マーズ・パンツァー ~失われた火星を求めて~
急いで書いたらこんな感じになりました。
企画応募用で、シナリオなので小説ではないです。
20XX年
火星連邦組織は見捨てられた。
人口増加と環境破壊が続く地球。
解消しない地球規模の問題に、人類は火星へと移住することでその問題の解決しようとしていた。
そして、地球から火星への移民が始まって数十年。
火星は順調に発展を遂げていた。
地球と火星間には定期連絡船が航行し、火星唯一の宇宙港を中心に開拓し発展していく。
その後、火星連邦政府が樹立し、順調に人口も増加していった。
中枢機関には、エネルギー、防災、生命の管理等を一括で処理運営するコンピューター『マーズマザーコンピューター』通称『MMC』が、人類を効率よく管理。
これにより人々は火星全土へと進出し、人々は半球体のドームを形成し、そこに都市を建設し、子を産み育て死んでいくライフサイクルが確立された。
順調な発展を遂げる火星。
第二の地球となるはずだったこの惑星に、突然の終焉が舞い降りる。
突如、何の前触れもなく地球との定期連絡船が廃止され、地球との通信も不可能となる。
『MMC』の人工知能による判断だと推測されたが、それ以外にも宇宙港は固く封鎖され、
資源や電力の供給も止められ、情報など通信も一切遮断さた。
宇宙港と中央政府機関、そして『MMC』をようする火星最大の一大ドーム都市は、巨大な壁に封鎖された外部からの侵入を一切遮断した。
近づく者は『MMC』防衛システムと、配位された防衛用人型ロボに排除された。
原因も理由も背景も、全てを知るものは封印された。
こうして各ドームに住む市民たちは、厳しい火星の環境へと見放された。
辺り一面に広がる赤茶けた荒野。
オレンジ色の空。
火星の平均気温は-63℃
日中は30℃前後、最低気温は-150℃にもなる極寒の地。
酸素はなく二酸化炭素が枯れた大地を包み込む。
頻繁に発生する強烈な砂嵐「ダストストーム」
過酷な環境下に置き去りにされた人類は、自らの力で生き抜くしかなかった。
絶望に突き落とされる人類に、さらに追い打ちをかけるように出現する怪物やモンスターといった類。
いつしかドーム外の広大な砂漠には、未知の生物や物体が闊歩するようになった。。
地球上の生物によく似たモンスター。
そしてまるで意思を持ったかのようなロボット。
彷徨う機械化された怪物。
さらには暴徒化した人間や、他のドームを荒らし盗みや略奪を行なう無法者の存在も現れた。
市民を守ってくれていた連邦軍はもういない。
ドームは己の力で防衛しなくてはならなかった。
自警団や、戦闘を専業とするハンターや用心棒、傭兵などを駆使し、この荒んだ世界を生き抜かなくてはならなかった。
火星では石油が産出されない。
そってエネルギー源は原子力か太陽光が主流であった。
そして、火星の大気のほとんどが二酸化炭素。
この二酸化炭素と水素を合成した合成燃料が主な動力源とされていた。
生身では野外に出ることは出来ない人々は、小型の作業用車両に乗り込み屋外活動を行っていた。
砂の荒野でも作業できるようにと無限軌道に、マニピュレーターを持った車両。
砂嵐にも耐えられる装甲。
火星での少ない資源と人数でも稼働できるために、汎用性の高い小型化されたマシーン。
さらに最近出没するモンスターや徒党に対して、自衛のために砲塔や機関砲などの武装を施す。
それはまるで、近代地球の地上で活躍した戦車を小型化し多様な車両。
人々はそれを『マーズ・パンツァー』通称『MP』と称して、開拓や自衛のために活動させていた。
二人ないし一人でも操作できるようにした兵器、
火星の大気は薄く酸素も少ない中、航空機は使えない。
定期的に起こる砂嵐による電波障害で、レーダーも上手く機能しない。
ロケットやミサイルも、噴射用燃料が高価なため多用できない。
これにより有視界戦闘という、近代地球での世界大戦レベルへと逆行した火星。
そこで地上兵器の戦車『MP』は活躍するのであった。
この戦車を繰り出し、ある物は敵から身を守り、ある輩は傷つけ奪い、そしてある者は賞金稼ぎとしてモンスターを狩るのだった。
その中でも優れた人間は、全ての元凶、そして火星の全てが手に入る鎖された都市、『MMC』が存在する首都へと、一獲千金を夢見て旅立つのだった。
火星が見放されてから数十年。
鉄と錆と砂の世界。
人類や厳しい環境の中、自給自足の生活を余儀なくされた。
時折出没する外敵から『マーズ・パンツァー』と呼ばれる戦車を駆使し、身を守りながらドームと呼ばれる施設で細々と暮らしていた。
地球への憧れ、望郷。恨みつらみ。
そして何故このような現状になったのかという疑惑を胸に。
