あぁ、推しが恋しい
―――あぁ、推しが恋しい。
ルシウスが描いたショタっ子バージョンの肖像画だけども。
「ジオさまとは、いつ会えるの?」
「いや、すぐに会えるってことはないですよ」
「ぐはっ」
まぁ、そうだよね。運命の出会いをしたからと言って、再教育とばかりにルシウスにジオさまが連れて行かれて早3日。もう3日、ジオさまを摂取していない。
一度この世界で出会ってしまって以来、やはり摂取しないと私は、私はあああぁぁぁっっ!!もう、想像するだけでは我慢できないのっ!あと、お兄さまと廊下ですれ違うたびにジオさま値が減っていくううぅぅっっ!このクッソお兄さまめええぇぇぇぇっっ!!!
私のジオさま値を、ジオさま成分を返せえええぇぇぇぇっっ!!!
私は猛ダッシュでお兄さまの前から逃げ去り、そして私室にダッシュして飛び込み、ふっかふかのおっきなベッドにダイブした。
うぐっ、えぐっ、このままじゃ、ジオさまがああぁぁぁっっ!このままでは私のジオさまポイントがなくなってしまうううぅぅっっ!!
「姫さま」
そんな時、頭上から声が響いた。慌てて顔をあげれば、そこにはいつものルシウスの顔があった。猛ダッシュしたものの、子どもの脚などたいしたことはないようだ。だからあの日も私に追いついたのか。あれ、それにしては他の騎士たちがいなかったような気が。
いや、初めてのジオさまの出会いに興奮して、気が付かなかっただけよね。
そして、ルシウスが何かを差し出してきた。
「ほら」
「こ、これはっ!」
ルシウスがぺろりと出してきたのは、本格的な肖像画である。色鉛筆画でもルシウスは完璧に仕上げるけれど、これはお見合い用釣書などにも使われる本格的なやつ!
そしてそこに描かれているのは、現在の14歳のジオさまであった。
はわわわわぁぁぁっジオさまああぁぁぁっっ!!
「こ、これ。どうして?」
私は過去最大級にルシウスを尊敬した。
「うん?何か褒められているようなディスられているようなよくわからない反応をされた気がしますけどね。まぁ、一応、プロに描かせたんですよ」
「えっ、そう、プロに!ジオさまは元気なのよね」
「えぇ、もう元気有り余るほどに元気です」
「良かったぁ」
私はその釣書風ジオさま(の絵)を胸元に抱きしめ、ほっと息を吐いた。
「後これもあげる」
次にルシウスが出してきたのは、ルシウスお得意の色鉛筆画であった。
そこに描かれていたのは。
天使の如き我が弟・セシルとその幼馴染みで側近候補のルカくぅんっっ!!
そのふたりが、この前のお茶会の席で仲良く微笑み合っている図!
「ルシウス、これはっ!」
「お兄さんの心の目に記録したショタっ子たちの図ですよ」
グッドサインを出しながらルシウスが微笑む。本当に、そのひと微笑みだけで令嬢50人を恋に落とせそうな勢いだが、その脳裏を占めているのは十中八九ショタっ子関連である。
しかしながら、今回はよくやったと褒めてやりたい。
「あの、もっといろんなジオさまの絵が欲しいかも」
「いろんな?」
「くれるのだったら、今日はセシルとルカくんをお茶に誘おうと思うの。あなたも付いてくるわよね」
「ぐはっ、ひ、姫さま。ぎょ、御意いいぃぃっっ!!」
ショタコン騎士は、鼻血を出しながら跪き、騎士の最高レベルの礼を決めた。後ろでマリアがものっそい冷たい目をルシウスに向けているが、気にしないことにしよう。
こうしてセシルとルカくんとお茶の時間を過ごし、そのふたりの天使の図を再びルシウスにもらい、その後も勉強をするジオさま、そして今日のジオさまの服装、ご飯を食べるジオさまなど、いろいろな絵をルシウスからもらい、私はアルバムに大切に納めて毎日のようにジオさまを眺めて過ごした。




