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六話 交渉

 少し時間が経って、いつも通りの空気に戻った頃に事は起きた。

 玄関の扉が開く音がした。

「優輝聞こえたな」

 僕にしか聞こえない程度の声量でアリーチェさんが聞いてきた。

「うん」

「取り敢えず、話が通じるか試したい、この部屋の窓のそばに居てくれ、その方が逃げやすい」

 アリーチェさんがドアを開け、部屋を出る。


 部屋をでた、交渉の予知など無いのは理解しているが、もしかしたら、そのもしかしたらの可能性をただ捨てるのは愚策だと思うそれに、現状を理解するのには良い手段だと思う。

 いつ誰と出くわしても良い様に両手を上げ敵意がない事を示しながら階段を降りる。

「階段に目標発見」

 階段を降りている途中には自衛隊の隊員らしき人が見えた。身に着けている。

「銃を降ろしてくれないか」

 分かり切ってる、どうせ無理だ、誰だって未知を前にしたら最大限の警戒をする、現状最大限の武力を要して警戒するべきだ、この場で銃口を降ろす愚か者は居ないだろう。

「無理だ、私達も命を掛けてここまで来ている」

「私が何をした?」

「化け物は自由に生きることが罪だよ、ライオンだって檻の中で生きていれば何もされないが町に逃げ出した場合捕獲されるか殺されるだろう、それと同じ事だ」

 一人しか姿を現わさないのは此処に私が居ることを仲間に知らせていると考えるべきだろう、撃ってこないのも同じ理由だろう、仲間を待つか、なら数分の内に結論を出さねば。

「私が捕まった場合どうなる?」

「今まで通りの生活は出来ないだろうな」

 私の十世紀程度の人生経験で既に分かっていた事だ、私は生きているだけで人間からは恐怖の対象になる、故に人間社会に存在をばれてはならない何てこと、分かっていた。

 人は殺したくない、なら出来ることは一つだ、ここからいち早く逃げる。

 昼間だから夜よりは力を出せないが今逃げるしかない、吸血鬼と言えど数十人に銃を向けられては溜まらない、それに今は守るべき人、守りたいと思える人ができたしな。

 階段を駆け上り寝室に行き優輝を持って窓から飛び出す。

 そのまま空を飛び森の方へ行く。

「逃げたってことは無理だったのか」

「うん、交渉をするならもっと地位の高いやつで無いと現状の打開は無理かな」

 交渉よりも現状を理解するために行った訳だが、恐らく複数人で固まって移動している。

「どうする?」

「今の状況は将棋で言う詰み、チェスで言うチェックメイトだと思う、やはり個人が国を相手にするのは無理だ」

「それでもどうにかしないと」

 前にロードした後のセーブデータはどうなるのだろう、未来人はその事に着いて何も言っていなかった、もしかしたら戻れるのか?試すべきだろう。

「前のセーブ地点まで戻れるかやってみよう」

「分かった、一回降りる」

 降下し地上に足が着く。

「せっかく結婚したのにな、まあいい次は優輝が求婚してくれ私は何度でも了承すると思うから」

「分かった」

 アリーチェさんが僕に牙を立てる。

 前回の様に過去に戻る。そう思っていた、思っていたと言うよりは願っていたの方が近いだろう、現実は無慈悲だった。

「ダメだった」

「なら、いまセーブすべきだな」

 立方体のボタンを押す。

 セーブは出来た、次ロードしたときセーブをするのを忘れない様にしなければな。

「今を打開するなら、時を待つのみか」

 今出来ることは自衛隊員から逃げるのみか。

「じゃあもう少し移動するか」

「うん」

 また移動を始める、さっきの様に空を飛んで。

「優輝、洞窟で寝る事になっても良いか?」

「うん、僕は大丈夫」

「ならいい、洞窟を探そう」

 そこら辺で寝るよりは幾分かばれにくいだろう。

「あった」

 洞窟が見つかったらしい。

「降りるよ」

 さっきと同じ様に降下する。

「寝るか」

 アリーチェさんがそう言いながら洞窟の中に入っていく。

「優輝抱き枕になってくれ」

 嫌どころか嬉しいな、一晩アリーチェさんに抱きついた状態になるというのは、布団やベットで寝れれば完璧なのだが、仕方ない。

「良いよ」

「優輝寝ようか」

「うん」

 ごつごつした地面で二人抱きしめ合いながら寝た、寝にくかったが今までの疲れからかそれともアリーチェさんがいたからか直ぐに眠る事は出来た。


 大きな音と共に起きた。意識がはっきりしてきた頃に気付いた。そばに居る筈のアリーチェさんが居なかった。

 何かあったのか、取り敢えず外に出てみる。日光で目が眩む、目が日光の明るさに慣れてきた頃今の状況を理解する。

 僕が起きる原因の大きな音の正体が分かった、それと同時に吐き気がこみ上げる、吐き気以外にも悲しみや怒りの感情も吹き上げる。目の前には銃を構えた人と地面に倒れこんでいるアリーチェさんの姿があった。

 怒りや悲しみ故か自分の理性を見失いながら僕はアリーチェさんを撃っただろう人に殴りにかかった。

「優輝逃げろ」

 精一杯に発した言葉だろう、だがその言葉が僕に伝わる事は無かった。

 助走をつけ、全体重を乗せた拳を銃を構えている人に当てた、当たっただけで相手は何も無かった様にその場に立っていた。

 プロに戦闘で勝てる訳も無く、行動出来ない状態にされる。

「少年を確保」

「睡眠薬を投与」

 恐らく注射が刺され薬品を投与された、抗う事が出来ない程の眠気に意識が攫われた。

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