいと書かれたゲスな募集のことですか?」
あってる、あってるけどなんかけどなんか腹立つわー。
「私の名はロノレス、魔法使いですが…」
魔法少女ってこう、お調子者なイメージがあるがなんか違う。冷静沈着ベテラン魔法使いな感じ…そんな美少女。うんそれも悪くなくね?
「なんでここを選んだの?」
「いやぁ…一番募集内容が変わっていたから…魔法使いなんて多いから、パーティー組むのが大変で…それならいっそ誰も寄り付かないような募集のところに入ってやろうと…」
失礼極まりないなこいつ。まぁ確かに変だったけども。
「で?使える魔法は?」
「基礎魔法は大抵使えますし、他人には使えない魔法を使うことには自信があります」
「例えば?」
「そうですね。あなたが私のことを『こいつ貧乳だな、いやでもそこもよし。年は俺に近いから気を使わないですむ。』みたいなことを考えてることを見通す魔法なら使えます」
怖っ!怖っなにこの魔法使い。チート魔法じゃん。
「まぁ、嘘ですけど。…もしかして本当に考えてました?」
うぎゃああ!怖あぁぁ。
「まぁ、うんそういうことならよろしくな。」
いつの間にか俺の声は震えていた。
「…そんな怯えた目で言われても…」
「あたしを必要としてくれているパーティーはここかな♪」
突然、俺たちの会話は遮られた。
「ねぇねぇここでしょ?私を必要としてくれているパーティーは」
「パーティーメンバーを募集しているのはあってますが…職業と名前は?」
「名はリメル。職業はヒーラー系統の白魔道士と薬師。美少女を募集してるんでしょ?」
あの募集長く続けてるとヤバい奴ばかり集まるんじゃないかなぁ…
やってきたのは金髪ショート、美少女で馬鹿っぽいが何を考えてるかわからん。
彼女は宜しくねというと俺の手を握る。
誰にでも優しく接するタイプか…男は勘違いしやすい生き物だからそういうことはやめて。惚れる。
「まぁ、パーティーなんて3人もいればしばらくは大丈夫か…」
俺はもう変な奴が集まらないよう、募集の紙ビリッとはがした。
後ろではニコニコと二人が笑っていて心が見透かされてるようで落ち着かない。
…こんなパーティーで大丈夫か?
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俺はとある平原にいた。
先ほどパーティーを組んだ仲間との初めての冒険だ。クエスト内容は作物を荒らすフタクビカラスの討伐。いたって簡単なクエストだが、空を飛ぶ厄介な敵だ。
「ロノレスは電気系の魔法で撃ち落として、リメルはカラス駆除用ポーション、俺は念能力で撃ち落とす。いいな?」
「「了解!」」
「こういうのワクワクするよねー!」
「初めてのクエスト成功させましょう!」
なーんか緩いなあ。
「駆除しすぎると大群で襲ってくるらしい!気をつけろよ!」
俺は迫ってくるカラスに剣で斬ったり、飛んでいる奴は撃ち落とし、しぶとい奴は奇術師の煙幕を使って追っ払う。
完璧だ。何もかもが順調にいっていたその時ーー
「大変!別のモンスターが私のところに!」
リメルが突然大きくをあげた。どうやらポーションをまいていたせいで別のモンスターが寄ってきたらしい。
「どんなモンスターだ!」
「スライムですね!こっちは手を話せそうにありません自分でなんとかしてください!」
「ヒーッスライムが足に!?」
…これおいしい展開なのでは?
俺は多少手があいているが、忙しいフリをして様子を眺める。
すると、彼女は突然黙り…
「…こーんなことしていいと思ってるのスライムちゃん…?」
足にまとわりついたスライムをつかみ上げ思いっきり握りつぶした。
…ここに来る前、狩っている最中邪魔してくるスライムが厄介だと聞いた。物理攻撃が聞かないから厄介らしい。…今握りつぶしたよね?
スライムのバーンという破裂音に反応し、フタクビカラス達は集団行動を始めた。集団行動になったら勝ち目はない。
俺は撤収!と言い、逃げる最中こんなことを考えた。
どうしてこうなった。
俺たちはひたすら走り、街についた頃にはボロボロになっていた。