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窓際の不思議な彼-part8-伝統

窓際にいる不思議な彼

彼に悩みを話すと解決するという噂が・・・

「〇〇学校の〇〇クラスの」

「窓際にいる不思議な彼に」

「困っていることを話すと」

「解決するらしいよ」

「解決できた人を知ってる」

「ただのデマだよ」

「誰なの?」

「その学校の生徒らしい」

「その学校の生徒じゃないって聞いた」

「先生らしいよ」

「部外者だって」

「すごいイケメンだって」

「すごい可愛い女の子だよ」

「汚いおじさん・・・」

「優しいおばあちゃん」

「近所の悪ガキ」

「赤ちゃん・・・」

「印象にも残らない普通の人」

「彼は学校だけにいる訳じゃない」

「あの喫茶店でよく見るって!」

「パッと見で雰囲気が違うのが分かるって」

「自分から話したくなるんだって」

「なにそれ、怖くない?」

「公園のベンチにいたって!」

「部活に入ってるらしいよ」

「駄菓子食べてた!」

「最近、噂を聞かないね」

街の様々な所でそんな噂の話がされている。



■伝統

「こんにちは」

「ああ、どうぞ。そちらの席は使ってください」

「僕はこっちの席で」

「伝統なんですよね?その席」

「夏場は風が入って涼しいですけど・・・」

「冬場は・・・寒くないですか?」

「いつごろからの伝統なんですか?」

「え?別にそんな伝統は無い?」

「そうなんですか?」

「たまたま・・・」

「そうですか・・・」

「周りの人が気を利かせて?」

「はは。確かに。漫画を読まないのは僕と」

「先輩だけですもんね」

「え?先輩が卒業したら?」

「僕がその席に?」

「はは。分かりました」

「なんだか、伝統みたいですね」



「あ、先生。こんにちは」

「え?そうなんですか?今日は部活が休み?」

「分かりました」

「あ、そうだ。先生」

「実は、部室が汚いので、掃除だけしたいんですが」

「ええ。みんながいる時はやりづらいので」

「30分くらいで。ええ。良いですか?」

「ありがとうございます」

「はい。終わったらすぐに帰ります」



「あれ?誰だろ?」

「部室の前に誰かいる・・・」

「こ、こんにちは・・・」

「え、ええと・・・」

「あ、いえ、はじめまして」

「ああ!そうなんですね。OBの方でしたか」

「○○先輩ですか?」

「実は今日、部活はお休みなんです」

「ええ。なので、今日はみんな来ません」

「僕ですか?僕は部室の掃除に・・・」

「ええ、そうなんです」

「みんながいるとやりづらいので」

「ああ、どうぞどうぞ。中に入ってください」

「○○先生?」

「いえ、すいません。先生の名前はあんまり・・・」

「ただ、今の顧問の先生ではないですね」

「顧問の〇〇先生も今日は来ないと思います」

「最近、ご卒業されたんですか?」

「あ、そうなんですね」

「ええ。僕は最近入ったんです」

「ついこの前」

「新参者です」

「え?もうお帰りですか?」

「いえいえ、掃除の邪魔になんて」

「むしろ、お話を聞きたいですよ」

「・・・あはは、いや、実は・・・」

「放課後のこっちの方って人気がなくて・・・」

「ちょっと・・・不気味・・・じゃないですか?」

「いや・・・怖いとかでは・・・」

「ええ。もちろんですよ」

「是非。見て行ってください」

「結構変わりましたか?」

「漫画が増えてる?かなり?」

「はは。そうなんです。漫画好きがほとんどで」

「僕ですか?」

「僕は小説とか一般書籍しか読まないです」

「あとはさきほどの○○先輩だけですね」

「漫画を読まないのは」

「おお。さすがですね。もう読まれたんですか?」

「僕はまだです。結構内容が難しくないですか?」

「ええ。ええ。いやーそうですよね」

「まだ日本ではそこまで有名じゃなくて」

「これから一気にって感じで」

「ふふ。隠れファンと言うか、長年の推しみたいな感じで」

「一気に有名になった時に胸を張って言うんです」

「僕は前からこの方を知っていたぞって!」

「恥ずかしい・・・すいません。はしゃぎ過ぎました」

「はは。そう言っていただけると助かります」

「え?ええ。僕と○○先輩はいつもそんな話をしています」

「それか黙々と本を読んでいますね」

「はは。変わらないですか?」

「あ、そういえば。あの窓際の席って・・・」

「え?そうなんですか?伝統ですか・・・」

「いえ、この前○○先輩が伝統ではないって・・・」

「ん?意味が違う?なにがです?」

「ああ。なるほど、そういうことですね?」

「部長になるものが座る席・・・なるほど」

「え?じゃあ、僕が次期部長に?」

「いやー、なんか嫌だな・・・」

「ああ、いえ、すいません」

「静かに本だけ読んでいたいと思ったので・・・」

「え?そうなんですか?やることは無い?」

「それなら・・・まあ・・・」



「ふう。こんなものかな?」

「というか、すいません。お掃除を手伝ってもらって」

「はい。すごい綺麗になりました。ありがとうございます」

「おかげで早く終わりました」

「え?ええ。あと5分くらいなら・・・」

「あ・・・」

「ふふ。ああ、いえ、すいません」

「その席がなんだかとてもお似合いでしたので・・・」

「本当にありがとうございました。助かりました」

「え?この本は?返しに来られたのでは?」

「寄贈しに来てくださったんですか?」

「いいんですか?最新のやつじゃないですか・・・」

「もう読み終わったから?」

「分かりました。ええ。みんなにも伝えます」

「はい。ありがとうございました。いつでも来てください」

「・・・あっ」

「名前・・・聞くの忘れてた・・・」



「こんにちは」

「ああ、どうぞ。そちらの席は使ってください」

「僕はこっちの席で」

「ん?ああ、その本ですよね?」

「実は・・・」

「・・・ということがありまして」

「ええ。そうなんです」

「先輩に会いたそうにしていましたよ?」

「え?先輩ってあの人に勧められて?」

「そうなんですね」

「この席も?」

「へー。なんだか不思議な縁ですね」

「え?今日から?」

「僕がその席に?」

「はは。なんだか、それって・・・」

「伝統みたいですね・・・」

連載となります。

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