窓際の不思議な彼-part5-先生
窓際にいる不思議な彼
彼に悩みを話すと解決するという噂が・・・
「〇〇学校の〇〇クラスの」
「窓際にいる不思議な彼に」
「困っていることを話すと」
「解決するらしいよ」
「解決できた人を知ってる」
「ただのデマだよ」
「誰なの?」
「その学校の生徒らしい」
「その学校の生徒じゃないって聞いた」
「先生らしいよ」
「部外者だって」
「すごいイケメンだって」
「すごい可愛い女の子だよ」
「汚いおじさん・・・」
「優しいおばあちゃん」
「近所の悪ガキ」
「赤ちゃん・・・」
「印象にも残らない普通の人」
「彼は学校だけにいる訳じゃない」
「あの喫茶店でよく見るって!」
「パッと見で雰囲気が違うのが分かるって」
「自分から話したくなるんだって」
「なにそれ、怖くない?」
「公園のベンチにいたって!」
街の様々な所でそんな噂の話がされている。
■先生
「はあー。生徒は変な噂話や恋愛話ばかりだ」
「進路や将来のことをもっと考えてほしいですよ」
「おっと、放課後の見回りをしてきます」
「異常なし」
「異常なし」
「異常な・・・ん?」
「まだ、帰らないのか?」
「(この子・・・うちの生徒・・・だよな?)」
「(なんか、雰囲気というか、空気が違う?)」
「本を読んでいたのか?」
「なんていう本?」
「・・・知らないな」
「へー。海外で有名な物書き?」
「本当だ。日本の人なのか」
「部活には入ってないのか?」
「そうか。本が好きなら図書委員とかは?」
「そうか・・・」
「最近は本を読む生徒も減ったよ」
「私が知らないだけかもしれないが」
「そう言えば・・・」
「窓際の不思議な彼・・・という噂は有名?」
「ああ。そうそう。色んなところでその噂がね」
「聞いたことはある?」
「そうか。そうだよな」
「生徒たちはみんな話してるもんな」
「君はそういう噂は・・・」
「はは。そうだね。信じるかどうかは自由だね」
「おっ。帰るのかい?」
「気を付けて!」
「ただいまー。ああ。ありがとう」
「食べるよ。ありがとう」
「いいよ、いいよ」
「お風呂は自分が入れてくる」
「ゆっくりしてて」
「はあー。美味しい」
「ご馳走様」
「いいよ。食器は洗うから」
「良し。え?無理してないよ」
「大丈夫!」
「ふふ。たしかに、ちょっと老けたかも(笑)」
「でも、幸せさ」
「学校では噂話と恋愛話だね」
「はは。そうそう。俺らの頃と変わらないよ」
「え?あの噂はそっちの職場でも?」
「すごいな。こっちもその噂ばっかりだよ」
「ん?そうだね。生徒たちは多種多様だよ」
「でも、昔みたいに荒れてるとかってことはない」
「俺が分からないだけかもしれないけど」
「そういえば、今日、不思議な生徒がいてさ・・・」
「はい。おはよう」
「授業を始めます」
「そこ、噂話は休み時間に」
「分からないところがある人は挙手ー」
「そうそう。OK!」
「寝るなよー」
「それでは帰りの会をー」
「はい。気を付けて帰るように!」
「はは。また残ってたのかい?」
「今度は別の本?」
「すごいな」
「図書委員に・・・」
「はは。しつこい?」
「あんまり暗くならないうちに・・・」
「うん?ああ、漫画研究部の顧問だよ」
「どの先生もなにかしらの顧問だよ」
「え?興味ある?」
「本当?」
「実は、ちょっと困っていてね」
「部員数が少ないんだ」
「別に廃部になんかはならないけど」
「各学年に二人とか三人だから・・・」
「いやいや、少ない方だよ」
「意外なことに、人気のある部活でもね」
「何年かには全然人が入ってこないことがある」
「だから、入ってくれるなら嬉しいよ」
「漫画研究部とはいっても」
「漫画だけじゃなく」
「君のように一般書籍を読む人もいる」
「というか、それしか読まない人がいる」
「君のように窓際に陣取って黙々とね」
「伝統らしいよ」
「その窓際の席に座って読むのが」
「話の趣味は合うんじゃないかな?」
「結構みんな楽しくやってるよ」
「全然しゃべらない時もあるけど」
「おお。入る?本当?」
「良かった。先生たちの会議でね」
「部活動に入る人を増やそうという議題がね」
「良く出るんだよ」
「まあ、ほとんどの生徒は」
「なにかしらの部活に入っているんだけどね」
「OK!じゃあ、入部届を取りに来てくれる?」
「うん。え?その場で書く?」
「はは。分かった」
「そのまま部室にも行くかい?」
「おお!積極的だね」
「ふふ。まるで君は噂の彼だね」
「え?なんでかって?」
「だって、私の悩みが解決したじゃないか」
「ただいまー。ああ、ありがとう」
「うん。食べるよ。ありがとう」
「ああ、いいよ。お風呂は自分でやるよ」
「ゆっくりしてて」
「ありがとう。ご馳走様」
「いいよ。食器は自分で洗うよ」
「良し。え?なんだか嬉しそう?」
「はは。実はね・・・」
連載となります。
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