窓際の不思議な彼-part3-再会
窓際にいる不思議な彼
彼に悩みを話すと解決するという噂が・・・
「〇〇学校の〇〇クラスの」
「窓際にいる不思議な彼に」
「困っていることを話すと」
「解決するらしいよ」
「解決できた人を知ってる」
「ただのデマだよ」
「誰なの?」
「その学校の生徒らしい」
「その学校の生徒じゃないって聞いた」
「先生らしいよ」
「部外者だって」
「すごいイケメンだって」
「すごい可愛い女の子だよ」
「汚いおじさん・・・」
「優しいおばあちゃん」
「近所の悪ガキ」
「赤ちゃん・・・」
「印象にも残らない普通の人」
「彼は学校だけにいる訳じゃない」
「あの喫茶店でよく見るって!」
街の様々な所でそんな噂の話がされている。
■再会
「すいません」
「もし良ければ相席しても宜しいかしら?」
「ごめんなさいね。突然」
「席が混んでいる訳でもないのに・・・」
「迷惑ならおっしゃって。すぐに別の席に・・・」
「あら、ありがとう。優しい方ね・・・」
「え?ふふ。それに口もお上手」
「こんなおばちゃんに気を遣わないで」
「ふふふ。本当に、お世辞でも嬉しいわ」
「え?お話を?そんな、悪いわ」
「ただでさえご迷惑を・・・」
「そう?代わりに?」
「分かりました。じゃあ、お話しましょう」
「私の話を?聞き役になってくれるのね」
「あなたは・・・他の人とは違うわね」
「ああ、ごめんなさい。変な言い方になってしまって」
「なんというか、とても優しいのね」
「学生さん?ああ、ごめんなさい。変な詮索はしないわ」
「ただ、お若いのに、私よりも長生きしているような」
「その物腰とか仕草とか空気感というのかしら?」
「私の人生であなたのような人・・・」
「ああ、話が脱線してるわね。いつも言われるの」
「相席した理由ね?分かったわ」
「そうね、なんといったものか」
「私が勝手に待ち合わせをしているの」
「相手が来るわけないのに・・・」
「え?あなたもなの?」
「相手が来るか分からないの?」
「あはははは。おかしい」
「ごめんなさい。そんなことある?と思ったら・・・」
「あ・・・やだ。私ったら・・・最低」
「もしかして・・・その方って・・・」
「え?ご存命?しかもすごい元気なの?」
「良かった。いえ、でも、もっと考えて物を言わなきゃ」
「ああ、また脱線してる」
「そう。私の方も存命。私が知る限りでは」
「ふふ。日本じゃなくて海外にいるの」
「〇〇という名前はご存じ?」
「物書きの方なの」
「あら!ご存じ?私の周りでは誰も知らないの」
「ふふ。なんだか嬉しい」
「その方とね、私は若い時に親しかったの」
「別にお付き合いしていたとは言えない」
「でも、たしかにあの時・・・」
「私たちは幸せを共有していた」
「私ね・・・彼のことを思いっきりビンタしたの」
「彼が海外へ行くことになるのは前から聞いてた」
「物書きとして、向こうで成功するんだって」
「私には良く分からなかったけど」
「彼の書くジャンルが向こうの影響が強いみたいで」
「でも、彼は悩んでいたの」
「私の存在があったから・・・」
「一緒になんて行けなかった」
「私は必ず彼の邪魔になる」
「私は彼が物を書いているのを見るのが好きだったの」
「それでね、彼、すごい悩んで・・・」
「海外へ行くのをやめようとしたの」
「それを聞いた私は全力で!手加減なしに!」
「ビンタをお見舞いしたの!」
「ふふふ。彼、少し宙に浮いてたかも」
「そしてね、目が覚めたようになって、旅立った」
「二人の時間を長く過ごしたのが、この喫茶店」
「いつもこの窓際の席に座ってた」
「そう。だから相席させてもらったの」
「ふふ。ごめんなさい。はた迷惑な話でしょ?」
「彼のことはそれから引きずったけど・・・」
「今では娘も、なんと孫まで!幸せよ」
「旦那は2年前に亡くなったの」
「なんだか浮気しているみたいで嫌だったから」
「旦那には彼のことを話したの」
「付き合う前にも、亡くなる前にも・・・」
「旦那がね、亡くなる前に」
「また会えるといいなって・・・」
「ふふ。本当に良い人だった」
「あら、ごめんなさい。長話になったわ」
「そろそろ行くわ。話を聞いてくれて・・・」
「え?あなたの待っている人が来たの?」
「私、すぐに席を・・・」
「え?私はこのまま?」
「あなたの予定は今度に?」
「どういうこと?」
「あっ、ねえ、ちょっと・・・」
「あっ・・・」
「嘘・・・」
「あっ、いえ、すいません」
「このお席を使われます?どうぞ」
「私は別の席に・・・」
「・・・・・・・名前」
「まだ、覚えていてくれたの・・・」
連載となります。
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