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 婚約を結んでから、私はアーミュー様のことをアーミューと呼び捨てにすることになった。

 それはアーミューにそう望まれたから。

 ……元からアーミューは私に優しかったけれど、婚約を結んでからより一層私に甘くなった気がする。

 あとひたすら甘やかしてこようとするというか、沢山プレゼントをくれる。




「ウィネッサ様、またアーミュー様からプレゼントが届いていますよ。愛されてますね」

「ええ」



 子爵家にも沢山プレゼントが届く。

 アーミューはなんだろう、魔法の才能がとてもすごい。それでいてもうすでに魔法具を生み出したりして、収入を得ている。あと私が前世で使用していた電化製品とかをそれで再現してくれたりしている。

 私は魔法はそこそこ使える程度だから、そうやって魔法を使えることが凄いなと思う。

 

 アーミューは天才であると言えるだろう。

 ある意味そういう天才だからこそ、原作のアーミューは退屈していたのかなってそう思う。



 ちなみにアーミューと婚約して改めて気づいたのだけど、私ってアーミューとルトラールの兄弟以外と全然関りがない。公爵邸によく訪れているルトラールの友人たちとも私は全然関わっていない。……というか、アーミューが関わらないように手を回してそうだなって思っている。

 アーミューは独占欲が強いのか、少しヤンデレ風味があるようなそんな感じがする。

 でも不思議と嫌ではないのは、私がアーミューのことが好きだし、私もアーミューが誰かと親しくしているの嫌だって思うから全然いいけれど。


 うーん、前世の私はそこまで恋愛脳というか、この人がいればいいなんてそう言う気持ちになったことなんてなかった。だけど今のそういう気があるなぁと思う。




 アーミューが私だけを見てくれていることが嬉しくて、私もアーミューだけを見つめていたいなって思っている。



 両親には他の家のお茶会とか行かなくて大丈夫? とか心配されたりもする。でも私は別に私の世界はそこまで広がらなくていいなって思っている。

 そこまで世界が広がらなくても、アーミューが居ればいいって。

 私の弟もアーミューに懐いているのよね。



 それにしても流石に社交界デビューとかすることになったら私たちの世界も広がったりするんだろうか。学園に入ったりしても。


 ……広がった世界で、アーミューが私以外の人に興味を抱いたら私は寂しいと思う。

 この世に多分、絶対的なものはないだろうけれど――それでも私はアーミューが例えば他の女性に関心を持たれたらどうするだろうか。私はそれを許すことなんて出来るんだろうか。ううん、多分、許せない。……うーん、もしかしたら巷の悪役令嬢か何かのように私は嫉妬に狂ってしまうかもしれない。嫉妬に狂わなきゃいいのだろうけれど、そういう自信ないなぁ。





 そう思うので、私はアーミューに会った時に、



「アーミュー、私ね、アーミューが私以外のことを見たら嫉妬で大変なことしてしまうかもしれない。だからあの……私にバレないようにするか、私のこと嫌になったら私のことを殺してくれたりするといいかも」


 何だか私も物騒なことを言っている気がするけれど、最初はアーミューの婚約者に自分がなるなんてと思っていたくせに、アーミューに甘やかされすっかり依存している気がする。



 私の言葉にアーミューは笑った。

 私が重い気持ちを向けても、アーミューは笑ってくれている。




「ウィネッサは可愛いね。僕がウィネッサ以外を見ることはないよ。僕だってウィネッサが他の男を見たら相手を殺したくなる。そしてウィネッサのことは閉じ込めてしまうかもしれない」

「ふふ、私のことを閉じ込めてくれるの? それでアーミューが私の傍に一緒に居てくれるのでしょう? それはとても幸せだと思うわ。でも私はアーミューと色んな所に行きたいなとも思うの」



 アーミューに閉じ込められるならそれはそれでいいかなって思ってしまう。

 そんなことを思っている段階で、私もそこそこ病んでしまっているのかなってそう思ってしまう。

 でもそういう風に依存のように、ずっと一緒に居たいと思っている関係で全然いいと思う。

 私はアーミューが好きで、アーミューも私が好き。多分、両想いじゃなければ悲惨なことになっていたかもしれない。けれども、私たちは互いにそういう気持ちを抱いているから問題ない。


 ……まぁ、こういう会話をしていると私たちの会話を聞いていたルトラールとか使用人たちが何とも言えない表情していたり、青ざめていたりするけれど、周りの反応は正直どうでもいいよね。






「ウィネッサが行きたいところなら、どこでも僕は連れていくからね」

「ふふ、楽しみにしているわ」

「大人になるまでに転移魔法を個人で使えるようにするね」

「何だかアーミューが言うと冗談に聞こえないわ」

「冗談じゃないからね」


 転移魔法って、その名の通り長距離を移動する魔法である。その魔法は一人では行使できないというのが常識だ。それに複数人の魔法使いで転移魔法を使うのも大きな準備が必要だと聞いている。

 それが個人で出来るようになったら本当にすごい革命だろうなと思う。


 でもなんかアーミューが言う言葉だと本当にそれが出来るようになりそうだなとは思った。




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