ある少年も同じ心境だった。
それ以上に少年は復讐心に燃えていた。
彼の故郷であるドームは、悪名高い盗賊旅団によって壊滅させられた。
唯一、生き延びた少年アルベルトは、通りすがりのハンター集団に助けられる。
モンスターを狩り、賞金首を倒し、打ち捨てられた廃墟などでの遺産を回収することを生業としている集団だった。
その一団のリーダーである若き男・ヴォルケンに救われたアルベルトは、彼と行動をともにする。
その旅の中で、戦車技術を学び、白兵戦から、重火器の使い方。サバイバル法など、この世界で生きていく術を教わるのだった。
そして、家族を奪った者への復讐心、そして人々を悪の手から守ろうとする正義感。
さらには火星の全てが詰まった中央都市、『MMC』への憧れと探求心が、日に日に膨らんでいくのだった。
いつしかヴォルケン率いる旅団は、巨大なハンター組織になった。
次第にヴォルケンにも誰もが夢見る野望を抱き始める。
未だ誰も足を踏み入れたことのない、封鎖された中央都市への侵入。
MMCを掌握し、火星の秘密を暴くこと。
そして地球への唯一の連絡手段である宇宙港の解放。
着々と進む準備の中、ある日ヴォルケンはアルベルトに伝えるのだった。
「いいか、俺たちはこれから中央政府に向かう」
「いよいよだね!」
「火星がこうなった原因を突き止める。当時の政府のお偉いさんどもは、今なにをしているのか? MMCは機能しているのか?」
「そして、火星の全てを手に入れるんだね!」
「だが……アルベルト。お前は連れていけない」
「な、なんで!」
「これは危険な賭けみたいなもんだ。それにお前を巻き込むことは出来ない」
「俺だって! 一度死んだようなもんだし。俺たち仲間ででしょ!?」
「ダメだ。正直足手まといだ」
「……そ、そんな」
「それにお前には、ある任務を任せたいんだ」
「え? 任務!?」
「それは……俺たちが万が一、帰ってこれなかった場合の……」
「そんなことない! ヴォルケンたちが戻ってこないなんて!」
「これはお前にしかできないことだ。いいか?」
「…………分かったよ」
こうして火星一の戦闘集団となったヴォルケン一団は、アルベルトを残し中央都市へと向かったが……
……戻ってくることはなかった。
そして数年の時は流れて……
とあるドームで暮らすアルベルトは、しがない戦車乗りハンターとして暮らしていた。
相棒のメカニックのラオスとともに、日々周囲の警備を行い、迫りくるモンスターを倒し、強盗団を追い返していた。
彼の乗るMPは、旧式ではあるが使い勝手の良い88式MP。通称ハチハチ。
二人乗りの中型戦車で主砲と機関砲、一本のマニピュレーターを装備したMP。
これに乗り、ドームの警備と周辺の探索、そして賞金稼ぎをしていた。
これも彼が目指した全ての始まりで元凶の都市、中央都市とMMCを目指すために。
そして今だ帰還しないアルベルトを探すために、資金と仲間集めに勤しんでいたのだった。
【バイク乗りのお転婆娘。ディーゼ】
近隣のドームで警備の依頼を受けたアルベルトは、ラオスと共にハチハチに乗り向かう。
そこでは自警団のMP部隊に混じって、無限軌道付の大型バイクに跨る同年代の若い女が混じっていた。
このドームの住人であるディーゼと名乗る少女は、その単車で自警団に参加するというのだった。
「単車で荒野に出るのは危険だって言ってるだろ!」
「大丈夫だってば! もう何回も乗り回ってるんですから!」
「この辺はまだ制圧できてないんだ。未知のモンスターやお尋ね者が……」
「もう、あんたは! いつ私の親になったつもりよ!」
「お前、戦闘をなめてんだろ! そんな生身と変わらない状態で出て行ったって! 一撃で吹っ飛ぶぞ!」
「そんなの、当たらなければ、関係ないし!」
「せめて車両に乗っ……」
「戦車なんて遅いし!狭いし!ダサいし! このバイクがちょうど良いのよ!」
「アルベルト、こうなったら聞かないぜ。放っておこうぜ」
「知らねーぞ、どうなっても……」
その後、無事に襲来した敵を殲滅したアルベルト達。
「ふぅ~ん。なかなかやるじゃん。あんたたち」
「お前のせいで、何度死にそうになったことか!!」
「ここのドームの若い奴らって、大した腕も技術もないのよね」
「お前もその中の一人だぞ!」
「…………決めた!! 私、あんた達についていくわ!」
「はぁ!?」
「ちょうど仲間を探してたんでしょ? いいわよ、私がなってあげるわ!」
「別に頼んでもいないんだが?」
「偵察とか、伝令に必要でしょ? 私みたいな存在が?」
「毎回毎回、バイクで斥候されても、危険でしょうがないんだが……」
