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 夕方の買い物をした帰り道はほとんど夜といってもいいほどに暗くなっていて、とはいえ自宅に近いあたりは街灯や家々の常夜灯で照らされているから、宵の口も真夜中もそんなに変わらない。

 日の暮れるのがこんなに早くなったのかと思いながら、この角を曲がれば自室のあるマンションの燈りが見えるという最後の曲がり角にさしかかったとき、角を曲がってこちらに走ってきた生き物とぶつかりそうになった。

 こちらは、ああ、猫かと思って立ち止まっただけだけれど、向こうは全力で走ってきたところをカチッとアスファルトを噛む爪の音が聞こえたほど急停止をして飛び上がると、転がるように反対方向の道へと逃げていった。街灯の直下までその生き物が走って行ったとき、ようやくそのすんぐりした姿がはっきりと見えて、いや、あれは猫ではないと思いながら、ぶつかりそうになったときに見た相手の顔を思いだして、あっ、狸だと気づいた。

 じつは数ヶ月前に家人がマンションの庭で親子連れの狸を見たと言っていて半信半疑だったのだけれど、駅前の市街地から徒歩十分ほどの、近辺には山なんか見あたらないこんな住宅街にも、本当に狸がいるんだな。すこし離れたところに小さな川があるから、川伝いでどこからかやって来て、下水道なんかをねぐらにしているのかもしれない。

 今夜は狸のカチッと鋭い爪音を聞いた、というのが、もうすでに不思議な感触の記憶になっているから、ここに書いておかないと、しばらく経ったら夢で見たんだろうと思ってしまいそうだ。

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