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「ふぅ……」
私は学園に入学した。
私が学園へと入学すると同時にアーミューは学園を卒業し、何だか寂しい気持ちになった。
まぁ、アーミューは以前よりも転移魔法の練度をあげていてしょっちゅう私に会いにきてくれるけれども。
それにしても私は一般の学生として通っているのだけど、私のことは全く社交界に出てこないアーミュー・スドリウィンの婚約者として有名で結構注目を浴びていた。
ああいう風に注目を浴びると落ち着かないなぁと思う。
ちなみに私の側には基本的にルトラールやミーガレダ様、後はアーミューが厳選した護衛のようなものがつけられている。アーミューは自分の後輩たちにくれぐれも私に何もないようにと言い聞かせていたみたいで、アーミューを良く知る先輩たちも私のことを守ってくれているようだ。
本当にアーミューは心配性というか、私のことを大切に思ってくれていて、私に何かあるのが嫌だと思ってくれているのだ。大切にされているのだなと実感すると本当に嬉しくて仕方がなくなる。
アーミューは学園長から許可を得て、私が呼んだら時々会いに来てくれているの。アーミューと一緒に部屋で過ごしたり出来るのとっても幸せな気持ちになる。
それにしてもアーミューは学園長とも親しくしているのよね。私もアーミュー関係で呼ばれることもあって、話もしたけれど本当にアーミューってすごいと思ったわ。
学園長も学生時代のアーミューと接して、アーミューのことをよくわかってくれているみたいだわ。
「義姉上、この前のテストはどうだった?」
「そこそこだわ。ルトラールは結構成績いいわよね。本当にすごいわ」
「義姉上……、弟扱いなのはいいけど、頭撫でるのやめてくれない? 後から俺が兄上ににらまれる」
「ふふ、アーミューが嫉妬してくれると思うと嬉しいわ」
「……確信犯の嫉妬劇に俺を巻き込むのはやめてくれない?」
そう言いながらもルトラールは笑っていて、私の義理の弟は結構可愛いよねって思っている。
漫画の中のヒーローだけど、可愛いって気持ちになるのは幼い頃から知っている婚約者の弟だからだろうか。
それにしてもヒロインの女の子も入学しているのよね。可愛い子で、私は見ているだけで楽しくなっている。あんまりルトラールとは関わっていないのよね。
まぁ、アーミューが自殺していない世界線だから、ルトラールも漫画の世界のルトラールとはまた別だもの。
漫画の世界のルトラールもいいなぁと楽しい気持ちになる。
アーミューには漫画の世界の話を結構しているのだけど、あんまり話しすぎるとアーミューが嫉妬するのよね。そういうことよりも私のことを見てほしいってそんな風に言ってくれていて。
そういう姿を見るだけで結構嬉しくて仕方がない。
「ふふ」
「……義姉上が笑っているのを見て俺は安心していいのか、不安に思った方がいいのか」
「安心していいのよ。私はルトラールに害を及ぼすことはやる気はないわよ?」
「それは知っているけれど、それでもなんというか……色々心配になるんだよ。だって義姉上がこんなに表に出ているのって学園が初めてだろう。それに兄上が隣に居ないのも。義姉上に何かあったら確実に兄上暴走するから」
「ルトラールが私の傍によくいるから嫉妬されているのよ? 私にはアーミューがいるのに」
「それは仕方がないよ。義姉上を一人にするわけにもいかないし。それに俺は義姉上の生活を兄上に報告しなきゃだし」
「私からも報告しているのに本当にアーミューは心配性よね。とっても嬉しいわ」
「そこで嬉しいって言っちゃうのが義姉上だよなぁ」
感心したようにそんな言葉を言われた。
私はアーミューにならば何もかも知られて問題がないと思っているので、監視されている風でも全然問題ない。私もアーミューの周りの人たちからアーミューのことも聞いているし。
アーミューは学園を卒業してから忙しそうにしている。私が卒業した後は外に出ないで出来るようにって準備してくれているみたい。
私が卒業した後は、私と一緒に屋敷でのんびりできるようにしてくれているんだよね。
まぁ、アーミューは転移魔法が使えるようになっているから、仕事にいって、すぐに帰ってくるとかも出来るだろうけど。そう考えると本当にアーミューは凄いわ。
早く卒業して、アーミューと結婚して楽しく過ごしたいなってそんな風に思っている。
二人っきりで色んなことをして、あと、お出かけしたりとかもしたい。
行きたい場所が沢山あるのよね。
アーミューが転移を使えるようになってから一緒にお出かけしたりもしているけれど、本当に楽しいのよ。卒業したらもっと時間が出来るから色々出来るものね。
本当に未来のことを考えると楽しみで、ワクワクして仕方がないわ!