【赤茶けた荒野に舞い降りた、白い天使】
ドーム間を結ぶ地下鉄道の防衛に参加したアルベルト達。
見事やって来た戦車旅団を一掃した後、そのドームの市長の娘ナーゼから話を持ち掛けられうる。
「この度はありがとうございました」
「まあ、なかなか手強い敵だったが、なんとか防衛できてよかったよ」
「つきましては是非私も、皆さまに同行させてください」
「……民間人を連れて行くわけには」
「私、こう見えましても医療関係に従事しておりました」
「……しかし、危険な旅になるにで」
「なら、尚のこと私の能力が必要になるのではないかと?」
「……しかし、乗り物が」
「心配いりませんわ。医療用装甲車を持参いたしますので」
「そんなものあるのか?」
【見捨てられたロボ】
砂漠を移動しているアルベルト一行は、荒野のど真ん中にたたずむ一つの人影を見つける。
「おい、あんな所に人が!?」
そこには迫りくる砂嵐が。
急いで駆け付け救助しようとするが……そこで佇んでいたのは、
「人……じゃない? ロボット?」
それは、大型人型戦闘用アンドロイドだった。
まるで中世日本で活躍した鎧をまとった武将のような、金属製の鎧を身に付けている。
背中には身丈ほどの巨大な大剣が収まっていた。
それはかつて、中央都市を守衛していたガーディアンと呼ばれる警備ロボだった。
「なんでこいつが? 都市から遠く離れたここで?」
ロボに尋ねるアルベルトだったが、要領を得ない回答が返ってくるだけだった。
「ワカラナイ。オモイダセナイ。オレは、指定された座標に向かって歩くようにインプットされただけだ」
ラオスがロボの周囲を調べると、記録回路に細工された形跡が見られた。
「座標って、俺の居たドームじゃねーか?」
「誰かに破壊するように指示されたのか?」
「どうする?」
「放置しておくのも危険だし、むしろ連れて行った方が役に立つか?」
「オレは、運転できない。乗れない」
「専守防衛の白兵戦専用だしな」
「使い道ねーんじゃね」
【バイオ処理施設の愛玩動物】
かつて起動していたバイオ処理施設から、大量のモンスターが出現していると聞き、駆逐しに向かう一行。
モンスターを殲滅し探索すると、原因は施設の誤作動でモンスターを生成していたことを突き止め、施設を破壊する。
「ここ周辺のモンスターは、このバイオ処理施設から生み出されたみたいだな」
「誰かの意図的なのか、それとも偶発的なのか……」
「まあ、とにかくこの処理場のシステムを止めたから、これ以上の被害は出なくなるんだよね?」
そう言い、制圧した施設内から周りを見渡すディーゼ。
「あれ、見て! なんかいる?」
「まだ生き残りか!?
(キャンキャン!!)
「まって!」
「な、なんだこいつ敵か?」
「この子、ドックスよ!!」
「ドックス??」
地球から持ち込んだ愛玩用動物の犬《dog》と狐《fox》を火星の環境に適応させた品種、『ドックス』
「かわいいー!! 絶滅したかと思ってた――!!」
「それにしても、なんかデカくないか?」
「ライオンとかクマとか、そっちの類じゃねーのか?」
そしてペット兼戦闘要員として連れて行くことに。
その他、
報酬は金銭以外。依頼者を気に入るかどうかで契約する、凄腕の傭兵。
狙った獲物は外さない、半身サイボーグのスナイパー。
などを仲間にし、旅を続ける一行。
【マリネリス峡谷の戦い】
火星にあるグランドキャニオン。
その谷底に拠点を構えるギャング集団。
殲滅作戦に同行するアルベルトたち。
しかし谷底からホバーリングする兵器で苦しめられる一同は、多脚戦車を用いて迎撃する。
【北極点の戦い】
ドライアイスの凍る北極点で、モンスター殲滅を目的とするアルベルト達は極寒の地での戦いに苦戦する。
【ビッグバストレーの停止作戦】
超大型輸送トラックである、原子力陸上空母。
指揮統制を失った巨大輸送兵器は暴走し、その進路にあるドームをことごとく破壊していく。
有志で集まった討伐隊に参加するアルベルト一行。
外部からの攻撃はほとんど効かない。
下手に破壊すれば原子炉が爆発する。
そんな中、アルベルト達は戦車で内部に侵入し、内側から停止させる作戦に出るのだった。
森も川もない、広大な赤茶けた砂と岩だけが広がる荒野。
砂嵐、赤い日差しに、青い夕暮れ、月のない漆黒の夜。
そこを無限軌道の足跡だけが伸びていく。
モンスターを倒し賞金を取り、火星の秘密を暴き、ライバルのハンターたちと時には戦闘し、時には共闘し。
目指す目的地は一つ。
火星連邦本部、マザーコンピューター。
そこに行けばすべての謎だ明らかに。
アルベルト達は失われた技術、火星の過去と真相を求めて、今日も火星の大地を突き進むのだった。