1/1
プロローグ
――いやだ。いやだいやだいやだいやだ。
今さっきまであったものがなくなる感覚。口からとめどなく血が出る感覚。それはどれも気持ちの良いものではなくて。必死に腕を、脚を動かそうとしてももうそこには虚無だけが広がっていて。
人の泣き叫ぶ声。助けて、いやだ、そんな風に泣き叫ぶ替えが聞こえる。
――いたいたいいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいいたいたいいたいいたいいいたいたいいたいいたいいいたいたいいたいいたいいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいいたいたいいたいいたいいいたいたいいたいいたいい。
本来脳からの電波を受け取るべきだったものがなくなってしまった体は気持ちが悪いと血の涙を流し泣き叫び、痛みを訴える。自身の体から血が抜けていく感覚が気持ち悪くて、血を吐いて、吐いて、吐く。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。ごん、と頭の下から音がして、自分が地面に倒れたのだと理解する。
「行かないでくれ。頼むから、俺の大切なものを、奪わないで。」